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5分間新書

『ショートショートの世界』において、ページ数の関係で割愛したことは多数ありますが、発行時に資料不足で書けなかったり推測で書いてしまったりしたこともあります。
 今回、その1つを――

『ショートショートの世界』87~88ページで、私は以下のように書きました。

 特筆すべきは、新風出版社の〈5分間新書〉です。その全容は明らかではないのですが、一九六九年から七〇年にかけて、私が知っているだけでも、多岐川恭監修『殺しのゲーム』、都筑道夫監修『海底の人魚』、筒井康隆監修『夢からの脱走』、寺内大吉監修『競馬いのち』、池波正太郎監修『黒い太刀風』、青山光二監修『幻の賭博師』と、六冊ものアンソロジーを刊行しているのです。
 私が所有しているのは『海底の人魚』と『夢からの脱走』だけなのですが、前者は純粋なショートショート・アンソロジー、後者はショートショートを数多く含むアンソロジーです。現物未確認ですが、ほかの本もおそらくは似たような内容ではないかと思われます。
 全容を掴めていない現在、確かなことは言えないのですが、この〈5分間新書〉はもしかしたら、日本初(あるいは唯一)のショートショート叢書なのかもしれません(同時期、やはり新風出版社から多岐川恭監修『悪徳ミステリィ』というアンソロジーも出ていて、短い作品が数多く収録されているようですが、〈5分間新書〉の一冊ではないようです)。

 その後、友人(このブログに最初にコメントを寄せてくれた北原尚彦さんですが)の協力を得て、未確認本の内容が判明しました。『海底の人魚』と『夢からの脱走』以外でショートショート・アンソロジーと言えるのは『殺しのゲーム』だけで、さらに『悪徳ミステリィ』はその改題新装版(〈5分間新書〉に非ず)とわかったのです。
「もしかしたら、日本初(あるいは唯一)のショートショート叢書なのかもしれません」なんて、いま思えば、とんでもないことを書いてしまったもので、情けないというか申しわけないというか……。
海底の人魚.JPG 夢からの脱走.JPG 殺しのゲーム.JPG 悪徳ミステリィ.JPG
『殺しのゲーム』以外にも改題新装版は出ていて、情報を入手している限りで書いておきますと――
◎多岐川恭監修『殺しのゲーム』→『悪徳ミステリィ』
◎池波正太郎監修『黒い太刀風』→『隠密十郎兵衛』
◎青山光二監修『幻の賭博師』→『ガンファイター』

 幸いにして、ショートショートの資料として必要な『殺しのゲーム』『悪徳ミステリィ』は、2冊とも意外に早く入手することができました。詳しいことは覚えていませんが、情報をゲットしてから、わずか数ヶ月だったと思います。どちらも入手が容易な本ではありませんから、超ラッキーだったと言えます。古本の神様に、感謝感謝であります。

 余談ながら――
動物のモーレツ恋愛.JPG 昨年でしたか一昨年でしたか、蔵書を整理していたら、今泉英一『動物のモーレツ恋愛』なんて本が出てきました。――〈5分間新書〉の1冊です。こちら、動物のセックス事情を解説したノンフィクション。
『悪徳ミステリィ』の袖にある広告を見ますと、ほかにも〈5分間新書〉で、謝世輝監修『最新科学の図解』、寺内大吉・阿部牧郎共著『追いこみの広野』、興津要『これが艶笑落語だ 70選』なんて本も出ているようでして……。
 改めて、声を大にして、いや、活字を大にして書きます。
〈5分間新書〉はショートショートの叢書ではありません。いいかげんなことを書いてしまい、申しわけありませんでした。

【追記】2010年5月27日
 関連記事を書きました。→こちら
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