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『私を変えたこの一冊』

私を変えたこの一冊.jpg 集英社文庫編集部編『作家24人の名作鑑賞 私を変えたこの一冊』集英社文庫(07)を読みました。自分の人生に大きな影響を与えた本について、24人の作家がその想いを綴ったものです。
 それぞれの作家の作風を鑑みて、なるほどと納得できる本であったり、意外な本であったり……。なかなか興味深いです。
 で――
 自分はどうなんだろう。
 と想いを巡らせてみました。
 これはもう、間違いなくE・R・バローズの〈火星シリーズ〉ですね。バローズ作品との出会いに関してはこの記事に書きましたので、重複は避けますが、とにかく私はバローズ作品によって「SF」というアルファベット2文字を強く意識するようになり、そこから派生して、読書の幅がどんどん広がっていったのですから。
火星のプリンセス.jpg 創作に影響を与えたとなると、星新一『ボッコちゃん』新潮文庫(71)でしょうね。私が初めて手にした星新一の本です。
 バローズの諸作品は楽しく読むだけで、創作への意欲を掻き立てられることはありませんでしたが、星新一のショートショートは違いました。面白いだけではなく、同じような小説を書きたくさせるという不思議な魔力を持っていたんですね。この魔力に取り憑かれた人は私だけではないと思います。
 ほんと、星新一のショートショートを読むと、簡単に書けそうな気がするんですよね。もちろん、それは錯覚に過ぎず、“ドン・キホーテ”というか“盲、蛇に怖じず”というか……。
 そのままの勢いで作家デビューしてしまったわけですが、デビューして何年か経って、星ショートショートの凄さ・奥深さを思い知らされたのでした。やはり“ショートショートの神様”なのであります。

 当然のことながら、私の作家人生に影響を与えたのは星新一作品だけではありません。おおぜいの日本人作家や外国人作家からも、多かれ少なかれ影響を受けています。
 E・R・バローズも例外ではありません。読み耽っているとき(ことに中学から高校にかけて)には、そういうタイプの小説を書こうとは思いませんでしたし、いずれ書くことになるなんて想像もしていなかったのですが、それから20年後の30代半ば、『風雲のズダイ・ツァ(全3巻)』ログアウト冒険文庫(93~94)を執筆している間、バローズの影響を感じずにはいられませんでした。この作品は、私なりのバローズへのオマージュとも言えるでしょうか。書き終えて、ものすごく満足したのを覚えています。
風雲のズダイ・ツァ1.jpg 風雲のズダイ・ツァ2.jpg 風雲のズダイ・ツァ3.jpg
コメント(2) 

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雫石鉄也

私の場合はレンズマンですね。
東京創元社版、小西宏訳、イラスト真鍋博の本です。全巻読みました。もちろん小隅黎訳の新しいものも読み直しました。
モノを書くきっかけは、なんといってもチャチチャヤングショートショートコーナーです。この番組と出会っていなければ、私はモノを書くという習慣は身につけていなかったでしょう。私の人生に決定的な影響を与えた番組です。そういう意味からも私にとって眉村さんは私の大恩人です。
by 雫石鉄也 (2010-11-16 22:33) 

高井 信

 私の場合、真剣に小説を書こうと思ったきっかけは、筒井康隆さん主宰の〈ネオ・ヌル〉に入会したことでした。
 もう少し早く生まれて、関西に住んでいたら、チャチャヤングだったかも。
 もう少し遅く生まれていたら、〈星新一ショートショート・コンテスト〉だったかも。
 こういうタイミングは重要ですね。
 あ、そう言えば、西秋生さんはこの3つすべてに入選しているんですよね。いやはや、すごい!
by 高井 信 (2010-11-17 09:21) 

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