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『スーパーニュースアンカー』

 11月24日の記事『僕と妻の1778話』の続きです。
 記事をアップした2日前、11月22日は“いい夫婦の日”でした。その日、関西テレビ『スーパーニュースアンカー』に眉村卓さんが出演されるという情報を得た(ソースはお馴染み、大熊宏俊さんのところ)のですが、残念ながら関西ローカルの放送でして、私が住む名古屋では観ることができません。
 幸いなことに、私は20年近く関西に住んでいましたので、放送エリアには友人・知人がたくさんいます。そのうちの1人に頼んで、番組を録画してもらいました。
 というわけで昨夜、1週間遅れではありますが、番組を観ました。
 ご長女である村上知子さんのインタビュー映像(私たちには知り得ない、家族ならではの話)も流れ、彼女が書かれた『僕と妻の1778話』の解説とクロスオーバー。手塚治虫記念館「星新一展」トークショーで聴いた星マリナさん(星新一さんの次女)の話とも重なりました。
 もちろん眉村さんのインタビューも含め、いい番組でしたね。
 録画してくれたIさん、ありがとうございます。

 1778話に関して、眉村さんが出演されたテレビ番組のいくつかは録画してあります。この機会に、1枚のDVDにまとめることにしました。
『にんげんゆうゆう』2001年8月30日放送
『エチカの鏡』2008年10月26日放送
『福祉ネットワーク』2010年10月7日放送
『スーパーニュースアンカー』2010年11月22日放送
 編集し、約1時間半です。
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映画『運命のボタン』

『なんたらX』という邦題の映画、多いですねえ。言うまでもなく、「なんたら」の部分は大作映画のタイトルです。ほとんどは元の映画とは関係なく、タイトルだけをパクった駄作なんですけれど、そんなDVDを見かけると、つい手に取ってしまいます。『ターミネーターX』だの『エイリアンX』だの、騙されるとわかっていながらレンタルしちゃったりして(笑)。
『遊星からの物体X』は別格(そもそも、『なんたらX』映画ではない。この記事参照)として、『なんたらX』で文句なしに面白かったのは、『ジェイソンX』くらいでしょうか。これは『13日の金曜日』のスピンオフで、ちゃんとジェイソンも出てきますし、何より映画として面白かったです。
プレデターX.jpg さて。
 先日、『プレデターX』を買いました。レンタルしたのではありません。ジャケットに“大ヒットSFアクション「プレデター」から19年――。奴は地球に飛来していた!”なんて書かれていて、値段は新作DVDをレンタルするのと同じくらい。つい、ふらふらとレジへ持っていってしまったのです。
 いやあ、これはひどかったですねえ。詐欺というか冒涜というか……。いくら何でも、この映画に「プレデター」の名をつけてはいかんでしょう。ある程度は許容範囲ですが、やりすぎではないかと思います。
運命のボタン.jpg お口直しと思ってレンタルショップに足を運び、『運命のボタン』を借りてきました。リチャード・マシスン「運命のボタン」が原作です。(右の書影はリチャード・マシスン『運命のボタン』ハヤカワ文庫NV(10))
「運命のボタン」はショートショートと言ってもいいくらいの短い短編で、これをどうやって2時間近い映画にしたのか、興味がありました。
 あら。「運命のボタン」は原作というより設定提供だけなんですね。冒頭以外、ストーリーはまるっきり別のものになっています(結末も)。映画自体は悪くはなかったですけれど、ちょっとがっかり。私は原作のほうが好きです。
スピーシーズ―種の起源―.jpg
『運命のボタン』と一緒に『スピーシーズXXXX 寄生獣の囁き』も借りました。本家の『スピーシーズ』シリーズは大好き! 特に第1作と第2作は傑作ですね。何度も観ています。(右の書影はイヴォンヌ・ナヴァロー『スピーシーズ ―種の起源―』ハヤカワ文庫SF(95))
『スピーシーズX』シリーズ(?)は本家と関係ないんですが、まあまあ楽しくて、新作がリリースされるとレンタルし、ずるずると観ております。さて、第4作はどうでしょうか。

スピーシーズ.jpg スピーシーズ2.jpg スピーシーズ3.jpg スピーシーズ4.jpg

【追記】
『スピーシーズXXXX 寄生獣の囁き』を観ました。
 相変わらず、「どこが『スピーシーズ』やねん(笑)」ですが、もともと『スピーシーズ』とは関係ないし、シリーズでもないのですから、今さらそんなことを言っても始まりません。絵に描いたようなB級ホラーですけど、今回もそこそこ楽しんでしまいました。同じ『なんたらX』映画でも、『プレデターX』よりは何倍もマシです。
『スピーシーズXXXXX』がリリースされたら、また観てしまうでしょうね。DVD販売会社の策略に完全にハマってます(苦笑)。
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「『謎のカード』解決篇」

 今年8月25日の記事で――
シャーロック・ホームズのライヴァルたち3.jpg
「謎のカード」の初邦訳は「ミステリマガジン」1966年4月号(119号)に掲載されました。そののち、紀田順一郎編『謎の物語』筑摩書房・ちくまプリマーブックス(91)、山口雅也編『山口雅也の本格ミステリ・アンソロジー』角川文庫(07)といったアンソロジーに収録されています。ちょっと調べてみたら、『シャーロック・ホームズのライヴァルたち3』ハヤカワ・ミステリ文庫(84)にも収録されているようですが、現物未確認です。

