SSブログ

『週刊文春「ギャグゲリラ」傑作選』

 このブログでも何度も書いていますが、私はリドル・ストーリーが大好きです。
 世界三大リドル・ストーリーの古典として知られるフランク・ストックトン「女か虎か」、マーク・トウェイン「中世のロマンス」、クリーヴランド・モフェット「謎のカード」のうち、今日は「謎のカード」にスポットを当てます。この記事にも書きましたように、私が好きなのは「女か虎か」や「中世のロマンス」のタイプでして、「謎のカード」のような作品はあまり好みではないんですけどね(苦笑)。
「謎のカード」の初邦訳は「ミステリマガジン」1966年4月号(119号)に掲載されました。そののち、紀田順一郎編『謎の物語』筑摩書房・ちくまプリマーブックス(91)、山口雅也編『山口雅也の本格ミステリ・アンソロジー』角川文庫(07)といったアンソロジーに収録されています。ちょっと調べてみたら、『シャーロック・ホームズのライヴァルたち3』ハヤカワ・ミステリ文庫(84)にも収録されているようですが、現物未確認です。
ミステリマガジン119号.jpg 謎の物語.jpg 本格ミステリ・アンソロジー.jpg

 先日、赤塚不二夫『週刊文春「ギャグゲリラ」傑作選』文春文庫(09)を読みました。ある年代以上の方々には説明不要でしょうけれど、若い方への説明のため、書影だけではなくカバーの紹介文と帯裏(主要キャラクター紹介)の写真も掲載しておきます。
ギャグゲリラ.jpg 紹介.JPG
帯.jpg
 簡単に言うと、時事ネタを扱ったギャグ・マンガです。1972年スタートとのことで、私もそのころのニュースや事件は覚えていますから、マンガの元ネタや、デフォルメされて登場する実在人物がすぐに脳裡に浮かびます。非常に懐かしく、また楽しく読みました。
 赤塚不二夫のすごさを再認識しましたが、それはともかく、「謎のカード」です。
無題.JPG 本書の3本目の作品を読んで、私は「謎のカード」を強烈に思い出したんですね。目次では「(無題)」となっていますが、本文ページではそうではなく、ちゃんとタイトルはあります(→右の写真)。――あは、読めませんね(笑)。
 このような文字(?)の書かれたカードのはいった封筒が落とし物として派出所に届けられます。もちろん警官には読めず、「たぶんガキのらくがきだ!!」。
 ところが、拾ってきた男はカードを見て、「へーえ!! そうか!! こりゃすごいや!! う~~ん、知ってはならないことを知ってしまった……」。
 警官は焦ります。しかし、「なんてかいてあるんだ? おしえろ!!」と問い詰めても、男は「いや!! おまわりさんが知っちゃいけないことです。知りたかったらご自分で解読してください」と応じてくれません。
 この謎のカードを巡ってのギャグが続き、最後にはストンと落としてくれます。
 赤塚不二夫がモフェット作品を念頭に置いて、このマンガを描いたのか、それはわかりません。赤塚不二夫のことですから、おそらくモフェット作品を読んでいると思いますが、真相は藪の中――もとい、墓の中です。
 ともあれ、私は赤塚マンガのほうがずっと好きですね。ショートショートとして読んでも見事な出来で、まさに、すっきりしたオチのある「謎のカード」と思います。
 昨年発行の本ですから、大きな書店には並んでいるでしょう。興味のある方は、ぜひ現物を読んでみてください。

【追記】11月25日
 関連記事をアップしました。→こちら
コメント(3) 

コメント 3

サイトー

紀田順一郎編『謎の物語』を読みました。
(北村薫さんの『謎のギャラリー』も全巻読んでいます)

本にいろいろ刺激を受けて、前に高井先生からアドバイスをいただいたリドルストーリーに挑戦してみました。
高井先生の好みでない作品をテーマにして恐縮ですが(汗)、Cモフェットの『謎のカード』に解答するという形式です。
ブログにUPしましたので、ご迷惑でなければ、高井先生にもご訪問いただけると光栄です。
(ブログの宣伝みたいで申し訳ありません……)

http://takeaction.blog.so-net.ne.jp/
by サイトー (2010-08-27 21:56) 

高井 信

 読ませていただきました。
 こういう終わり方はいいですね。私の好きなリドル・ストーリーのタイプです。(欲を言えば、もっと切羽詰まった状況に追い込んでほしいですが)
 気になった点を挙げさせてもらうと――
「謎のカード」の最後には「カードは××になっていた!」(伏字にします)と書かれています。それにも言及する必要があるのでは?
 また、老人がカードを入手した経路が書かれていないのはいいとしても、なぜカードを持ち歩いているのか。とても不自然で、都合がよすぎると思いました。そのあたりの説明も欲しいところです。
 あと、些細なことですが、「解答」だったり「回答」だったり……。変換には気をつけましょう。
 ともあれ、楽しませていただきました。
by 高井 信 (2010-08-28 07:13) 

サイトー

>高井先生
こんなに感想を書いていただきありがとうございます。
感謝感激です。
謎のカードは最後は××になったのに言及する必要がありますね。
完全に抜けてしまいました。
けど、××を絡ませれば、老人がカードを入手した経緯も説明がつけられそうです。
アドバイスありがとうございます。
状況をさらに逼迫させるのも含めて、10枚ならほどよくまとめられそうです。
10枚程度のショートショートの公募先ないかなあ(笑)

>、「解答」だったり「回答」だったり
基本的な部分ができてなくて申し訳ありません(大汗)
by サイトー (2010-08-29 06:01) 

コメントを書く

お名前:[必須]
URL:
コメント:
画像認証:
下の画像に表示されている文字を入力してください。