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『こほろぎの旅』

 ここのところ、「ショートショートの…」というブログ・タイトルを無視した記事が多くなっています。今年の締めくくり――大晦日くらいはショートショート関連の記事を書こうかとも思いましたが……。

 先ほど、高村敏雄『昆蟲物語 こほろぎの旅』小學館(44)を読み終えました。ちょっと前に古本屋で見かけ、面白そうだなと思って買った本です。
 多くの方もそうでしょうが、私も小学生のころ、『シートン動物記』や『ファーブル昆虫記』に夢中になりました。物語仕立てになっていた『シートン動物記』に対して、『ファーブル昆虫記』は観察日誌です。どちらも面白かったですけれど、私は『シートン動物記』のほうが好きでしたね。『シートン昆虫記』があればいいなあ、なんて思っていたものです。
 あれから40数年、ようやく『シートン昆虫記』と言えないこともない本に出会えました。――この『こほろぎの旅』です。
こほろぎの旅.jpg 主人公はエンマコオロギの子どもです。彼が旅をしていく過程で、さまざまな昆虫と出会います。新たな昆虫と出会うたび、その昆虫の生態が描写されます。もちろん、昆虫のリアルな挿絵も随所に挿入されています。
 タイトルに「旅」とあり、これは正しいですね。「こほろぎの冒険」だったら、「どこが冒険なんだよ」とツッコミを入れてしまったかも(笑)。とはいえ、アリジゴクの穴に落ちたりカマキリに睨まれたり、人間に捕獲されて必死の思いで脱出したり……なんてシーンもあり、なかなか楽しい読み物でした。

 ということで……。
 今年1年のご愛読、ありがとうございました。1年前と比べると、信じられないくらいにアクセス数が増え、嬉しく思っています。これはもう、わざわざ読みに来ていただいている皆様のお陰です。
 来年も気が向くままに書いていきますので、よろしくお願いいたします。
 よいお年をお迎えください。
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反地球シリーズ

 昨日の続きです。
魔女の誕生.jpg ヒロイック・ファンタジーに想いを巡らせていて、都筑道夫編『魔女の誕生』新人物往来社(70)を手に取りました。今から40年前に発行された、たぶん本邦初のヒロイック・ファンタジーのアンソロジーと思います。収録作家は、ロバート・E・ハワード、フリッツ・ライバー、ロード・ダンセイニ、ヘンリー・カットナー、C・L・ムーア。――問答無用のメンバーです。
 その解説「英雄の誕生」(都筑道夫)を読んでいたら、「一時『アンドロメダ病原体』で大当りしたマイクル・クライトンの別名といわれたジョン・ノーマンの<ゴール星のタール・キャボット>」なんて書かれていて、あらら、そんなこともあったのかと、びっくり。
 このシリーズは1975年から創元推理文庫で、〈反地球シリーズ〉というタイトルで刊行が開始されました。アダルトなE・R・バローズ(笑)って感じで、バローズの熱狂的なファンからは賛否両論あるようですが、私は好きでしたねえ。
『ゴルの巨鳥戦士』(75)、『ゴルの無法者』(77)、『ゴルの神官王』(79)、『ゴルの遊牧民』(82)、『ゴルの暗殺者』(82)と、ここまでは、のんびりしたペースながら比較的順調に刊行されたのですが、第6巻『ゴルの襲撃者』が出たのは、第5巻から6年近く経った1988年です。
ゴルの巨鳥戦士.jpg ゴルの無法者.jpg ゴルの神官王.jpg
ゴルの遊牧民.jpg ゴルの暗殺者.jpg ゴルの襲撃者.jpg
 5冊で打ち切りかと思っていましたので、いきなり第6巻が出たときには驚きました。もっとも、これには理由がありまして、実は〈反地球シリーズ〉が映画化され、そのビデオがリリースされたんですよね。『ゴルの巨鳥戦士』の映画化『タイムスリップ TO ゴア』、『ゴルの無法者』の映画化『タイムスリップ TO ゴア2』の2作。
帯.JPG
 私? もちろん2作ともレンタルして、観ましたよ。はっきり言って、どうしようもない出来でしたが……(苦笑)。
 ビデオの発売に合わせて刊行された第6巻以降、続巻は出ていません。また映画化でもされない限り、奇跡的な復活はないでしょうね。

不死鳥の剣.jpg ヒロイック・ファンタジーのアンソロジーと言えば、中村融編『不死鳥の剣 剣と魔法の物語傑作選』河出文庫(03)もあります。こちらの収録作家は、ロード・ダンセイニ、ロバート・E・ハワード、ニッツィン・ダイアリス、C・L・ムーア、ヘンリー・カットナー、フリッツ・ライバー、ジャック・ヴァンス、マイクル・ムアコック。いま初めて気がついたのですが、『魔女の誕生』の5作家が全員揃って収録されています。
 解説(中村融)には、「この種の試みとしては、一九七〇年に都筑道夫氏の編で出た『魔女の誕生』(新人物往来社)に次ぐものということになる」と書かれています。確かに、ほかの本は記憶にありません。意外な気もしないではないですが、ヒロイック・ファンタジーは長大なシリーズものが多いですから、アンソロジーには向かないのでしょうね。まあ、納得できます。
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ハヤカワSF文庫

 大熊宏俊さんがこんなことを書くものですから、ついついハヤカワ文庫を収納している本棚に足が向かってしまいました。
 この記事にも書きましたが、もともと私はE・R・バローズの〈火星シリーズ〉からSFの世界に足を踏み入れた人間です。当然のことながら、ちょうどそのころ創刊されたハヤカワSF文庫(のちにハヤカワ文庫SF)を読み耽りました。現在では海外SFの総合的な文庫になっていますが、創刊してしばらくは、スペース・オペラやヒロイック・ファンタジーがメインの文庫だったんですよ。
 いやもう、とにかく楽しかったですね。背を眺めているだけで当時のことが思い出され、わくわくしてしまいます。
 この懐かしさを共有していただこうと、スペース・オペラやヒロイック・ファンタジーが並んでいるあたりを写真に撮りました。(画像をクリックすると、拡大表示)
 タイムスリップしていただければ幸いです。
ハヤカワSF文庫.JPG
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TVドラマ『大江戸神仙伝』

