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マンガ家のショートショート集

 ショートショートの分野で一大勢力を誇っているのが、本来は絵を描くのを本業としている人たち――マンガ家、イラストレーター、アニメーターたちです。もはや絵を描くのか文を書くのか、どちらが本業なのかわからなくなっている人たちもいます。
『ショートショートの世界』でも簡単に触れましたが、もっと詳しく紹介しましょう。

 まずは何と言っても和田誠です。
『にっぽんほら話』講談社(74)/講談社(80)*新装版、1編追加/講談社文庫(88)
『きなきな族からの脱出』角川書店(81)/角川文庫(84)
『テーブルの上の犬や猫』文藝春秋(05)*安西水丸との共著
 傑作ショートショート「おさる日記」を絵本化した『おさる日記』偕成社(94)もあります。
にっぽんほら話.JPG にっぽんほら話(新).JPG きなきな族からの脱出.JPG おさる日記.JPG
 また、『テーブルの上の犬や猫』で和田誠とコンビを組んだ安西水丸には『空を見る』PHP研究所(94)、『バードの妹』平凡社(98)といった小説集(けっこう短い短編を収録)もあり、気になる存在です。
テーブルの上の犬や猫.JPG 空を見る.JPG バードの妹.JPG
 続いては、やなせたかし。『夜霧の騎士』サンリオ(79)、『3分間劇場』サンリオ(89)、『三枚劇場』近代文芸社(97)の3冊があり、童話との境界線にあるような作品も多いのですが、やはり見逃せません。
夜霧の騎士.JPG 3分間劇場.JPG 三枚劇場.JPG
 絵本作家の佐野洋子は、この分野でも大活躍しています。
『嘘ばっか 新釈・世界おとぎ話』講談社(85)/マガジンハウス(92)/講談社文庫(98)
『乙女ちゃん 愛と幻想の小さな物語』大和書房(88)/講談社文庫(99)
『ほんの豚ですが』白泉社(83)/中公文庫(01)*10編追加
『食べちゃいたい』筑摩書房(92)
 ショートショートと言えるか微妙な作品ではありますが、私は好きです。
嘘ばっか.JPG 乙女ちゃん.JPG ほんの豚ですが.JPG 食べちゃいたい.JPG
脱帽賞.JPG 軽妙なエッセイで知られる福地泡介。そのエッセイはダジャレで終わることが多く、見事にダジャレが決まったエッセイとなりますと、もはやショートショートです。そういったエッセイ集は数多くありますが、ここでは、最初からフィクションとして書いた『ホースケの字でかいたマンガ 脱帽賞』河出書房新社(80)だけを挙げておきましょう。
 小泉吉宏『四月天才』文藝春秋(02)/文春文庫(05)、『百年草物語』文藝春秋(04)、久里洋二『神様たちのスケジュール』評伝社(90)、砂川恵永『ぶつぶつの時代』早川書房(90)といったあたりもお勧め。ことに砂川恵永のショートショートは私、大好きです。
四月天才.JPG 百年草物語.JPG 神さまたちのスケジュール.JPG ぶつぶつの時代.JPG
 犬丸りん『おかたづけ天女』角川書店(98)/角川文庫(00)、司修『月に憑かれたピエロ』河出書房新社(04)も要チェック。
 マンガの神様・手塚治虫も優れたショートショートの書き手でしたが、残念ながら、ショートショート集としてまとめられた1冊はありません。『手塚治虫小説集』ちくま文庫(01)にはショートショートも8編収録されていますので、お勧めしておきます。
 杉浦日向子『ごくらくちんみ』新潮社(04)/新潮文庫(06)、『4時のオヤツ』新潮社(04)/新潮文庫(06)なんてのも一応チェックはしていますが、これはちょっと違いますね。
おかたづけ天女.JPG 月に憑かれたピエロ.JPG ごくらくちんみ.JPG 4時のオヤツ.JPG
 以下、マニア向けに――
 畑田国男『英雄色を好む』私家版(77)→『世界浮世絵草紙』講談社(77)
 梅田英俊『嘘曼陀羅』角川文庫(85)/朝日新聞出版サービス(96)
英雄色を好む.JPG 世界浮世絵草紙.JPG 嘘曼陀羅.JPG
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