 と書きました。
 昨日、ふらっと近所のブックオフに立ち寄りましたら、『シャーロック・ホームズのライヴァルたち③』ハヤカワ・ミステリ文庫(84)を売っていたので購入。
ミステリマガジン238号.jpg あ、「謎のカード」本編だけでなく、作者(クリーヴランド・モフェット)自身による「『謎のカード』解決篇」も併録されているんですね。エドワード・D・ホックによる解決編「謎のカード事件」は読んだことがありますが、こちらは未読です。
 さっそく読みました。
 う~~~~む。ミステリではなくて、オカルトになっちゃってますね。まあ、「謎のカード」がああいう結末ですから、仕方ないかもしれませんが、ちょっと肩透かしかな。クロス人間って……(苦笑)。

 ホック「謎のカード事件」は、「ミステリマガジン」1976年2月号(238号)、『山口雅也の本格ミステリ・アンソロジー』角川文庫(07)で読めます。
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『僕と妻の1778話』

 来年1月15日、映画『僕と妻の1778の物語』が公開されます。

 拙ブログをお読みの方々には、説明の必要はないと思います。眉村卓原作の映画――いや、眉村卓をモデルにした映画と言うべきでしょうか。
 映画公開に合わせ、『僕と妻の1778話 メモリアルセレクション52』集英社文庫(10)が発行されました。眉村卓が妻のために書いた1778話から52話をセレクトした作品集です。解説は村上知子(眉村夫妻の娘)。じんとくる名解説と思います。
 各種情報は大熊宏俊さんのところにお任せするとして――
 関連書籍リストです。

僕と妻の1778話.jpg『日がわり一話』出版芸術社(98)
 全49話収録。
『日がわり一話 第2集』出版芸術社(98)
 全47話収録。
『日課・一日3枚以上(全10巻)』真生印刷株式会社(00~01)
 私家版。各巻に100話ずつ、計1000話収録。
『妻に捧げた1778話』新潮新書(04)
 全19話+エッセイを収録。
『僕と妻の1778話 メモリアルセレクション52』集英社文庫(10)
 全52話収録。
日がわり一話.jpg 日がわり一話第2集.jpg 日課・一日3枚以上 第一巻.jpg 妻に捧げた1778話.jpg
日課・一日3枚以上 全10巻.jpg

【追記】を読む。


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「星涯の会2009」パンフレット

「星涯の会2009」のパンフレットが届きました。
 先日、「キャプテンフューチャーコン2010」の記事を書いたとき、スペース・フォース(宇宙軍)サイトを眺めていたんですね。そしたら、「星涯の会2009」パンフレット頒布のお知らせがあり、その内容は――

星涯の会2009.jpg内容:野田さん年譜(著作リスト含む)最新改訂版、学習院大学在学中の1958年に学内誌に掲載された商業誌未発表の短編小説「B29の小さな話」、小説「アラバマの星あがるまで」(NASA-これがアメリカ航空宇宙局だ/CBSソニー出版)、ショート&ショート「あたい、歴史を変えちゃッたの」(はーとびーと/日本テレコム広報誌)、星涯の会2009レポート

 おお、野田昌宏のショートショート! これは珍しい。――もちろん注文しちゃいます。いやまあ、私は熱烈な野田ファンですから、ショートショートが掲載されていなくても注文したでしょうが。
 ショートショート「あたい、歴史を変えちゃッたの」、さっそく読みました。すっとぼけた味のナンセンス・ショートショートで、楽しかったです。

「野田さん年譜」を眺めていて、掲載されていない資料に気がつきました。
「野田昌宏講演会 SFイラストの系譜」のパンフレットです。平成元年(1989年)5月27日発行。編集:川合康雄、製本:京都大学SF研究会。
 巻頭に、野田昌宏による序文「キミ、SFは画なのだぜ……。」が掲載されています。
SFイラストの系譜.jpg  序文1.jpg序文2.jpg

【追記】12月23日
 今日、こんなのを発見しました。

「SCIENCE ROMANCE(サイエンス・ロォマンス)」Vol.1(1979年5月31日発行)
サイエンス・ロォマンス.jpg 編集 井上博明/小山良子/武井伸泰
    中間國一/八幡美津子/武井民恵
 発行 宇宙軍参謀本部
 編集責任 山本洋一

 野田昌宏インタビュー「大元帥大いに語る―会見録―」が掲載されています(3ページ)。
 ペンネーム(昌宏)の由来とか、最も好きな自分の翻訳作品とか、(当時はまだスタートしていなかった)『銀河乞食軍団』を書き始める前の思いとか、実に興味深い内容です。
「星涯の会2009」掲載の「野田さん年譜」に載っていませんので、ここに書いておくことにしました。
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映画『御茶漬海苔の惨劇館』