大江戸神仙伝.jpg 私はテレビの連続ドラマを観ることは滅多にありません。
『JIN―仁―』というドラマの総集編が昨日と今日、2回にわたって放送されますが、そんな私ですから、これまで完全にノーチェックでした。
 昨日の朝、何気なく新聞のテレビ欄の紹介を読みました。
 へえ、現代の脳外科医が江戸時代にタイムスリップするのか。こういう話、好きだな。
 で、とりあえず昨日の前編を録画し、今日の後編も録画予約しました。総集編とはいえ計9時間近く、観るかどうかはわかりませんが……(苦笑)。
 それはともかく――
『JIN―仁―』の内容を想像していて、私の脳裡に石川英輔『大江戸神仙伝』講談社(79)/講談社文庫(83)/評論社(92)がまざまざと甦りました。
 石川英輔の初めての大人向けSF長編です。『JIN―仁―』と同じく、現代人が江戸時代にタイムスリップする話で、これ、抜群に面白かったですね。
 そう言えば、TVドラマ化されていたなあ。何年か前、DVDに焼いたっけ。――と、DVDのケースをごそごそ。
 すぐに発見し、さっそくDVDプレイヤーにセットしました。
「金曜ロードショー」の枠で放映されたものですが、映画ではなく、オリジナル・ドラマです。ネットで調べてみますと、テレビ放映は1985年。25年も前ですか。
 う~~~ん。やはり面白いですねえ。いな吉役の叶和貴子もいいし……(笑)。→この記事参照
 このドラマはビデオ化はされているようですが、DVDにはなっていないようです。もったいないことです。
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『三分間の静寂』ほか

 昨日、こんな本を買いました。

◎朝日新聞社編『三分間の静寂―海外トピックス―』朝日新聞社・朝日文化手帖(54)
三分間の静寂―海外トピックス―.jpg 帯をアップにしますと――
帯.JPG
 冒頭に掲載されているのは、表題にもなっている「三分間の静寂」です。(この記事参照)
三分間の静寂.JPG

◎近藤あきら『ねらわれちゃった学園』KKベストセラーズ・WANI NOVELS(99)
ねらわれちゃった学園.jpg 紹介.JPG

 以上2冊、コメントを加える必要はないでしょう。まあ、そういうことです。
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『善良な男 他三篇』

 久しぶりに、古本の嬉しい収穫がありました。弾む心で記事を書きます。
 今年4月14日、この記事の【追記3】として、以下のように書きました。

「女か虎か」の邦訳ですが、「Index to Anthologies」というHPに、『探偵家庭小説篇』近代社・世界短篇小説大系(26)に「淑女か猛虎か」なるタイトルで収録されているというデータがありました(木村信兒・訳)。
 また、「改造社世界大衆文学全集目次細目」によりますと、『善良な男 他三篇』改造社・世界大衆文学全集(31)にも「淑女か猛虎か?」というタイトルで収録されているようです(木村信児・訳)。
 いつか現物を手にしたいものです。
(【註】「改造社世界大衆文学全集目次細目」へのリンクは無効になっていました)

善良な男他三篇.jpg あれから8ヶ月あまり経ち、『善良な男 他三篇』改造社・世界大衆文学全集(31)を入手しました。
 本の大部分を占めるのはポウル・デユ・コツクの長編『善良な男』ですが、巻末に他作家による3短編も収録されていて、そのうちの1編がフランク・アヤル・ストツクトン「淑女か猛虎か?」です。さっそく本文を確認。――うん、間違いなく「女か虎か」ですね。
『探偵家庭小説篇』は未入手、現物未確認ですが、おそらく同じでしょう。リドル・ストーリーの名品「女か虎か」が1926年に日本に翻訳紹介されていたとは……。

続きを読む。


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映画『ブラジルから来た少年』

 今日は年賀状を作りました。手間は大してかからないのですが、時間がかかるのが難点。印刷に何時間も要しますから。
 この時期、いつも思うのは――どうしてこう「田中さん」が多いんだろう(笑)。年賀状の遣り取りをしている「田中さん」だけでも6人。これ、多くないですか。
 それはともかく、印刷している間はパソコンが使えない(わけではないけど、なんとなく気忙しい)ので、本を読んだり映画を観たり……。
 そんなわけで、プリンタに給紙しつつ、映画『ブラジルから来た少年』を観ました。1984年に放送された「ゴールデン洋画劇場」バージョン。かなりカットされていますが、そういうことはあまり気にしません。
 原作はアイラ・レヴィンの同題作です。もちろん小説は読んでいますし、映画も観たことがあります。どちらも面白かった印象は残っていますが、大昔のことゆえ記憶はおぼろげ。――とはいえ、「ヒトラーのクローンを作る」話だったことくらいは覚えています。
 クローン技術が現実のものとなった現在、どう感じるのか。いささか不安はありましたけれど、それは杞憂に終わりました。ほんと、よくできたSFサスペンス映画と思います。傑作!
 おっと。
 なぜ急に映画を観ようと思い立ったかというと、ちょっと前に喜多哲士さんが日記で、この作品(映画ではなく小説ですが)に触れていて――
 おお、懐かしい! 映画、観てみようかな。――というわけです。
 しかし……。読んでない本、観てない映画が山ほどあるのに、こういう寄り道をしているから、なかなか消化できないんですよね。
 アイラ・レヴィン原作の傑作映画『ローズマリーの赤ちゃん』も再鑑賞したくなったりして、困ったものです。ふう……。
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『近代日本奇想小説史』

 すさまじい本が出ます。――横田順彌『近代日本奇想小説史 明治篇』PILAR PRESS。
「SFマガジン」連載の書籍化ですが、なんと1220ページ、12600円!
 詳細はこちらをどうぞ。横田順彌インタビューも読めます。

 以下の書影は――
『日本SFこてん古典(全3巻)』早川書房(80~81)
『探書記』本の雑誌社(92)
『古書ワンダーランド(全2巻)』平凡社(04)
日本SFこてん古典〔Ⅰ〕.jpg 日本SFこてん古典〔Ⅱ〕.jpg 日本SFこてん古典〔Ⅲ〕.jpg
探書記.jpg 古書ワンダーランド①.jpg 古書ワンダーランド②.jpg
 このような本の集大成になるわけですね。
 来年1月24日発売予定です。
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映画『クォーターマス博士』シリーズ

