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世界SF全集

 気持ち的には、昨日の記事『世界SF名作集』の続きです。

 1968年から71年にかけて、日本SF界にとって画期的な全集が刊行されました。早川書房〈世界SF全集〉です。(当初は全35巻+別巻『SF講座』の予定でしたが、別巻は発行されませんでした。実に残念)
 第1巻から30巻までは、代表的なSF作家(1冊に1人~3人)の長編を収録しています。「これを読まずにSFファンを名乗るな」と言いたくなるくらいの超有名作、大傑作ばかりです。これらの作品の多くは文庫本でも出ていますから、現在でも容易に手に取ることができます。
 今日、ここで私が採り上げたいのは31巻から35巻の短編集(アンソロジー)です。
 31:福島正実・野田昌宏・伊藤典夫編『世界のSF 古典篇』
 32:福島正実・伊藤典夫編『世界のSF 現代篇』
 33:飯田規和編『世界のSF ソ連東欧篇』
 34:石川喬司編『日本のSF 古典篇』
 35:石川喬司・福島正実編『日本のSF 現代篇』
 以上の5冊。現代篇として編まれた2冊も、発行から40年も経っていますから、今や古典と言ってもいいでしょう。
 ぶ厚いハードカバーで、本文は2段組です。とにかく、これでもか! というくらいに詰め込まれています。言うまでもなく、傑作揃い!
 こういう作品が書き継がれてきた上に、現代SFが成立しているんですね。しかし残念なことに、これらの傑作短編の多くは現在では容易に読めません。淋しいですねえ。若いSFファンにも読んでほしいですねえ。
 文庫化は難しいでしょうけれど、新装版での再刊は可能では?
 それだけの価値があるアンソロジーと思います。
世界のSF・古典篇.jpg 世界のSF・現代篇.jpg 世界のSF・ソ連東欧篇.jpg
日本のSF・古典篇.jpg 日本のSF・現代篇.jpg 背.jpg
コメント(4) 

コメント 4

雫石鉄也

この全集、広告が出たときからワクワクして、とぼしい小遣いをやりくりして、毎月1冊づつ買いました。当初は、全冊そろえてやろうという意気込みでしたが、挫折して何冊かヌケがあります。
別巻を楽しみにして、ずっと待っていたけれど、結局出ませんでしたね。
昨年、この全集の月報をまとめたものが出ましたから、この「別巻」も今からでも出してもらいたいものですね。
by 雫石鉄也 (2010-11-10 13:51) 

高井 信

 リアルタイムで買われていましたか。
 全集が発刊されたころ、私は小学生で、まだSFなんて言葉も知りませんでした。のちに全集のことを知りましたけれど、買ったのは、ハヤカワのSFシリーズや文庫、あるいは創元推理文庫などで読めない作品が収録されている巻だけです。数えてみたら、うちにあるのは11冊だけでした。
 揃えようかなと思ったこともあるんですが、置き場所を考えると……。重いですから、買った本を持ち帰るのも大変ですし(笑)。
『SF講座』が未刊に終わったのは私も残念です。どこまで準備できていたんでしょうかねえ。
by 高井 信 (2010-11-10 16:00) 

山本孝一

私もリアルタイムで買ってました。「SF講座」を楽しみにして…。
あと、「筒井・光瀬・眉村」さんの巻が当初は書下ろし長編と聞いてましたが
結局は既刊の長編の再録でがっかりしたおぼえがあります。
この全集に収録されているハミルトンの「時果つるところ」は、
その後もハヤカワSFシリーズにも文庫にも入らないまま今に至ってます。
ハミルトンらしい面白い話なんですけどね。



by 山本孝一 (2010-11-10 19:43) 

高井 信

 おお、山本さんもリアルタイムで!
>この全集に収録されているハミルトンの「時果つるところ」は、
>その後もハヤカワSFシリーズにも文庫にも入らないまま今に至ってます。
 そうなんですよね。不思議でたまりません。
 ちょっと前、創元SF文庫や河出書房の奇想コレクションでハミルトンが出て、ひょっとしたら……と期待したんですが。
by 高井 信 (2010-11-10 21:50) 

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