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ゲキハロ公演『戦国自衛隊』

 半村良『戦国自衛隊』が好きです。(後述の理由で)久しぶりに小説を手に取りました。
 この小説は最初、『わがふるさとは黄泉の国』早川書房・日本SFノヴェルズ(74)という中短編集に収録されたんですよね。中編「戦国自衛隊」と短編4編という構成。
 翌年に文庫化――ハヤカワ文庫JAに収録されますが、なぜか『戦国自衛隊』『わがふるさとは黄泉の国』の2分冊になります。前者には「戦国自衛隊」1編のみ、後者には残りの短編4編を収録です。
 ここで疑問が生じます。
 文庫化にあたり、中編「戦国自衛隊」を長編化したのではありません。元の『わがふるさとは黄泉の国』が特にぶ厚かったわけでもありません。同じころ、ハヤカワ文庫JAに収録された長編『石の血脈』『産霊山秘録』と比べれば、一目瞭然。『戦国自衛隊』『わがふるさとは黄泉の国』を合わせても、この2長編より薄いのです。にもかかわらず、どうして2分冊にしたのでしょうか。
 映画化に合わせて独立させたのでしたら納得できますが、『戦国自衛隊』の映画化は1979年です。
 1975年に何かあったのかな? 直木賞を受賞した年だから? でも、『戦国自衛隊』と直接の関係はないし……。う~~む、不思議です。
わがふるさとは黄泉の国.jpg 戦国自衛隊.jpg わがふるさとは黄泉の国(文庫).jpg 背.jpg
シナリオ戦国自衛隊.jpg さて。
『戦国自衛隊』は過去に何度も映像化されています。1979年の角川映画、2005年のTVドラマ『戦国自衛隊 関ヶ原の戦い』、映画『戦国自衛隊1549』――いずれも好きです。
 つい最近の2011年には劇団ゲキハロによる舞台公演もありましたが、これは観ていなくて、気になっていました。
 ゲキハロ公演『戦国自衛隊』には2つのバージョン――『戦国自衛隊 女性自衛官死守セヨ』『戦国自衛隊 女性自衛官帰還セヨ』があります。本日、その前者を鑑賞。
 う~~~~~~~ん。舞台公演ですから、ある程度は仕方がないと思いますけれど、スケールが小さいなあ(苦笑)。言ってしまえば、女の子たちによる『戦国自衛隊』ごっこ(笑)。といって、つまらないこともなくて、楽しく、また微笑ましく観られました。こういう『戦国自衛隊』もOKかなと思います。
『戦国自衛隊 女性自衛官帰還セヨ』も機会があれば観たいものです。
コメント(8) 

コメント 8

山本孝一

私も「戦国自衛隊」を、なぜあんなに薄い文庫で出したのか不思議に思ってました。
半村さんは長編にする構想を持っておられたと聞いてます。
このアイデアを先に誰かに書かれたらいやだからとりあえず中編にまとめたとも聞きました。
野球チームのようにした忍者を「九忍」と名づけて登場させるつもりだったとか。読んでみたかった!

>こういう『戦国自衛隊』もOKかなと思います。
それをきっかけにひとりでも多くの人が原作を手に取ってくれたらうれしいですからね。
私も昔、「果しなき流れの果に」をミュージカルにしたOSK日本歌劇団のステージを見たことがあります。
ラインダンスで締めくくられた舞台でしたが、ああ一生懸命にやってはるなぁと悪い気はしませんでした。
これもアリだと思います。
by 山本孝一 (2013-02-21 08:59) 

雫石鉄也

あまり大きな声ではいえませんが、私、1979年の角川版「戦国自衛隊」は好きな映画です。
アクション監督が千葉真一で、千葉が好き勝手やった映画ともいえますが、千葉真一はどっちというと好きな俳優さんなので、ま、いいかなと思うのです。
千葉真一=伊庭義明、夏八木勲=長尾景虎、この組み合わせも気に入っております。
by 雫石鉄也 (2013-02-21 14:56) 

高井 信

 山本さんも疑問を持っていましたか。そうですよね。あまりにも薄すぎるんですよね。まあ、結果的には映画化され、中編ではなく長編の扱いをしておいたことが功を奏した形になりましたが。
 ラインダンスで終わる『果しなき流れの果に』って、想像もつきません。すごい発想だなあ(笑)。

 雫石さん。私は大きな声で「好きっ!」と言っちゃいますよ(笑)。だって、面白いですもん。劇場で観て、テレビで観て、ビデオを借りて観て、何年か前にはDVDを買いました。いつでも観られるわけですが、ん? 買ってから一度も観ていないかも。まあ、そんなもんです。
by 高井 信 (2013-02-21 15:48) 

尾川健

ハヤカワ文庫はよく短篇集を二分册していたように思います。
星さんだと
『宇宙のあいさつ』と『冬きたりなば』
『午後の恐竜』と『白い服の男』
筒井さんだと
『馬は土曜に蒼ざめる』と『国境線は遠かった』
これは銀背をそのまま文庫にすると分厚すぎるのと、JAの点数を多くしたかったからなんでしょうか。
『戦国自衛隊』はそのタイトルを目立たせたかったのかも知れません。

by 尾川健 (2013-02-21 21:36) 

藤浦正暢

私も詳しい理由は知りませんが、矢野徹さんの『カムイの剣』の上下分冊と同じ様なことじゃないかと思っております。
この映画の台本やポスター、チラシ、書店用のポスターや販促グッズなど持っていましたが、みな譲ってしまいました。
テレビでの映画CMで、オープニングテーマの「サン・ゴーズ・ダウン」が初めて流れた時、耳コピでは「戦国だぁ~、戦国だぁ~」と聞こえ身震いしたことを思い出します。
当時、角川書店のキャンペーンがあり特賞は『戦国自衛隊』四六版ハードカバーの特性革装丁本でした。かなり応募しましたが特製色紙しか当たりませんでした。
by 藤浦正暢 (2013-02-21 22:56) 

高井 信

>これは銀背をそのまま文庫にすると分厚すぎるのと、
 ぶ厚いものも出していますから、これは考えにくいですが、
>JAの点数を多くしたかったからなんでしょうか。
 こちらは正解かもしれないですね。初期のJA文庫では2分冊に限らず、薄~い短編集がたくさん出ていますから。
 でも、評判が芳しくなかったんでしょうね。私はリアルタイムで買っていましたが、割高に感じられて、嫌でした。
by 高井 信 (2013-02-21 23:05) 

高井 信

『カムイの剣』はもともと文庫でも1冊本だったのを、アニメ映画化に際して上下2分冊、さらに3巻、4巻、5巻と。
 ハヤカワ文庫JAの2分冊とは事情が違うような気がします。
 よろしければ、以下の記事をご参考に。
http://short-short.blog.so-net.ne.jp/2011-08-13

>特賞は『戦国自衛隊』四六版ハードカバーの特性革装丁本でした。
 これ、いいですねえ!
 入手は無理としても、一度くらいは手に取りたいものです。
by 高井 信 (2013-02-21 23:16) 

高井 信

 ようやく『戦国自衛隊 女性自衛官帰還セヨ』を観ました。
 女性自衛官5名が戦国時代にタイムスリップするという発端は『~死守セヨ』と同じですが、今回、そこで繰り広げられる物語は別に自衛隊員(圧倒的な武器を所有)である必要はなかったような気がします。
『戦国自衛隊』のファンとしては残念でした。
by 高井 信 (2015-05-22 10:13) 

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