 先月、『火星人地球大襲撃』という映画を観ました(1967年制作)。私はよく知らないのですが、イギリスのTVドラマ『クォーターマス博士』シリーズを映画化した、その第3作ということです。
 これがまあ、底抜けに楽しい映画でして、なんと言っても、主人公のクォーターマス博士! とんでもない傑物なんですね。いちおうは科学者という設定なんですが、その思考回路はSF的というか誇大妄想というか。「その材料から、どうしてそんな結論を導く?」と突っ込みたくなるシーン多数。しかし、クォーターマス博士の言うことは、結果的に正しいんですよね(笑)。
 また、タイトルに偽りありで、火星人が地球を襲撃したりしませんが、それもご愛嬌。いやあ、愉快な映画でした。
 全3作あるそうで、となれば当然、第1作、第2作も観たくなります。近所のレンタルショップにはなかったのですが、幸いなことにビデオを知人が持っていて、貸していただきました。
 で、まずは第1作『原子人間』(1955年)を観ました。
原子人間.JPG 原子人間(ストーリー).jpg
 これも面白かったですね。ラストが少々呆気ない気もしますが、制作年代を考えると納得できます。モンスターを退治してハッピーエンドかと思ったら、「いや、まだまだ」なんて映画が主流になったのは、いつごろからでしょうか。強く印象に残っているのは『エイリアン』の第1作です。エイリアンのしつこさときたら……(笑)。
 ここのところ、古いSF映画を何本も観ています。改めて思うのは――私はこのころのSFが好きなんだなあ、ということです。映画に限ったことではありません。小説も、いわゆる50年代黄金期のSFが大好き。中学時代、その魅力にノックアウトされ、40年経った現在もSFファンなんですから。

溶解人間.jpg 以下、蛇足――ほんとに、どうでもいいような話です。
『原子人間』を観終わって――なんか似たような映画を観たことがあるような気がするなあ。
 記憶をまさぐってみると、どうやら『溶解人間』(1977年)のようです。幸い、ビデオを持っているので、取り出してきました。
 ずいぶん前に観た映画で、あまりよく覚えていないのですが、ジャケットの写真とストーリー紹介を見て、少しだけ思い出しました。溶解人間の特殊メイク以外は、取り立てて見るところはなかったような……。
 いや、それにしても、すさまじい表紙ですね。
溶解人間(ストーリー).JPG

【追記】
宇宙からの挑戦.JPG 続いて、第2作『クォーターマス2 宇宙からの挑戦』(1957年)を観ました。(これはビデオのタイトルで、DVDのタイトルは『宇宙からの侵略生物』だそうです)
 宇宙から飛来したエイリアンが地球人の体内に侵入し、その人間を支配する。――この記事にも書きましたように、こういうタイプの侵略SF映画、大好きです。
 巷では第3作『火星人地球大襲撃』の評価が最も高いようですが、私の好みでは第2作がベストですね。
 大満足しました。――最大の欠点は、字幕が「先脳」となっていることかな(苦笑)。
宇宙からの挑戦(ストーリー).jpg
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映画『月下の恋』

 すっかり映画づいていまして、結果、ブログを開設したときの趣旨とは明らかに違う記事が多くなっています。以前は、こういう記事を書くことに躊躇があったのですが、最近は完全に開き直ってしまいました。
 と、言いわけをしたところで、今日も映画の話です。

 2ヶ月ほど前、ジェームズ・ハーバートの著作リストをアップしました。若いころ、夢中になって読んだ作家の1人です。
 著作を調べている過程で、ハーバート原作の映画があると知りました。
『ジャンボ・墜落/ザ・サバイバー』1981年(原作は『ザ・サバイバル』)
『巨大ねずみパニック』1982年(原作は『鼠』)
『フルーク』1995年(原作は『仔犬になった男』)
『月下の恋』1995年(原作は『悪夢』=『月下の恋』)
 レンタルしようと探してみたものの、ふだん私が利用している店には見当たらず……。
 またいつか機会があれば、と思っていたのですが、古いビデオテープ(テレビ番組を録画したもの)の背ラベルを眺めていましたら、あらら、『月下の恋』があるではないですか。
 録画しただけで観ていないのか、観たけど忘れてしまったのか、それも覚えていません。いやはや、情けないです(苦笑)。

 ということで、映画『月下の恋』を観ました。
 原作は読んでいないので、予備知識ゼロです。観始めてすぐ、この映画は観たことがないと確信しました。いくら私が忘れっぽいといっても、こんな印象的なオープニングを忘れるはずがありません。
 しばらく観ていて、私が夢中になって読んでいたころのハーバートとは違うと感じました。ゴシックロマンス風の展開なんですよね。期待外れと言えば言えるんですが、こういうのも好きです。
 クラシックなムード溢れる幽霊映画。1995年の作品とは思えない古めかしさですが、それがマイナスかというと、そうではなくて、私にとってはプラスでした。映像は美しいし、音楽も心地よいし、佳品という言葉がふさわしい映画と思います。
 ふと思い返せば、いろんな意味で、先日観た『赤い影』と共通点が多いですね。
 ホラーの苦手な人にも勧めたくなる、どちらもそんな映画でした。

 古いビデオテープを眺めていて、エドガー・アラン・ポー原作のロジャー・コーマン映画が4本あることに気がつきました。うち2編はリチャード・マシスン、1編はチャールズ・ボーモントがシナリオを担当しています。そそられる名前ですが……。
 これまた、観たことがあるのか、ないのか。さっぱり覚えておりません。
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『W3』

 手塚治虫記念館「星新一展~2人のパイオニア~」で最も大きく展示されていた手塚治虫の原画は『W3 ワンダースリー』でした。星真一が主人公で、ワンダースリー隊長の名はボッコ。
 もちろん私も大好きなマンガでして、無性に再読したくなったのですが、読みたい本や観たい映画が多く、ついつい先送りしていました。
 先日、ようやく読み、懐かしさに身悶えしました。やはり抜群に面白いですね。同時にアニメも観たくなりましたが、それはともかく――
 そろそろ年賀状の準備をしなければなりません。え~、来年の干支は卯ですか。……ん? ウサギ?
 世田谷文学館「星新一展」の記念グッズ(ポストカード)を取り出してきました。――これ、いいなあ。年賀状に使いたいなあ。でも、年賀状の図柄がダブるのは恥ずかしいなあ。
 実に悩ましいのであります。
W3①.jpg W3②.jpg ポストカード.jpg
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TVドラマ『猿の惑星』