 映画『御茶漬海苔の惨劇館』を観ました。原作者であるマンガ家・御茶漬海苔が自ら監督を務めた実写作品です。全3話のオムニバス。

 ホラーマンガの映像化というと、すぐに思い出すのが楳図かずお、伊藤潤二です。どちらもマンガは大好きですが、映像化作品は(一部の例外を除いて)今ひとつという印象が残っています。彼らのマンガを好きすぎるということがマイナスに作用しているのかもしれません。
 で、映画『惨劇館』です。幸いなことに、と言いましょうか、御茶漬海苔のマンガは、ほどほどに好きという程度です。はたして映画は……?
 特撮の安っぽさは否めませんが、けっこう楽しめました。私の好みで言えば、原作マンガよりも映画のほうが好きです。特に3話目の「日記」(原作は「肉玉」)は面白かったですね。
 というわけで、『掌の小説』のお陰で清らかになった私の心は、あっという間に元通り、でろでろぐちゃぐちゃになってしまったのでした(笑)。

惨劇館1.jpg 惨劇館2.jpg 惨劇館3.jpg
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映画『掌の小説』

 映画『掌の小説』を観ました。
 ご存じ、原作は川端康成『掌の小説』――言うまでもなく、日本ショートショートの歴史において、極めて重要な意味を持つ作品群です。どちらかと言えば掌編小説に近く、私が考えるショートショートとは一線を画していますが、ショートショートの先駆的作品群であることは間違いないでしょう。

 4人の監督によるオムニバス作品で――
 第1話「笑わぬ男」――原作:「笑わぬ男」「死面(デス・マスク)
 第2話「有難う」――原作:「有難う」「朝の爪」
 第3話「日本人アンナ」――原作:「日本人アンナ」
 第4話「不死」――原作:「不死」

 映画は原作にかなり忠実に作られています。2作を合体させた作品も、ほとんど違和感はありません。
 いずれも静かな雰囲気のなかで、ひっそりと進むストーリー。映像美、そして鑑賞後の深い余韻……。たまにはこういうのもいいですね。スプラッタまみれの私の心に、しんみりと染み入ってきました。

 以下、『掌の小説』いろいろです。
感情装飾.jpg 骨拾い.jpg 川端康成全集第六巻.jpg 掌の小説(新潮文庫).jpg
掌の小説百篇上巻(新潮文庫).jpg 掌の小説百篇下巻(新潮文庫).jpg 掌の小説五十編(旺文社文庫)1.jpg 掌の小説五十編(旺文社文庫)2.jpg
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『二分間の沈黙』

 今日の「中日新聞」朝刊に――
記事.JPG
 へえ、音のない“曲”ですか。
 このあと、「連想するのはやはり、米国の作曲家ジョン・ケージの恐らく最も知られた作品『四分三十三秒』」と続きますが、不勉強にして私、『四分三十三秒』なんて曲は知りません。ネット検索してみました。

 あはは。壮大なお遊びですねえ。
 それはともかく、音のない“曲”と聞いて、私が即座に連想したのは、筒井康隆のショートショート「にぎやかな未来」でした。拙ブログを読まれている多くの方も同じではないかと推測します。こういうのって、とっても楽しいです。
にぎやかな未来(三一書房).jpg にぎやかな未来(角川文庫)1.jpg にぎやかな未来(角川文庫)2.jpg にぎやかな未来(徳間書店).jpg
 ちなみに、『二分間の沈黙』をニュース検索してみますと――
>売り上げが寄付されるだけでなく、もし同トラックがチャート入りすれば、チャートを
>紹介するテレビやラジオ番組では必然的に“2分間の沈黙=黙祷”の時間が取ら
>れることになる。これが、シングルをリリースした1番の目的だ。
 とのこと。なるほど、であります。詳しくは、こちらをどうぞ。

【追記】11月22日
 冒頭のコラム「中日春秋」ですが、ここに全文が掲載されていることに気がつきました。
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映画『エイリアン・インベージョン』

 映画『エイリアン・インベージョン』を観ました。
 私は『エイリアン』も『インベージョン』も大好き! ことに『エイリアン』は確実に生涯ベスト10にはいるくらい好きな映画です。この2つのタイトルが合体した映画となれば、観ないわけにはいきません。
エイリアン・インベージョン.jpg しかも、ジャケットのストーリー紹介には――
>アメリカ全土で残虐な大量殺人事件が続発。その犯人は、
>地球外の惑星から侵入したエイリアンだった! ヤツは人
>間そっくりに姿を変えて殺戮を繰り返し、密かに人類殲滅
>計画を進めていたのだ。
 おお、面白そうではありませんか。この記事にも書きましたが、私はエイリアンが地球人になりすますSF映画が大好きなんですよ。ジャケットに描かれている自由の女神像も、これまた大好きな『猿の惑星』を想起させ、期待を膨らませます。ところが……。
「アメリカ全土」ではないし、「人類殲滅作戦」でもないし、ジャケットの絵みたいなシーンはないし……。観終わって、唖然呆然愕然の世界――放心状態に陥ってしまったのでした。いや、つまらない映画ではなく、ほどほどに楽しめたんですけどね(笑)。
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所ジョージの昔話パロディ集

 所ジョージ『所ジョージさんの 頭がパァ~。』KKベストセラーズ・ワニの本(88)を眺めていましたら――
所ジョージさんの頭がパァ~。.jpg
魔法使いのおばあさん
「魔法使いのおばあさん」なんていうと、ふつう、いろんな魔法を使えるおばあさんを想像しますけれど、ホントはこのおばあさんはただのおばあさんで、たまたま孫に魔法使いがいるっていうだけなのかもしれないんですよね。「魔法使いの・おばあさん」なんですからね。
 だから魔法が使えるおばあさんのことは、正式には「おばあさんの魔法使い」というべきでしょうね。そういうことなんですよ。

