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「せる」終刊号

 拙著『ショートショートの世界』では、ショートショートと短編の同人誌「せる」のことも紹介しました(117ページ)。
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 斎藤肇を紹介した際にもちらと触れましたが、〈星新一ショートショート・コンテスト〉の入選者たちを中心に結成された創作グループ〈AんI〉の会誌です。
 一九八六年に創刊され、最新号は一九九五年に発行された二十号です。休刊あるいは終刊したという話は聞いていませんが、二十一号が出る可能性は限りなく低そうです。
 もともと、コンテストの入選者――つまり、才能のある人たちばかりで作られた同人誌ですから、そのレベルの高さたるや半端ではありません。井上雅彦、矢崎麗夜(矢崎存美)、斎藤肇、太田忠司など、現在、プロの作家として活躍している人、多数です。
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ショートショートランドセル.jpg「せる」という誌名について、少し補足しておきます。
「せる」の前身は「SHORTSHORTランドセル」――もちろん、講談社刊のショートショート専門誌「ショートショートランド」を意識した誌名ですが、本家(?)「ショートショートランド」が終刊となり、「SHORTSHORTランドセル」は1986年3月発行の第23号をもって廃刊。「せる」として再スタートしたわけです。(言わずもがなと思いますが、「SHORTSHORTランドセル」-「ショートショートランド」=「せる」。編集は両誌とも斎藤肇が担当しています)
 3月26日の記事で斎藤肇さんのショートショート集『本意補遺』を紹介した際、“「せる」に関しては、ちょっとした動きがあるようですから、その動きが形になったときに改めて書こうと考えています”と書きました。
せる21.JPG 実はあのころ、15年近い沈黙を経て、終刊号(第21号)を発刊しようという計画が持ち上がっていたんですね。その話を聞いたとき、思わず「ウッソー」と叫びそうになりました。“二十一号が出る可能性は限りなく低そうです”なんて書いてしまい、大失敗です。
 で、つい先日、その終刊号が発行されましたので、ここで紹介いたします。
 目次にずらりと並ぶ執筆陣は、プロ、プロ、プロ……。『ショートショートの世界』で名前を挙げた井上雅彦、矢崎存美、斎藤肇、太田忠司はもちろんのこと、田中哲弥、奥田哲也、それに会員ではありませんが江坂遊も寄稿しています。私も祝辞(!)を書かせていただきました。
 全く「せる」とは無縁に過ごしてきた私ではありますが、最後に少しだけ、ほんの少しだけでも関わることができて、とても嬉しく思います。

せれ.jpg 余談になりますが……。
 かつて〈AんI〉では地方での活動も盛んだったようで、たとえば関西在住の田中哲弥、輝鷹あちの2人が「せれ(CELE)」というショートショート同人誌を発行しています。どう考えても「せる」を意識した誌名ですね。
「せる」創刊号の発行は1986年7月ですが、「せれ」創刊号の発行は、それからわずか1ヵ月後の同年8月です。「せる」第2号の発行は同年10月ですから、それより先に出たわけで、この素早い行動力には感服するしかありません。
 もっとも、「せれ」は創刊号のみの発行で終わってしまいましたけれど……。

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コメント(2) 

コメント 2

斎藤肇

 ご紹介ありがとうございます。
 目下、「せる」の販売予定としては、今年のSF大会での販売ってのが決まっているくらいですが、欲しいかたには、ひとまず終刊号だけ、お分けしたいと思ってます。
 とはいえ、ネットに住所とか書くのは嫌なので、どうしようかなあ、とは思ってるのですが。

 しかし、「せる」の表紙を一気に並べて見るのは初めてかもしれません。こうしてみると、忘れてた表紙とかもあり、感慨深いです。原則ヒトコママンガになってるのですが、アイデアは全部わたしが出したものなので、それも懐かしさを倍増させます。
 ま、それもこれも、もうおしまいではあります。
 作って良かったなあ、って感じはまだないんですが、そうなって欲しいものです。
by 斎藤肇 (2009-06-11 18:36) 

高井 信

 斎藤さん。
 編集と発行、お疲れ様です。
 ぜひとも多くのショートショート・ファンの手に渡ってほしいですね。
 私も、住所は当然のことながら、メール・アドレスもネットで公開するのは遠慮したいです。「せる」終刊号をご希望で、私のメール・アドレスをご存じの方は、私に連絡していただければ、斎藤さんにその旨を伝えます。(送料込み600円)
 斎藤さん、よろしくお願いしますね。
by 高井 信 (2009-06-11 18:59) 

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