 先月末から、昔のTVドラマ『猿の軍団』を観ていました。原作は小松左京、田中光二、豊田有恒。
 ウィキペディアによりますと、放送されたのは1974年10月から翌年3月とのこと。好きな番組でしたが、何しろ家庭用VTRのない時代ですから、全話は観ていないですね。もっとも、ほとんど忘れちゃっていますので、全話云々は今さら関係ないですが……(笑)。
 36年の月日を経て、全26話を通して、ちゃんと観ました。――ははは。こんなのでしたか。思わず苦笑してしまうシーンが盛りだくさんで、現在の目で見れば不満点は数多くありますけれど、楽しかったです。
 で、思い出したのが、TVドラマ『猿の惑星』です。これまたウィキペディアによりますと、日本での放送は1975年5月から9月とのこと(全14話)。『猿の軍団』が終了して間もなくスタートしたんですね。
 こちらも内容はほぼ忘れていますが、面白かったという印象は強く残っています。
猿の惑星(創元).jpg とにかく私、映画『猿の惑星』シリーズが大好きなんですよ。特に第1作! 初めて観たときの衝撃は強烈でしたね。
 原作はピエール・ブール『猿の惑星』です。私が読んだのは創元推理文庫版(68)――これ、私がSFを意識するようになり、最初期に読んだSFの1冊なんです。いやあ、面白かったですねえ。
 映画『猿の惑星』を観たのは、そのあとです(テレビで)。映画は原作よりもさらに面白く……。何度もテレビ放映されていますが、そのたびに観てしまいます。
 もちろん、ノベライズ本も買いました。
 ピエール・ブール『猿の惑星』ハヤカワ・ノヴェルズ(68)――映画第1作の原作。
 マイクル・アヴァロン『続・猿の惑星』ハヤカワ・ノヴェルズ(70)――映画第2作のノベライズ。
 デイヴィッド・ジェロルド『最後の猿の惑星』ハヤカワ・ノヴェルズ(73)――映画第5作のノベライズ。
 ジェリイ・パーネル『新・猿の惑星』ハヤカワ文庫NV(74)――映画第3作のノベライズ。
猿の惑星.jpg 続・猿の惑星.jpg 最後の猿の惑星.jpg 新・猿の惑星.jpg
 なぜか第3作『新・猿の惑星』だけは文庫で、しかも第5作『最後の猿の惑星』の刊行後に発行されています。
 映画第4作『猿の惑星 征服』には、ジョン・ジェイクスのノベライズがあるようですが、翻訳は出ていません。ジョン・ジェイクスは一時期、けっこう楽しく読んだ作家でして、このノベライズ、ちょっぴり気になります。

 ということで、話は戻って、TVドラマ『猿の惑星』です。
 映画『猿の惑星』シリーズは全作がDVDも販売されていますから、いつでも鑑賞することができます。しかし、TVドラマ版は……。
 観たいですねえ。ソフト化されているのかしらん。

 以下、TVドラマ『猿の惑星』のノベライズです。
 ジョージ・A・エフィンガー『猿の惑星/逃亡者人間』ハヤカワ文庫NV(75)
 ジョージ・A・エフィンガー『猿の惑星/明日への脱出』ハヤカワ文庫NV(75)
 ジョージ・A・エフィンガー『猿の惑星/決死の逃亡』ハヤカワ文庫NV(75)
猿の惑星/逃亡者人間.jpg 猿の惑星/明日への脱出.jpg 猿の惑星/決死の逃亡.jpg
 あ。
 リメイク版の映画『猿の惑星』も面白かったですが、私の好きな『猿の惑星』とは別物ですね。1回観ただけで充分です。
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映画『人喰いアメーバの恐怖2』

 ここのところ、頭のなかが映画に占拠されています。新作ではなくて、ひと昔前の映画です。先月、某ヘンテコSF映画(タイトルは秘します)を観たんですが、それでミョーなスイッチがはいってしまったようです。
 というわけで、映画『人喰いアメーバの恐怖2』を観ました。
 先日の『赤い影』は、赤を大胆に使った映像が印象的な映画でした。こちらも“赤”だらけですけれど、その正体は人を喰らう巨大アメーバ。同じく赤を使った演出でも、こんなにも違うんですねえ(笑)。『赤い影』の映像美を再認識しました。
 映画自体は、いかにもB級モンスター映画らしい展開で、可もなく不可もなく……。フツーに楽しめました。
 で、第1作が気になりまして……。大昔、テレビで観たような気がするのですが、記憶は遥か遠くの世界に飛んでいってしまっています。もしかしたら録画しているかも、とビデオテープをチェックしましたが、残念ながら見当たりませんでした。
 その代わり、第1作のリメイク『ブロブ』が録画されたテープ発見。こちらもだいぶ前に観たきりで、ほとんど忘れちゃっています。とりあえずこれで渇を癒すことにしましょうか。

シーバース.jpg ビデオを探している途中で、『恐怖の人喰い生物』なんてベタなタイトルが目に飛び込んできて――はて? どんな映画だったっけ?
 ちょっと再生してみたら――あ、『シーバース』ではないですか。デヴィッド・クローネンバーグ監督の初期作品です。
 こちらは数年前にビデオを見かけて購入。そのときにも観ましたので、まだよく覚えています。でろでろぐちゃぐちゃ映画。こういうの、好きですねえ。
 昔のクローネンバーグ作品と言えば、『ラビッド』はすさまじかったです。これは劇場で観て、完全KOされました。深く印象に残っています。

【追記】12月14日
 映画『ブロブ』を観ました。アメーバの特撮は『人喰いアメーバの恐怖2』と比較すると、格段の進歩を遂げていますね。楽しく観ることができました。
 ちなみに――
『人喰いアメーバの恐怖(=マックイーンの絶対の危機)』1958年
『人喰いアメーバの恐怖2』1972年
『ブロブ』1988年
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映画『赤い影』

 映画『赤い影』を観ました。原作はダフネ・デュ・モーリアの短編「今見てはだめ」(『真夜中すぎでなく』三笠書房(72)に収録)です。
真夜中すぎでなく.jpg オカルトやサスペンス、そしてホラーの要素もありますが、本質的には幻想映画でしょう。中盤までストーリーは静かに進み、退屈な時間帯がないこともないのですけれど、終盤、一気に盛り上がります。ラスト・シーンは全く予想できなかったですね。あ、原作の短編は読んでいません。反省しつつも、読んでいたら意外なラストを楽しむことはできなかったでしょうから、結果オーライかな、と。
 日ごろ、あまり観ないタイプの映画ですが、楽しく鑑賞し、心地よい余韻に浸ることができました。
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『エッフェル塔の潜水夫』