ヒザマクラ
 ヒザまくらってありますけど、よく考えたら、ふつう恋人とか夫婦の方がしているのは“モモまくら”じゃないでしょうか。
 ヒザなんて、あんな固いところで寝るのは、かなりの根性がいりますよ。歯なんか食いしばって、甘いムードどころの騒ぎじゃありません。

鼻毛
 鼻毛というのは、鼻そのものに生えている毛を、鼻毛というんですよ。鼻の穴のなかにあるのは、“鼻の穴毛”ですからね。

 なるほど~と膝を打ちましたよ。ふだん何気なく使っていても、「よく考えると変」という日本語はたくさんあるんですね。だからと言って、「逆王手」の妙な使われ方を許容できるわけではありませんが(笑)。

 さて、所ジョージは昔話のパロディを大量に書いています。短い作品が多く、オチもあったりして……。ショートショートであるかどうかはともかくとして、私のチェック対象になっています。
 以下、所ジョージの昔話パロディ集リストを掲載しますが、ちゃんとリストアップできているか、全く自信がありません。抜けている本に気がつかれましたら、どうぞご教示を。

リストを見る。


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キャプテンフューチャーコン2010

「キャプテンフューチャーコン2010」開催のお知らせハガキをいただきました。
>今年は成人したカーティスニュートンがキャプテンフューチャーと名乗り、個性豊かな
>3人の仲間とともにフューチャーメンとして活動を開始する年です。
 とのこと。
 へえ、そうなんですか。昨年5月17日の記事「ハヤカワSFシリーズ」のコメント欄、 同月21日の記事「エドモンド・ハミルトン」にも書きましたように、私はエドモンド・ハミルトンが大好きですし、もちろん〈キャプテン・フューチャー・シリーズ〉も熱烈に読んでいましたけれど、今年がそんな年とは知らなかったですね。
 12月19日開催。詳しくは主催のSPACE FORCE(宇宙軍)サイトをご覧ください。

 さて……。
 2008年9月23日、「野田昌宏さんを偲ぶ会」が催されました。SF作家・翻訳家であった野田昌宏さん(2008年6月6日歿)を追悼するイベントです。
 翌2009年11月8日、「星涯(ほしのはて)の会2009」と名称を変更して、第2回を開催。今回の「キャプテンフューチャーコン2010」は「星涯の会2010」も兼ねているとのことです。
パンフレット.jpg 最初の「野田昌宏さんを偲ぶ会」には私も参加しました。関係者による座談会、貴重な映像の数々……。野田さんのことを思い出し、胸に込み上げるものがありました。(右の写真は受付で参加者に配付されたパンフレット『輝く星々のかなたへ!』です。内容は追悼メッセージ、年譜など)
 そう言えば、この日、柴野拓美さんも会場に来られていて、ご挨拶をしました。しかしまさか、これが柴野さんとの最後の会話になってしまうとは……。いろいろな意味で忘れられない会になりました。(今年1月17日の記事「訃報:柴野拓美さん」参照)
 いい機会ですから、展示会場の写真を紹介しておきましょう。
 

写真を見る。


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『私を変えたこの一冊』

私を変えたこの一冊.jpg 集英社文庫編集部編『作家24人の名作鑑賞 私を変えたこの一冊』集英社文庫(07)を読みました。自分の人生に大きな影響を与えた本について、24人の作家がその想いを綴ったものです。
 それぞれの作家の作風を鑑みて、なるほどと納得できる本であったり、意外な本であったり……。なかなか興味深いです。
 で――
 自分はどうなんだろう。
 と想いを巡らせてみました。
 これはもう、間違いなくE・R・バローズの〈火星シリーズ〉ですね。バローズ作品との出会いに関してはこの記事に書きましたので、重複は避けますが、とにかく私はバローズ作品によって「SF」というアルファベット2文字を強く意識するようになり、そこから派生して、読書の幅がどんどん広がっていったのですから。
火星のプリンセス.jpg 創作に影響を与えたとなると、星新一『ボッコちゃん』新潮文庫(71)でしょうね。私が初めて手にした星新一の本です。
 バローズの諸作品は楽しく読むだけで、創作への意欲を掻き立てられることはありませんでしたが、星新一のショートショートは違いました。面白いだけではなく、同じような小説を書きたくさせるという不思議な魔力を持っていたんですね。この魔力に取り憑かれた人は私だけではないと思います。
 ほんと、星新一のショートショートを読むと、簡単に書けそうな気がするんですよね。もちろん、それは錯覚に過ぎず、“ドン・キホーテ”というか“盲、蛇に怖じず”というか……。
 そのままの勢いで作家デビューしてしまったわけですが、デビューして何年か経って、星ショートショートの凄さ・奥深さを思い知らされたのでした。やはり“ショートショートの神様”なのであります。

