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日本語の考察

『問題な日本語 その④』の「半端ない」の項目を読んで以来、おかしいと感じる日本語に対して、なぜ違和感を覚えるのか、なぜ不快なのかを考察することを楽しむようになりました。
 たとえば「何気に」や「さりげに」。――言うまでもなく「何気なく」「さりげなく」の省略形です。しょっちゅう耳にしますが、私にとって違和感ありまくり。それはなぜかと考察すれば、要するに、たとえば「遠慮なく」「遺憾なく」「忌憚なく」を「遠慮に」「遺憾に」「忌憚に」と略して言っているのと同じにしか感じられないからなんですね。「何気に」や「さりげに」を違和感なく使う方々は「遠慮に」「遺憾に」「忌憚に」にも違和感ないのでしょうかねえ。
 例を挙げると――
「遠慮なくいただく」→「遠慮にいただく」
「遺憾なく力を発揮する」→「遺憾に力を発揮する」
「忌憚なく発言する」→「忌憚に発言する」
 オーケーですか?

 さて。
 朝刊のテレビ欄を見ていましたら、『プレバト漢字書き順王』という番組に――
>あ然!正しく使えない日本語7選!!御の字…こだわり…鳥肌が立つ
 と書かれていました。「御の字」って、誤用の余地があるのかしらん。「こだわり」はもはや誤用とも言えないかもなあ。「鳥肌が立つ」には、いつまで経っても慣れないなあ。
 なぜ「感動する」の意味で使われる「鳥肌が立つ」に違和感を覚えるのか。これは以前にも考察したことがあります。要するに、私にとって「鳥肌が立つ」は「総毛立つ」や「身の毛がよだつ」と同じなんですよね。たとえば「昨日の試合、すごかったなあ。身の毛がよだったよ」なんて言葉、受け入れられますか?
 同様に、「耳ざわりのいい音楽」を気にならない人は「目ざわりのいい景色」なんて表現もすんなりと受け入れるのだろうなあ。――とか、あれこれ考察していると、楽しくなってきます。(あ、言うまでもありませんが、「耳ざわり」は本来「耳障り」と書き、「耳に障る」つまり「不快な」音や声のことです。私の学生時代、国語の書き取り問題で「みみざわり」を「耳触り」と書いたら不正解でしたが、いまは正解なのかな?)
 ほかにも、高級な料理店や高尚な趣味に対して「敷居が高い」と言う人がいますが、これにも違和感ありまくりです。現在は使われるようになっているから許容範囲とか、そういうことではなくて、昔からそう思い込んでいた言葉が違う意味で使われると、どうしても違和感を覚えてしまうのです。「ハードルが高い」とか「手を出しかねる」とか「身分不相応」とか、いろいろな言葉があるんですから、わざわざ間違った言葉を使わなくてもいいのになあ、と思います。
 あ。そうそう。
 最近では「ブス」という言葉に驚きました。これは女性限定で使われる言葉と思っていましたが、いやいや、男性に対しても使われるようになっているのですね。私の知る限り、そういう男性に対しては「ブサイク」とか「醜男」だったのですが……。
 はっきり言って、よくわからないです。>最近の日本語

 ということで、『プレバト漢字書き順王』の放送を楽しみに待つことにしましょう。「7選」ということですから、「御の字」「こだわり」「鳥肌が立つ」以外に4つ。どんな言葉が採り上げられるのでしょう。わくわく。
 え~。出演者たち同士の遣り取りには興味ありません。どんな番組でもだいたい同じで、口を揃えて、「知らなかった~」「間違ってるほうしか聞いたことない」。
 番組で正しい意味を知り、それで言葉づかいを改めるかというと、そんなことは決してなく……。ほんと、懲りないというか学習能力がないというか。まあ正確には、その気がないのでしょうけれど(笑)。

【追記】
 番組を観ました。残りの4つは「役不足」「知恵熱」「琴線に触れる」「破天荒」でした。
「役不足」――誤用の定番中の定番。もはや古典ですね。間違えるほうに呆れますが、これを出題しようと考えるほうにも同様に呆れます。
「知恵熱」――「勉強をしすぎたり頭を使いすぎたときに知恵熱が出るなんてよく使いますが」というナレーションが流れて、びっくり。よく使う? ほんと?
「琴線に触れる」――どうしてこんなものが出題されるんだろう、と思っていたら……。あら、間違える人がいるんですね。いやはや、びっくり。
「破天荒」――拙ブログで何度も書いています。もはや諦めの境地に達しております(笑)。
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