 この記事にカミ『エッフェル塔の潜水夫』の邦訳リストを掲載しましたが、実はリストに掲載していないものもあります。
 旺文社の学習誌「中一時代」1966年10月号の付録・中一文庫版です。原作・カミ、文・河合三郎。
 この存在は知っていたのですけれど、抄訳だし雑誌の付録だし、リストに入れる必要はないかなと思っていました。現物を見たこともなく、もちろん持っていないということも理由のひとつですが。
 それがですね、ひょんなことから入手できてしまいました。知人のSさん――T・F・ポイス『山彦の家』筑摩書房(53)をいただいたSさんです――に、これもいただいてしまったのです。
 文庫サイズ(本文2段組)で96ページ。原作はぶ厚い長編(ちくま文庫版では400ページ以上)ですから、かなり端折っていますね。
 河合三郎による「かいせつ」には――
エッフェル塔の潜水夫(中一文庫).jpg> 作品はほとんどコント(ショート・ショート)で、長編の代表的な
>ものが「エッフェル塔の潜水夫」です。
 とあり、おおっ!(嬉)
 私が読んだ『エッフェル塔の潜水夫』は小山書店・世界大衆小説全集版(55)でした。よく覚えていないんですが、高校生のころだったと思います。35年くらい前ですね。内容はほとんど忘れていて、いい機会だからと、この中一文庫版を読んでみました。
 先ほど読了。――面白かったです。お読みになった方はご存じのように、むっちゃくちゃな話なんですけどね(笑)。
『エッフェル塔の潜水夫』自体は何度も出版されていますが、現在、いずれも入手は容易ではないようです。こういう小説を絶版とか品切れにしておくのはもったいないなあと思います。
 ともあれ、Sさん、ありがとうございました。
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ラジオ『男のポケット』

 毎度、大熊宏俊さんのところからの情報です。
 以下、大熊さんが紹介されている新聞記事からの情報を交えて――
 その昔、エフエム大阪に『男のポケット』という番組がありました。1979年1月から1985年3月まで、毎週木曜日に放送。パーソナリティは眉村卓。
 放送期間、私は東京と名古屋に住んでいましたので、この番組を聴くことはできませんでしたが、番組内で眉村卓が自作を朗読していたことは知ってました。新聞記事によると――
> 当時番組のプロデューサーだった石田洋一さんによると、番組は2本録り。眉村さんは
>録音1時間前に局内へ入り、その場で2本書いていたという。
> 「集中できるからと、書類棚にひじをつき、立って書いていらした印象があります。眉村
>さんが宇宙人に思えました」と笑う。当時から、「自分で決めたルールは必ず守る、強い
>意志を持った人だった」といい、番組回数と同じ326作を残した。
 うへえ! であります。
 ちなみに、番組で朗読された作品をまとめたショートショート集『最後のポケット』の「あとがき」には――
> 末尾のところにショートショートコーナーというのが設けられていて、局へ行くとその日の
>テーマが告げられるのだが、ショートショートもテーマがらみのものにしなければならない。
>書きあげたのを読むわけである。毎回、かなり苦しい作業であった。
 と書かれています。
 この『男のポケット』がエフエム大阪の開局40年記念として、4回だけ復活するそうです。来年1月10日(月)から13日(木)、同局『PEACE!』という番組内での限定放送。
 調べてみますと、『PEACE!』は毎週月~木曜日、午前8時20分~11時の放送です。『男のポケット』がどの時間帯に放送されるかは不明。朗読されるのは、妻のために書いた1778話から選ばれた作品とのこと。
 関西在住の方々、要チェックですよ。

 ラジオ番組『男のポケット』で朗読されたショートショートは、以下の4冊に収められています。
『ぼくたちのポケット』角川文庫(80)*全56編収録。
『ポケットのABC』角川文庫(82)*全41編収録。
『ポケットのXYZ』角川文庫(82)*全43編収録。
『最後のポケット』角川文庫(85)*全98編収録。
ぼくたちのポケット.jpg ポケットのABC.jpg ポケットのXYZ.jpg 最後のポケット.jpg
 計238編ですね。この4冊に収録されていない作品が88編あります。ほかのショートショート集に収録されているのかな。(昨年12月15日の記事「『ぼくたちのポケット』異装版」もご参照ください)
 ラジオで朗読されたショートショートをまとめた作品集となりますと、『鳴りやすい鍵束』徳間書店(76)/徳間文庫(83)もあります。こちらはラジオ関西『飛べ! 熊五郎、ただ今大奮闘』、1974年10月~1976年1月の放送です。
鳴りやすい鍵束.jpg 鳴りやすい鍵束(徳間文庫).jpg
 今回の『男のポケット』復活放送には、1月15日公開の映画『僕と妻の1778の物語』のプロモーション的な意味合いもあるようです。
 関連書籍の帯も映画公開に合わせて差し替えられています。ご紹介しておきましょう。

帯を見る。


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映画『ミミズバーガー』

ミミズバーガー.jpg 映画『ミミズバーガー』を観ました。ずーっと前から、観たいと思っていた映画です。前に『スクワーム』と『スラッグス』のことを書きました。ミミズやらナメクジやらが出てくる映画、好きなんですよね。ついでに書いちゃうと、ゴキブリも(笑)。
 どんな内容かと言いますと――
 生ミミズを食します。本物のミミズです。特撮ではありません。老若男女、みんなが食べます。ミミズを食べているシーンでは、口元が画面に超どアップで映されます。ミミズが口の内外でのたうちます。気色悪いです。
ジャケット写真.JPG ミミズを食べると、下半身がミミズのミミズ人間になります。もろに作り物で、コントに使う小道具みたいです。膝の関節がくっきり出ています。ミミズには見えません。こんなのです。→右の写真(ジャケットより)
 うはははは。このギャップ、たまりませんねえ。
 ストーリーは、はっきり言って今ひとつでしたが、この際、どうでもいいでしょう(笑)。楽しく鑑賞しました。
 とはいえ、いささか物足りない気持ちもあります。
深海の大怪獣.jpg と言いますのも……。
 佐々木孫悟空という芸人をご存じでしょうか。
 この記事にも書きましたが、私は変な生き物が大好きです。
 今年の春ごろでしたか、『実在する!! 深海の大怪獣』ミリオン出版(10)というムックを読みました。DVDが付録に付いていて、奇妙な海の生物の映像を満喫。しかし、最も印象に残ったのは、DVDの本編ではなくて特典2「食虫芸人 佐々木孫悟空の珍グルメ紀行 バケモノ深海魚を喰らう!!」でした。いやはや、何でも食べちゃうんですよね。薄気味悪い深海魚はおろか、その深海魚に寄生する虫までも。もちろん、生で!
 このDVDで初めて存在を知ったのですが、強烈でしたねえ。>佐々木孫悟空
 その後、『虫フードファイター・佐々木孫悟空の 世界最強虫喰王決定戦』なんてDVDを借りちゃったりして(笑)。ゴキブリそのほか、生でバリバリ食べまくっておりました。ミミズの早食いでギネス記録に挑戦なんてことも……。
 呆然自失のDVDでありました。

