『ロシア・ファンタスチカ(SF)の旅』
宮風耕治『ロシア・ファンタスチカ(SF)の旅』東洋書店(06)を読みました。簡にして要を得たロシアSF解説書です。
SF作家ではないとしながらもイリフ&ペトロフ――先日買ったTVドラマ『黄金の仔牛』の原作者も採り上げられています。
>魅力的でどこか憎めない、「偉大なる策士」ことオスタップ・ベンデルという人物を創造して主人公に据え、彼が活躍する長編「十二の椅子」(一九二八)とその続編「黄金の仔牛」(一九三一)を書いた。
ああ、そうでしたそうでした。『黄金の仔牛』は『十二の椅子』の続編なのでした。実は私、『黄金の仔牛』を買ったのは高校生のときですが、『十二の椅子』を買ったのは10年くらい前なんです。これは筑摩書房〈世界ユーモア文学全集〉の1冊ということで――すなわちショートショート研究の資料として購入したもの。全集を揃えるべく買っただけで、『十二の椅子』も含め、長編には手つかずなのですよね。
『ロシア・ファンタスチカ(SF)の旅』には『黄金の仔牛』とともに『十二の椅子』のあらすじも紹介されています(25ページ)。そそられるものの、読まないだろうなあ(苦笑)。
そのほか、ロシア・ファンダムの現状も非常に興味深い内容でした。
ロシアのSF大会(ストランニク)は――
>通常は三、四日同じホテルに泊まって開催―中略―お酒が飲めなければどうしようもない世界―中略―朝から何か瓶を持って歩いている集団を見つけたらそれは作家である。
おお、素晴らしい!(笑)
2013-09-23 23:17
コメント(2)
ここで紹介される本で、持っているのはごくまれにしか登場しないのですが、今回登場の『十二の椅子』……どこかで見た気がして、自作のリストをチェックしてみたら、この本の月報6(折込付録)に星さんが「ユーモアとテレビと残酷さ」というタイトルで一文を寄せています。
だから、どうということはないのですが……。
by 和田信裕 (2013-09-26 22:02)
あ、ほんとだ。すっかり忘れていました。
このエッセイ、いいですね。「ヒッチコック劇場」、「マッド」、サキ、コリア、ダール「南から来た男」。
これ、単行本未収録のような気がします。だとしたら、もったいないです。
by 高井 信 (2013-09-26 22:14)