 当然のことながら、私の作家人生に影響を与えたのは星新一作品だけではありません。おおぜいの日本人作家や外国人作家からも、多かれ少なかれ影響を受けています。
 E・R・バローズも例外ではありません。読み耽っているとき(ことに中学から高校にかけて)には、そういうタイプの小説を書こうとは思いませんでしたし、いずれ書くことになるなんて想像もしていなかったのですが、それから20年後の30代半ば、『風雲のズダイ・ツァ(全3巻)』ログアウト冒険文庫(93~94)を執筆している間、バローズの影響を感じずにはいられませんでした。この作品は、私なりのバローズへのオマージュとも言えるでしょうか。書き終えて、ものすごく満足したのを覚えています。
風雲のズダイ・ツァ1.jpg 風雲のズダイ・ツァ2.jpg 風雲のズダイ・ツァ3.jpg
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『スター・ワーズ』関連記事

 樹立社(『スター・ワーズ』版元)の社長・林茂樹さんから、黒古一夫が選ぶ 現代文学の旗手たち」に『スター・ワーズ』が採り上げられていることをお知らせいただきました。お茶目な表情の星新一さんが、なんとも愛らしいです。
 林さん、ありがとうございます。
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『太陽の東 月の西』

 子どものころに読み、すごく面白かった印象は残っているんだけど、タイトルは忘れちゃったし、内容もうろ覚え。――誰でも、そんな小説がひとつやふたつはあると思います(この記事のコメント欄参照)。
 もちろん、私にもあります。たとえば、以下の1冊。

 14~15年前でしょうか。パソコン通信の某掲示板に――
 読みたいけれど、タイトルが思い出せない。キーワードは“太陽の東、月の西”。
 というようなことを書き込んだところ、すぐに石原藤夫さんから、「そのものズバリ、『太陽の東 月の西』という本があります」とレスをいただきました。
 岩波少年文庫に収録されているアスビョルンセン編のノルウェイ民話集『太陽の東 月の西』とのこと。
 キーワードではなくて、タイトルだったとは……。ありゃりゃ、です。ちゃんと調べれば、自力で解決できましたね。お手数かけまして、申しわけありませんでした。>石原さん
 さっそく図書館で借りて、読みました。記憶に残っている印象ほどは面白くありませんでしたが、それでも長年の疑問が解消して、大満足したものです。
太陽の東月の西.jpg 太陽の東月の西(改).jpg
 その後、ショートショートの資料を求めて古本屋を回るようになりまして……。
 現在、うちには岩波少年文庫の初刊本(初版は58年)と改版本(86年に改版)があります。
 カイ・ニールセン画の新書館版(79)もあり、できれば入手したいと思っていますが、お値段が……(涙)。
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世界SF全集

 気持ち的には、昨日の記事『世界SF名作集』の続きです。

 1968年から71年にかけて、日本SF界にとって画期的な全集が刊行されました。早川書房〈世界SF全集〉です。(当初は全35巻+別巻『SF講座』の予定でしたが、別巻は発行されませんでした。実に残念)
 第1巻から30巻までは、代表的なSF作家(1冊に1人~3人)の長編を収録しています。「これを読まずにSFファンを名乗るな」と言いたくなるくらいの超有名作、大傑作ばかりです。これらの作品の多くは文庫本でも出ていますから、現在でも容易に手に取ることができます。
 今日、ここで私が採り上げたいのは31巻から35巻の短編集(アンソロジー)です。
 31:福島正実・野田昌宏・伊藤典夫編『世界のSF 古典篇』
 32:福島正実・伊藤典夫編『世界のSF 現代篇』
 33:飯田規和編『世界のSF ソ連東欧篇』
 34:石川喬司編『日本のSF 古典篇』
 35:石川喬司・福島正実編『日本のSF 現代篇』
 以上の5冊。現代篇として編まれた2冊も、発行から40年も経っていますから、今や古典と言ってもいいでしょう。
 ぶ厚いハードカバーで、本文は2段組です。とにかく、これでもか! というくらいに詰め込まれています。言うまでもなく、傑作揃い!
 こういう作品が書き継がれてきた上に、現代SFが成立しているんですね。しかし残念なことに、これらの傑作短編の多くは現在では容易に読めません。淋しいですねえ。若いSFファンにも読んでほしいですねえ。
 文庫化は難しいでしょうけれど、新装版での再刊は可能では?
 それだけの価値があるアンソロジーと思います。
世界のSF・古典篇.jpg 世界のSF・現代篇.jpg 世界のSF・ソ連東欧篇.jpg
日本のSF・古典篇.jpg 日本のSF・現代篇.jpg 背.jpg
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『世界SF名作集』

 何を思ったのか、今日は大伴昌司編『世界SF名作集』毎日新聞少年少女シリーズ・シニアー(69)を拾い読みしていました。
 この本には27編のSFが収録されています。――と書くと、ショートショートのアンソロジーと思われる方もいるかもしれませんが、違います。収録されているのは名作SFのリライト(ただし、極限まで短くした)なんですね。長編だろうと短編だろうと、数ページから十数ページに収められています。
 収録されているのは――