 ネット検索し、You Tubeに、佐々木孫悟空がミミズ・サンドイッチを食べる映像がアップされていることを知りました。映画『ミミズバーガー』にもミミズ・サンドイッチを食べるシーンがありますが、佐々木孫悟空の食いっぷりには、とうてい敵いません。
 そういうのが苦手な方もおられるでしょうし、拙ブログが汚れるのも嫌(笑)なので、その映像にリンクを貼るのはやめておきます。
 興味のある方は、ご自身で検索してみてください。>You Tube 
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「友だち」

 NASAが何やら発表すると聞いて、わくわくしていた人も多いと思います。思いっ切り肩透かしを食わされましたね。
 何年か前、こんなショートショートを書いたことを思い出しました。

          *             *             *

        友だち

「ねえ、あなた。ようやく良夫に友だちができたらしいのよ」
 一週間の出張から帰ってきた良太郎に、妻が嬉しそうに言った。
 良夫というのは、良太郎たちの一人息子で、現在小学一年生である。
 一ヶ月ほど前、良太郎は念願のマイホームを購入し、都心のマンションから郊外の一戸建てに引っ越した。
 それに伴い、良夫は転校したのだが、まだ新しいクラスメートに馴染めず、放課後、いつもひとりぽっちで淋しそうにしていたということは、良太郎も妻から聞いている。
「へえ、よかったじゃないか。クラスメートかい?」
「ううん、そうじゃないらしいの。ほら、近くに川があるでしょ。あそこの河原で知り合ったらしくて」
「ふーん。河原でねえ。で、どんな子なんだい?」
「あたしも会ったことがないから知らないんだけど、とーっても意志が固い子なんだって」
「ははは。変な言い方だなあ。頑固とか、ほかに言い方があるだろうに」
「ほんと。でも、わがままな良夫と、よく仲よくできると思うわ。ふふっ」
「そうだよなあ。それで、ご両親の職業は?」
「お医者さんみたいよ」
「ほう。医者か。親がしっかりしているなら、その子も大丈夫だろう」
「ええ、そうね」
「あ、そう言えば、良夫はどうした? もう六時だぞ」
「それが、まだ帰ってきてないの。友だちができてからというもの、あの子ったら、学校から帰ってくると、すぐに出かけちゃって、夕ごはんの時間まで帰ってこないのよ」
「へえ。その友だちのこと、よっぽど気に入ってるみたいだなあ。今度、うちに連れてくるように言えば?」
「そうね。どんな子なのか、気になるし……」

 両親が話し合っているころ――
 夕暮れ迫る河原で、良夫はその友だちと遊んでいた。しかし、遠くから眺めただけでは、良夫が一人で遊んでいるとしか見えないだろう。
 良夫の遊び相手は、河原にごろごろ転がっている巨大な石のひとつだった。いや、正確に言うと、ただの石ではない。知性を有する石――珪素型生命体なのである。
 もちろん良夫は母親に嘘をついていたわけではなかった。「どんな子なの?」と問われて「硬い石」と答え、「ご両親は?」と問われて「石」と答えただけなのだから。

 初出:「赤き酒場」第347号(2006年11月20日発行)

ショートショートで日本語をあそぼう2.jpg【追記】
 半村良ファンクラブ〈続・半村良のお客になる会〉の会報「赤き酒場」には、『まだまだショートショートで日本語を遊ぶのだ』と題して、ショートショートを連載させていただきました。第334号(2005年10月号)から第349号(2007年1月号)まで、計16回。
 連載が終わる少し前、掲載済みの作品+アルファを収録した冊子『ショートショートで日本語をあそぼう2』を作りました。2006年12月31日発行。B5判、24ページ。全23編収録。もちろん、「友だち」も収録されています。
 いや実は、この冊子を作ったこともすっかり忘れていまして、山本さんのコメントで思い出したのでした(苦笑)。
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映画『吸血怪獣ヒルゴンの猛襲』

 今朝。ふと――
 ここんとこ、新刊書店に行ってないなあ。
 と思いました。定かではありませんが、たぶん1ヶ月くらい足を運んでいないのではないか、と。
 いけないですねえ。――ちょっぴり反省しつつ、行きつけの書店に行ってきました。
◎バリー・ユアグロー『真夜中のギャングたち』モンキーブックス(10)
 全47編収録。こんな本が出ているとは知りませんでした。バリー・ユアグローの短編集リストはこちらです。
◎大森望編『きょうも上天気 SF短編傑作選』角川文庫(10)
 この本は、取り置きを頼んでありました。浅倉久志訳の短編SFアンソロジーです。全9編。ほとんど既読のような気がしますが、浅倉ファンとしては買わないわけにはいかないでしょう。
 購入したのは以上の2冊。1ヶ月もご無沙汰している割には、買いたい本は少なかったです。
真夜中のギャングたち.jpg きょうも上天気.jpg
 さて、話はがらりと変わって――
吸血怪獣ヒルゴンの猛襲.jpg 映画『吸血怪獣ヒルゴンの猛襲』を観ました。
 ちょっと前、『吸血巨大ヒル襲来!』という映画を観たんですね。タイトル通り、巨大なヒルが人を襲う映画です。2008年――つまり2年前の映画なんですが、ストーリーは古めかしく、出てくる巨大ヒルは「私、ゴムでございます」(笑)。とてもじゃないですけど、最近の映画とは思えません。
 調べてみたところ、1959年に作られた『吸血怪獣ヒルゴンの猛襲』のリメイクと判明しました。約50年の歳月を経たリメイク! 元の作品がどんなだったのか、興味が湧いてしまったというわけです。
『吸血巨大ヒル襲来!』は『吸血怪獣ヒルゴンの猛襲』のシナリオをほぼ忠実に踏襲したものでした。『吸血巨大ヒル襲来!』では古めかしく感じたストーリーも、『吸血怪獣ヒルゴンの猛襲』では納得。何しろ51年前の映画なんですからね。着ぐるみ然とした巨大ヒルも、これまた納得。モノクロ作品ということもありますが、「私、ゴムでございます」ヒルよりもいい感じです。
 半世紀も前の映画をリメイクするなら、少なくとも映像技術面では大きなプラス要素がなければ駄目と思います。その点、『吸血巨大ヒル襲来!』は失格ですね。はっきり言って、『吸血怪獣ヒルゴンの猛襲』のほうがずっと面白かったです。
 何年か前、やはり巨大なヒルが人を襲う『ザ・ヒル』という映画を観ました。2002年の作品なんですが、「私、ゴムでございます。糸で引っぱられています」(笑)。
 現在の特撮技術であれば、もっとリアルなヒル映画を作れると思うんですが……。
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映画『地球最後の女』

