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『脳神経学者の語る40の死後のものがたり』

 デイヴィッド・イーグルマン『脳神経学者の語る40の死後のものがたり』筑摩書房(10)を読みました。
 こんな本が刊行されていたとは知りませんでしたが、ちょくちょく読みに行くブログ「奇妙な世界の片隅で」で――
脳神経学者の語る40の死後のものがたり.jpg> 著者が空想した死後の世界が、フィクションの形で書かれている
>のですが、どれも上質のショート・ショートになっていて飽きさせま
>せん。―中略―
> 収録作品が同じシチュエーションといえば、例えば星新一『ノック
>の音が』(新潮文庫)なんて作品を思い浮かべますが、コンセプトと
>いい、収録作品の肌触りといい、星新一を読むような楽しさがあり
>ます。アイディアに富んだショート・ショートを読みたい方はぜひ。
 と紹介されていて、これは読まなければ! と。(いつも有益な情報をありがとうございます。>高橋さん)
 死後の世界をテーマにした作品ばかりで、全40編。確かに面白い試みですし、楽しく読むことはできました。しかし、どうなんでしょう。さまざまなバリエーションやシチュエーションは興味深いんですけれど、ショートショートとして読むと、う~~む、今ひとつという印象ですね。
 もっとも、タイトルにもある通り、作者のイーグルマンは脳神経学者であり、小説家ではありません。その点を考慮すれば、悪くはないショートショート集と言えるでしょう。
アインシュタインの夢.jpg 私の評価が低い理由に、訳文への違和感もあるかもしれません。たとえば「キョドって嫁に尻尾をつかまえられないように」なんて書かれているだけで萎えてしまうのです。いつ消えてしまうかわからないような若者言葉を使う必要があるのか、大いに疑問です。
 あ、そうそう。
 読んでいて、現役の天文物理学者であるアラン・ライトマンの幻想掌編集『アインシュタインの夢』早川書房(93)/ハヤカワepi文庫(02)が脳裡をよぎったことを申し添えておきましょう。アインシュタインが見た(かもしれない)夢を描いた作品集です。『脳神経学者の語る40の死後のものがたり』とテイストは全く違いますが……。
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