世界SF名作集.jpg「宇宙船ビーグル号の冒険」A・E・バン・ボークト
「宇宙狩人カーライル」アーサー・K・バーンズ
「スカイラーク宇宙へ」E・E・スミス
「ほらふきヨンの航星日記」スタニスラフ・レム
「火と霜の惑星」レイ・ブラドベリ
「月世界最初の男」H・G・ウエルズ
「監視」アーサー・C・クラーク
「わたしはロボット」アイザック・アシモフ
「カニの島」A・ドニエプロク
「ほらふきヨンの24回めの大旅行」スタニスラフ・レム
「ドウエル教授の首」アレクサンドル・ベリャーエフ
「カンテラ人間宇宙を行く」ニール・R・ジョーンズ
「星ねずみ」フレドリック・ブラウン
「コムリン博士の六本のマッチ」ストルガツキー兄弟
「ママだけが‥‥」ジュディス・メリル
「ドノバンの脳髄」カート・シオドマク
「新加速剤」H・G・ウエルズ
「砂漠の巨石像」I・ロソホワツキー
「タイム・マシン」H・G・ウエルズ
「ミクロの宇宙圏」エドモンド・ハミルトン
「みんなに光を」ロバート・ハインライン
「犬のお散歩ひきうけます」ロバート・ハインライン
「地底大陸ペルシダー」エドガー・ライス・バローズ
「影が行く」ジョン・W・キャンベル
「宇宙戦争」H・G・ウエルズ
「第三次世界大魔法戦」ポール・アンダースン
「太陽系最後の日」アーサー・C・クラーク

 一般的な邦訳タイトルとは違う作品もありますけれど、ある程度SFを読んでいる方でしたら、作者名から一般的なタイトルが類推できると思います。(たとえば「ミクロの宇宙圏」=「フェッセンデンの宇宙」)
 いやあ、名作SFが目白押しですね。SFファンの一般教養と言ってもいいような作品ばかり。もちろん私、ほとんどの作品は、ちゃんとした翻訳を読んでいます。こういった作品を読み耽っていたのは、おもに中学から高校にかけてのころです。とにかくSFが面白くて、次から次へと手を伸ばし……。SFという麻薬の中毒患者みたいでしたね。SFファンとして、最も幸せな時代だったと思います。
 本書を読み返すのは、おそらく35年ぶりくらいです。拾い読みしていると、すっかり内容を忘れていた作品のことを思い出しますし、それに何より、あのころの興奮が甦ってきて……。う~む、感無量!
 SFというのは、やはり私の原点であると再認識しました。
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『星新一ショートショート』DVD-BOX

ブックレット.jpg『星新一ショートショート』DVD-BOXを買いました。NHKで放送された『星新一ショートショート』から50編を収録したものです。
 NHKで放送された分は全話を録画してありますから、必要ないと言えば必要ないんですけれど、手元に置いておきたいと思うのが星新一ファンというものです。もちろん、ショートショートの資料でもありますし……。
 しかし、その定価は14700円! DVD5枚組ですから、1枚3000円弱。まあ妥当な値段とは言えるんですが、収録時間は計185分なんですね。
 欲しいなあ~。でも高いなあ~。全部観ちゃってるしなあ~。3時間ならDVD1枚に収録できるよなあ~。DVD1枚で3000円なら迷わず買うんだけどなあ~。
 と、うじうじしていましたが、ふとした拍子に、アマゾンでDVDのセールをしていることに気がつきまして、『星新一ショートショート』をチェックしてみましたら、おお、4割引き! それでも決して安くはないですけれど、意を決して買うことにしたのでした。
 手を出しかねていた星ファンの皆さん。チャンスですよ。(セールは来年1月10日まで)

 写真は――
 右上がオリジナルブックレット、下は函の表・背・裏です。
星新一ショートショート(表).jpg 星新一ショートショート(背).jpg 星新一ショートショート(裏).jpg
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逆王手

 2日前の記事で――
> ほとんどの日本人は何も考えずに日本語を話していて――まあ、当たり前と言えば当たり前なんですが、それが誤用の氾濫や奇妙な言葉の誕生につながっていると私は思っています。
 と書きました。
 いま、プロ野球の日本シリーズ第6戦をテレビ観戦しています。ロッテの3勝2敗で迎え、ロッテが勝てば優勝、中日が勝てば第7戦にもつれこむという重要な試合です。
 手に汗握る接戦で、試合自体には大満足なんですが……。
 ちょくちょく画面に表示される「M日本一か? D逆王手か?」が目障り。アナウンサーが何度も口にする「中日が勝って、逆王手をかけるか」が耳障り。
 いったい何が「逆」なんでしょう。中日が勝ったからって、逆に王手をかけるわけではなく、ロッテが王手をかけている状況に変わりはありません。
「王手」の意味を考えれば、「M日本一か? Dも王手か?」であり、「中日が勝って、ともに王手に持ち込むか」ではないでしょうか。ほんと、何も考えずに日本語を話してますねえ。情けないです。
 ふと思いついてネット検索してみたら、多くの人たちが同じ思いを抱いている様子です。ほっとすると同時に――
 しっかりせえよ。>アナウンサー&スポーツ・マスコミ
 であります。
 現在、13回表を終わって2対2の同点。さあ、試合に集中しましょうか。

【追記】11月7日
 結局、試合は延長15回の末、引き分けに終わりました。試合時間5時間43分は日本シリーズ最長とのこと。思い切り夜更かししてしまいました。
 今夜もまた、「逆王手」が連発される放送になるんでしょうね。はたと思えば、これぞまさに『バカにみえる日本語』(笑)。
 こういう言葉こそ、放送では使わないようにしていただきたいものです。→『使えない日本語』