 映画『地球最後の女』を観ました。ロジャー・コーマン監督、1960年の作品です。
地球最後の女.jpg リチャード・マシスン原作の映画『地球最後の男』と直接の関係はないらしいのですが、こんなタイトルだと、観ておきたくなります。
 ちなみに、『地球最後の男』の原題は『The Last Man On Earth』、『地球最後の女』は『Last Woman On Earth』で、いいかげんな邦題をつけたものではありません。あ、いま気がついたのですが、『地球最後の男』は1964年の作品。『地球最後の女』のほうが先なんですね。
 ということで、『地球最後の女』です。よせばいいのに、DVD(2008年販売)には「アイ・アム・ウーマン・オブ・レジェンド」なんて副題がついています。
 肝心の内容は……。
 なぜか一時的に地球上の酸素濃度が薄くなり、陸上生物はほぼ全滅します。たまたまダイビングをしていて助かった男女3人の物語です。設定だけを見ると『トリフィドの日』にも似ていますね。彼らの身に何が起こるかと期待させるんですが、『地球最後の男』や『トリフィドの日』とは違って、この世界にはヴァンパイアもトリフィドもいません。ストーリーのメインは、生き残った男女3人の三角関係。これがまた陳腐この上なく……。ひたすら退屈でした。
 ジャケットには“アカプルコでたった6日間で撮影し、余った時間で、ほぼ同じキャストで「呪われた海の怪物」という作品も撮影しているB級映画”とあり、まあ6日で撮影したにしてはよくできていると言えるのかも。
呪われた海の怪物.jpg 最低の映画と思いますが、ともあれ観ることができて、満足しています。観なければ、最低なのかどうかわかりませんから。
『呪われた海の怪物』は、以前に観たことがあります。ジャケットの紹介によれば、こちらも6日で撮影したそうで、それが納得できる出来です。ことに怪物の造形は、手抜きを通り越して、ふざけているとしか思えません。それでも笑いの要素(あまり笑えないけど)がある分、『地球最後の女』よりは面白かった――いや、マシでした。
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『ミステリーの書き方』

 日本推理作家協会編『ミステリーの書き方』幻冬舎(10)が送られてきました。
ミステリーの書き方(幻冬舎).jpg アンケート協力者宛ての礼状が同封。しかし、そんなアンケートに答えた記憶はなく、はて?
 目次を見ますと、“「ミステリー作家への質問」は、2003年に日本推理作家協会会員の作家を対象に実施したアンケート137名の回答から抜粋しました”とあります。
 2003年!? わひっ、7年も前ではないですか。記憶をまさぐってみれば、そんなアンケートがあって、答えたような気もしますけれど、どんな内容のアンケートで、何を答えたのかとなりますと、さっぱり思い出せません。
帯.JPG アンケート回答ページには、私の回答もいくつか掲載されています。読んでみますと――
 うん、確かにこれは私が答えたものですね(笑)。いま、同じアンケートがあったとしても、同じような回答をするでしょう。
 続いて、本文にもざっと目を通しました。
 おお! これは素晴らしい!
 こんなに懇切丁寧に作られた小説作法書を見たことがありません。アマチュアで小説を書いている方々が悩みがちなこと、あるいは無頓着になりがちなことを拾い上げ、ずばっと答えてくれています。巻末にはFAQのページも!
 それだけではありません。43人の作家が開陳するノウハウの数々、そして137人のアンケート回答。私もプロ作家の端くれですが、その目で見ても多くの示唆に満ちていて、実に刺激的です。――これはじっくりと腰を据えて読まなければ。
 ミステリに限らず、広くエンターテインメント小説を書いている人、書きたいと思っている人は、ぜひぜひお手に取ってみてください。必ずや参考になるでしょう。500ページ近い大冊で、定価1800円(+税)。お買い得と思います。

 ふと、アメリカ探偵作家クラブ著/ローレンス・トリート編『ミステリーの書き方』講談社(84)/講談社文庫(98)を思い出しました。タイトルが同じということだけではなく、会員アンケートも収録した構成など、内容も非常に似ています。
 この本を読んだのはずいぶん昔のことですが、とても楽しかったことを覚えています。あ、別にミステリを書こうと思って読んだわけではないんですけどね。
ミステリーの書き方(講談社).jpg 裏表紙.jpg
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「再び輝く星々のかなたへ!」

