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『東映ゲリラ戦記』

 鈴木則文『東映ゲリラ戦記』筑摩書房(13)を読みました。昨日は新刊を4冊買いましたが、最初に読んだのはこの本ということになります。う~~~む、私はもしかしたらSFやショートショートのファンではないのかもしれない(笑)。
 私が映画監督・鈴木則文の名前を意識したのは何年前でしたか。山本孝一さんに2本の映画――『徳川セックス禁止令 色情大名』と『エロ将軍と二十一人の愛妾』を勧められ、よくわからないままに鑑賞したところ、これが異様に面白かったのですね。ポルノということですが、欲情を催すとか、そんなことは全くなく、ただただ笑える映画でした。艶笑喜劇と言うべきでしょうね。

 こんな世界があったのか~。知らなかったぞ~。好きだ。だ~い好きだ!
「こういうの、もっと観たい。お勧めを教えて」
『不良姐御伝 猪鹿お蝶』『やさぐれ姐御伝 総括リンチ』を観て、早くも泥沼へ(笑)。もともと凝り性の私は「鈴木則文」をキーワードに、手当たり次第に、その手の邦画(おもに1970年代。大作ではなく、B級映画)を観始めました。
 しかし、手当たり次第では、すぐに限界が来ます。杉作J太郎・植地毅編著『東映ピンキー・バイオレンス浪漫アルバム』徳間書店(99)を購入。この本を参考に、次から次へと。鈴木則文だけではなく石井輝男ほかの作品も観まくりましたねえ。そういえば梶芽衣子にもハマりました。『さそり』はもちろん、『修羅雪姫』や『銀蝶渡り鳥』のシリーズ……。
 数年であらかた観尽くし、そこから派生して、1960年代、70年代の邦画――それまで私の映画鑑賞歴からすっぽり抜けていた作品群も観始めます。これがまた、面白い映画が目白押し。邦画を食わず嫌いしていた自分を叱責し、大いに反省したものです。
 昨年11月、書店で鮮烈! アナーキー日本映画史1959-1979洋泉社MOOK・映画秘宝ex(12)を見かけ、「うほほ~」と購入。鈴木則文を知るまででしたら、気にも留めずにスルーしたに違いない本です。採り上げられている映画のうち、かなりの作品を観ていることがわかり、われながらびっくり。もちろん観てない映画もあり、積極的に観るようになるわけです。
東映ゲリラ戦記.jpg 東映ピンキー・バイオレンス浪漫アルバム.jpg アナーキー日本映画史.jpg
 ということで、『東映ゲリラ戦記』です。
 この本、まずは1971年、『温泉みみず芸者』に始まります。

 もちろん私は何年か前に鑑賞済みです。これぞまさに艶笑喜劇。いやあ、楽しかったですねえ。
 へえ、この映画で初めて「ポルノ」という言葉が使われたのか。手垢にまみれた「ピンク」や「セクシー」なんて古臭いと考え、「ポルノ」にしたそうで、このあたり、「コント」と「ショートショート」の関係に似ているなあ。
 ど新人の池玲子を主役に抜擢。それで、池玲子がポルノ女優第1号と言われているのか。ピンク女優やセクシー女優とは違うわけですな。
 え? 池玲子、このとき16歳? ウッソー!
 とまあ、冒頭から私の心は鷲掴みされます。(このあたり、もしかしたら『東映ピンキー・バイオレンス浪漫アルバム』にも書かれていたかもしれませんが、当時、映画のカタログとして読んでいましたので、そういった情報は目がスルー)
 昨日の記事にも書きましたように、私は『東映ゲリラ戦記』の目次で挙げられている作品のほとんどが鑑賞済みです。そういう目で読むと、その舞台裏がよくわかります。
 池玲子と杉本美樹がなぜ2枚看板になったのか。サンドラ・ジュリアンやクリスチーナ・リンドバーグ出演の効果は? アクション路線へ変更の経緯は? などなど。――その楽しさときたら、言葉では言い表せません。
 いやほんと、面白かったです。
コメント(5) 

コメント 5

山本孝一

「東映ゲリラ戦記」面白そうですね。
この本が出るとは聞いていたのですが、今月は「大江戸恐龍伝」やら「定本 何かが空を飛んでいる」それから「中子真治SF映画評集成」「ジャック・リッチーのあの手この手」に怪談実話本に落語本などなどの本を買いすぎてしまい、買おうかどうしようか迷っているところです。
目次をみるとたしかに面白そう、特に前篇が。
スケ番、温泉芸者、まむしの兄弟、トラック野郎などのシリーズは当時よく劇場で観ました。
面白かった、良かった、とりわけ杉本美樹が。
スケ番シリーズの2作目だったか、警察に捕まった杉本美樹がカメラをにらみながら、観客に向かってペッと唾を吐いたところでストップモーションになり「終」の赤い文字…しびれましたなぁ。
これらの映画はたいてい任侠映画との2本立てでした。
観たかったけど見逃したのが「すいばれ一家 男になりたい」という作品。
レンタルショップで探してますがDVDにはなっていないのでしょうね。
この本、読んでおかないといけないのだろうなぁ。
by 山本孝一 (2013-12-01 09:02) 

高井 信

 もともと、私がこういう映画にハマッたのは、山本さんのお陰なんですよね。楽しい世界を教えていただき、ありがとうございました。
 この本、もちろん山本さんは私以上に楽しめると思います。
by 高井 信 (2013-12-01 16:57) 

尾川健

「ちくま」で連載している時から楽しみに読んでいました。
最後には「文学賞殺人事件 大いなる助走」にも触れておられますね。
そういえば「大いなる助走」DVDはかなりのプレミアがついています。再発売すればいいのにと思ってます。
by 尾川健 (2013-12-03 22:02) 

高井 信

>そういえば「大いなる助走」DVDはかなりのプレミアがついています。再発売すればいいのにと思ってます。
 あ、DVDで出ていますか。知りませんでした。私はだいぶ前にビデオを買い、何度か観ています。これも面白いので、DVDで再販されるといいですね。
by 高井 信 (2013-12-03 23:20) 

高井 信

 12月18日、桂千穂『カルトムービー 本当に面白い日本映画 1945→1980』(メディアックス)なんて本が出るようです。
http://www.green.dti.ne.jp/ed-fuji/sinkan2.html
 上記サイトによりますと――
>脚本家、桂千穂が戦後1945年まで遡り、国内で封切られたすべての日本映画リストをチェック。厳選に厳選を重ね選び抜いた至極の150本を紹介する、異色の映画ガイド。
 これは読まなければ!

 上記サイト、同じく12月18日には以下の本も……。

式貴士生誕80周年 未収録作品集 『死人妻(デッド・ワイフ)』
『カンタン刑』 の異色作家、式貴士の単行本未収録の短篇4作+絶筆の表題作を中心に、エッセイ(蘭光生名義含む)、間羊太郎名義の評論 (香山滋論、有馬頼義論ほか) も収録した一冊。本文138頁・カラー口絵付。※同人出版
(虹星人叢書 頒価1500円+送料 収録内容・申込み)

イタロ・カルヴィーノ 『みどりの小鳥 イタリア民話選』
小さな子どものための話、恐ろしい話、おかしな話、悲しい話……カルヴィーノが贈る、独特のユーモアや悲哀に富んだ34の民話。
(岩波少年文庫 840円)[amazon]

 買います!!
by 高井 信 (2013-12-04 09:47) 

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