【追記2】
「逆王手」をネット検索していたら、ここに――
>王手じゃなくて「リーチ」、逆王手でなくて「追っかけリーチ」、と表現すべきだ!
 おお、納得! 拍手です。しかし、新聞の紙面などでは使いづらいでしょうね(笑)。
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『使えない日本語』

 このブログでも何度も書いていますように、私は日本語が大好きです。当然のことながら、差別語も好きです。――と書くと、語弊があるかもしれないですね。差別語にまつわる動きを見ているのが好き、と言い換えましょう。
使えない日本語.jpg 差別語に関する本も好んで読んでいまして、1ヶ月ほど前ですが、放送批評懇談会編『使えない日本語 放送タブーの実態』いれぶん出版(75)という本を読みました。差別語問題が大きく採り上げられ、マスコミが放送禁止用語なるものを定めるようになって、間もないころに出版された本です。
 当時の状況がダイレクトに伝わってきて、それだけでも興味深いですし、何より圧巻は、各テレビ局が独自に作成した「放送禁句集」ですね。NET、TBS、ABC、民放連、NHKの内部資料が冒頭60ページ近くにわたって掲載されているのです。
 こんな言葉まで放送で使わないようにするの? と呆れるような言葉がずらり。差別語に対する私の考えはここに書きましたので、重複は避けますが、ほんと、「アホらし」としか言いようがないです。
「言葉狩り」と差別.jpg この手の本ですと、週刊文春編『徹底追及「言葉狩り」と差別』文藝春秋(94)も面白かったですね。読みながら何度も苦笑したことを思い出します。「第二章「白雪姫」は差別童話か?」なんて大笑いです。巻末には資料「主要マスコミ「言い換え」用語集」も収録されていて、これも愉快でした。
 こういう本を読んだことがないという方、何でもいいですから、お読みになることをお勧めします。ナンセンスでシュールな世界が堪能できるかも(笑)。

バンパイヤ.jpg とまあ、このような記事を書こうと思ったのは、現在、TVドラマ『バンパイヤ』を観ているからでありまして……。
 言うまでもなく、手塚治虫の名作マンガ『バンパイヤ』を原作とするドラマです。放送されたのは1968年~69年ですから、私が小学生のころです。実写とアニメの融合が実に斬新、そして新鮮。毎週、楽しみにしていたものです。
 42年ぶりの再鑑賞ということになりますが、ただ懐かしいだけではなくて、いま観ても面白いと思います。
 ま、それはさておき――
 このドラマでは「めくら」だの「おし」だの「きちがい」だの、いわゆる放送禁止用語が当たり前に使われているんですね。こんな言葉を聞いても、小学生の私に差別意識が生まれることも助長されることもありませんでした。「めくら」と聞けば「目の見えない人」と、「おし」と聞けば「言葉の話せない人」と理解していただけです。「きちがい」は、そのまんま「きちがい」だったかな?
 こういう人が大多数だと思うんですけどね……。
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『言えないコトバ』

言えないコトバ.jpg 益田ミリ『言えないコトバ』集英社(09)を読みました。
 他人が口にするのを聞くのはいいけど、いざ自分が使おうとすると躊躇してしまう。――そんな言葉について、あれこれを綴ったエッセイ集です。面白い着眼点ですね。
 最初に採り上げられているのが「おひや」です。
>家で水と呼んでいるものを、外では「おひや」などと、お出かけ用の
>名前に変換しようとする自分が照れくさいのだった。
 この気持ち、わかりますねえ。私は「おひや」と言えます(笑)が、そのたびに落ち着かない気持ちに襲われているのでした。
 私にも「言えないコトバ」はあって、たとえば「おやじ・おふくろ」です。幼いころのことは覚えていませんけれど、たぶん「パパ・ママ」だったのではないかと思います。それから「お父さん・お母さん」になり、高校生くらいになると周囲の友人は皆「おやじ・おふくろ」。私も頑張って、一時期は「おやじ・おふくろ」と言ってみたこともあるんですが、やはり何か違和感があって、その後はずっと「父・母」です。

 この著者(本業はイラストレーターだそうです)の日本語に対する意識の高さは相当なものですね。読んでいて、共感を覚えました。
 ほとんどの日本人は何も考えずに日本語を話していて――まあ、当たり前と言えば当たり前なんですが、それが誤用の氾濫や奇妙な言葉の誕生につながっていると私は思っています。
 とはいえ、実を申せば、私も以前はさほど意識してはいませんでした。“日本語の乱れ”を強く意識するようになったのは12~13年前でしょうか。これは小説のネタになると思い、誤用をテーマに初めて書いたのが短編「ニホン語」です(「小説CLUB」1999年1月号に掲載)。以後、誤用ショートショートを数多く書いています。
 いやしかし、これは諸刃の剣でもありました。自分が書いてきた文章が誤用のオンパレードだったことに気づかされ……。恥ずかしいなんてものではありません。
 赤面、赤面、また赤面! なのであります。
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『脳神経学者の語る40の死後のものがたり』