 昨日の記事をアップしたあと、何となく〈キャプテン・フューチャー・シリーズ〉に想いを馳せていて……。ふと思い出しました。
 大学1年のとき、〈キャプテン・フューチャー・シリーズ〉の短編を(途中までですが)翻訳したことがあるんです。その翻訳は、東京理科大学SF研究会の会誌「兆」(この記事参照。書影もあります)に連載しました。もっとも、「兆」はたった2冊を発行しただけで休刊。連載も中断となり、それっきりなんですが……。
 テキストとして用いたのは、アメリカのSF雑誌「STARTLING STORIES」1951年5月号に掲載された“Birthplace of Creation”です。もちろん、当時は未訳。
 これは、すでに翻訳のあった長編『輝く星々のかなたへ!』ハヤカワSF文庫(73)の後日談でして、原題を無視して、私は勝手に「再び輝く星々のかなたへ!」なんてタイトルを付けちゃいました。
輝く星々のかなたへ!.jpg 紹介.JPG連載第一回.jpg
鉄の神経お許しを.jpg 私の翻訳は中途半端に終わってしまいましたが、この“Birthplace of Creation”は「SFマガジン」1983年7月臨時増刊号(昨日の記事参照)に、「〈物質生成の場〉の秘密」というタイトルで、ちゃんとした翻訳が掲載されています(山本孝一+野田昌宏訳)。この作品も野田昌宏さんの長編『風前の灯! 冥王星ドーム都市』と同じく、長らく「SFマガジン」に掲載されたきりでしたが、2007年、創元SF文庫『鉄の神経お許しを 他全短編』に収録されました。
 ちなみに、私の翻訳は――
・連載第一回「1・フューチャーメンの基地」――「兆」創刊号(1977年6月20日発行)に掲載。「〈物質生成の場〉の秘密」では「1 フューチャーメンの砦」(創元SF文庫版329~337ページ)に当たります。
・連載第二回「2・虚空の秘密」――「兆」休刊号(1978年2月15日発行)に掲載。同「2 大宇宙の神秘」(同337~349ページ)に当たります。
お詫び.jpg 右の画像は連載第二回(事実上の最終回)の最終ページです(クリックすると拡大表示)。キャプテン・フューチャーはぼやき、訳者は尻切れトンボになったことをお詫びしております。

 以下、内輪の話です。
「〈物質生成の場〉の秘密」は山本孝一さんと野田昌宏さんの共訳です。翻訳にあたり、山本さんは私の翻訳を参考にしようとされたそうですが……。
「難しい言い回しがあって、高井さんのを参考にしようとしたら、ちょうどそこだけ省いてある」と(笑)。
 全く覚えていませんが、よくわからない箇所は飛ばしちゃったんでしょうねえ。
 お役に立てず、申しわけありませんでした。>山本さん
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『フューチャーメン出動せよ!』

 先日、「キャプテンフューチャーコン2010(+星涯の会2010)」のことを書きました。(今月19日、新宿にて開催)
 実は、このイベントを主催するSFファングループ〈宇宙軍〉で中心となっている井上博明さんとは旧知の仲です。――といっても、若いころ(20代前半)に遊んでいただけで、その後ずーっとご無沙汰していましたが。
 一昨年の「野田昌宏さんを偲ぶ会」会場で、たぶん27~28年ぶりに再会。「やあやあ、久しぶり」と歓談しました。いやあ、昔の仲間というのは、いいものですね。

 その井上さんから「キャプテンフューチャーコン2010」に関し、おっ! という情報をいただきましたので、ご紹介します。
 まずは、イベント当日、会場で配付される冊子です。
 タイトルは『フューチャーメン出動せよ!』――ハヤカワ文庫SFを模した体裁(当然、文庫サイズ)で、120ページ。表紙は水野良太郎! 野田昌宏さんが〈キャプテン・フューチャー・シリーズ〉について書いたエッセイをまとめたものです。
〈宇宙軍〉サイトに表紙と目次が掲載されていますので、ここに転載します。

〈キャプテン・フューチャー〉シリーズ紹介・解説記事
フューチャーメン出動せよ!.jpg 「SF英雄群像」 フューチャー・メン出動
 ハヤカワSFシリーズ「太陽系七つの秘宝」
  ハミルトンとキャプテン・フューチャー・シリーズ
 ハヤカワSFシリーズ「時のロストワールド」
  スペース・オペラの時代
 「宇宙FBI」まえがき
  ★読者のみなさんへ
  「宇宙FBI」について(解説)
 「スペース・オペラ名作選〈Ⅰ〉太陽系無宿」
  〈特別取材〉スペース・オペラの主人公達を訪ねて
 「アニメージュ」 『キャプテン・フューチャー』について
 日本で一番くわしい人の一番くわしい話。翻訳者・野田昌宏氏にインタビュー
 「キャプテン・フューチャー①恐怖の宇宙帝王」
  《解説――『キャプテン・フューチャー』シリーズの出発》
 「キャプテン・フューチャー②時のロストワールド/謎の宇宙船強奪団」
  《解説――四十年前の原作と現代》
 「THE WORLD OF CAPTAIN FUTURE」 Message from Great Adomiral
 「キャプテン・フューチャー・ハンドブック」
  宇宙軍大元帥(野田昌宏)よりごあいさつ/イラストギャラリー
  Let's Read Captain Future さぁキャプテン・フューチャーを英語で読んでみよう
 「透明惑星危機一髪!」創立50周年記念復刊 新装版への訳者あとがき
 「NHK人間大学 宇宙を空想してきた人々」第7回
  SFの“市民権”獲得へ ~スペース・オペラからのテーク・オフ~
 「SFを極めろ! この50冊」 時のロスト・ワールド The Lost World of Time
   これぞスペース・オペラの極めつき!
〈C.F.Con 1990〉レポート

 うはっ。これはすごいですねえ。イベントに参加すると、こんなのがもらえちゃいますか。
 井上さんからは、カバー全体の画像データも送っていただきました。〈宇宙軍〉サイトにアップされているのは表紙だけですが、袖も背も、ハヤカワ文庫SFそのものです。これはもう、ハヤカワ文庫SF〈キャプテン・フューチャー・シリーズ〉の別巻と言ってもいいですね。

 そして、これはまだ〈宇宙軍〉サイトにアップされていない情報です。
 野田昌宏さんの草稿ノートも会場で展示されるとのこと。表紙には「新CF用プロット覚エ書キ.1977・6・18」とあります。野田さんのオリジナル〈キャプテン・フューチャー・シリーズ〉長編『風前の灯! 冥王星ドーム都市』の草稿でしょうね。
『風前の灯! 冥王星ドーム都市』は「SFマガジン」302号(1983年7月臨時増刊号)の“キャプテン・フューチャー・ハンドブック”に一挙掲載されました。ノートの日付(1977・6・18)から、じっくりと構想されていたのだということがわかります。
 この長編は長らく「SFマガジン」に掲載されたきりでしたが、2008年、創元SF文庫に収録されました。私、歓喜しましたねえ。全国の〈キャプテン・フューチャー〉&野田ファンも同様だったと思います。
草稿ノート.JPG SFマガジン302号.jpg 風前の灯!冥王星ドーム都市.jpg
 イベント参加要綱は、こちらを。
 まだ定員には達していないとのことです。
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