 デイヴィッド・イーグルマン『脳神経学者の語る40の死後のものがたり』筑摩書房(10)を読みました。
 こんな本が刊行されていたとは知りませんでしたが、ちょくちょく読みに行くブログ「奇妙な世界の片隅で」で――
脳神経学者の語る40の死後のものがたり.jpg> 著者が空想した死後の世界が、フィクションの形で書かれている
>のですが、どれも上質のショート・ショートになっていて飽きさせま
>せん。―中略―
> 収録作品が同じシチュエーションといえば、例えば星新一『ノック
>の音が』(新潮文庫)なんて作品を思い浮かべますが、コンセプトと
>いい、収録作品の肌触りといい、星新一を読むような楽しさがあり
>ます。アイディアに富んだショート・ショートを読みたい方はぜひ。
 と紹介されていて、これは読まなければ! と。(いつも有益な情報をありがとうございます。>高橋さん)
 死後の世界をテーマにした作品ばかりで、全40編。確かに面白い試みですし、楽しく読むことはできました。しかし、どうなんでしょう。さまざまなバリエーションやシチュエーションは興味深いんですけれど、ショートショートとして読むと、う~~む、今ひとつという印象ですね。
 もっとも、タイトルにもある通り、作者のイーグルマンは脳神経学者であり、小説家ではありません。その点を考慮すれば、悪くはないショートショート集と言えるでしょう。
アインシュタインの夢.jpg 私の評価が低い理由に、訳文への違和感もあるかもしれません。たとえば「キョドって嫁に尻尾をつかまえられないように」なんて書かれているだけで萎えてしまうのです。いつ消えてしまうかわからないような若者言葉を使う必要があるのか、大いに疑問です。
 あ、そうそう。
 読んでいて、現役の天文物理学者であるアラン・ライトマンの幻想掌編集『アインシュタインの夢』早川書房(93)/ハヤカワepi文庫(02)が脳裡をよぎったことを申し添えておきましょう。アインシュタインが見た(かもしれない)夢を描いた作品集です。『脳神経学者の語る40の死後のものがたり』とテイストは全く違いますが……。
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『バカにみえる日本語』

バカにみえる日本語.jpg 誤字等日本語研究会『誰でも一度は使っている バカにみえる日本語』辰巳出版(05)を読みました。
「はじめに」には――
> 世の中には「間違った日本語」が満ち溢れています。中には、
>その言葉が使われているだけで、文章全体の評価にまで影響
>するような間違いもあります。どんなに高度な学術論文も、どん
>なに情緒的な詩歌も、たった一言ですべてを台無しにしてしまう
>間違い、それが「バカにみえる日本語」です。文章の内容自体
>ではなく、瑣末な言葉遣いだけで「バカにみられて」しまうとした
>ら、それこそ「バカバカしい」というものです。
 と書かれています。
 確かに、ネットに書かれている文章は誤用だらけで、いちいち反応するのも馬鹿らしくなるほどです。私は誤用を目にしても、それを書いた人のことを「バカ」とは思いませんけれど、「情けないなあ」とは思います。いや、それよりも、「ん? これは誤用ショートショートのネタになるかも」と思うことが多いですね(笑)。
 そんな「間違った日本語」をインターネットの検索を用いて、その使用率を調査し、分析・考察したのが本書です。

 驚いたのは「こんばんわ」です。ネット検索での使用率は「こんばんは」が41パーセントで、「こんばんわ」が59パーセントだったとのこと。間違いのほうが多いんですが、この数字自体には「まあ、そんなものかな」という印象です。驚いたのは解説でして――
>「こんばんわ」という表記は、はっきり「間違い」のはずでした。ところが
>近頃の小学校では、「わ」を間違いとする教育はあまり行われていない
>ようです。それどころか、「こんばんは」の方が「間違い」だと断言してい
>る教師までいるとか。にわかには信じられないことですが、事実だとす
>れば「時代は変わった」と言うほかありません。
 こんな教師が本当に存在するんでしょうか。しかし……。ふと高校時代を思い返すと、「ナウマン象」のことを「マウナン象」と言ってた地学の教師がいたなあ(笑)。――これ、忘れられません。
 この本のなかで最も「間違い」率が高かったのは、「役不足」です。「自分では役不足」が99パーセント、「自分では力不足」が1パーセント。薄々は感じていましたけれど、ここまで誤用が広がっていますか。こんな数字を目にすると、口あんぐりですね。もはや「自分では役不足」というような使い方が正解なのかも。
 ほかにも、「ギプス」36パーセント、「ギブス」64パーセント。これも3分の2の人が間違って使っていますか。ふう……。
 その他いろいろ、楽しませてもらいましたが、サンプルが少なすぎるのが不満ですね。たったの36しか採り上げられていないのですよ。
 たとえば「ウオッカ(正しくは、ウオツカ)」とか「カムチャッカ(正しくは、カムチャツカ)」とか、ぜひ採り上げてほしかったですね。あと、これはネット検索での調査は難しそうですが、「かって(正しくは、かつて)」も。
 ネット検索による調査ということで、限界はあるでしょうけれども、せめて100は採り上げてほしかったと思います。
 ついでに書いておくと、残念ながら誤用ショートショートのネタにはなりませんでした。

 下の画像は帯(裏)です。通常、帯には内容の一部だけが掲載されるんですが、本書の場合、これがすべてです。
帯.jpg
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