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『空飛ぶ円盤のあけぼの』

 日本SF界の草創期、SFと空飛ぶ円盤(UFO)は非常に近しい関係にありました。SF同人誌「宇宙塵」が日本空飛ぶ円盤研究会(UFOの研究団体)のメンバーを中心に誕生したことからも、それはわかります。
 私もSFファンになったばかりのころ、UFOにはかなり興味を持っていましたが、徐々に離れていきました。UFOって、虚実の間(はざま)の存在なんですよね。対して私が好きなのは「虚」が100パーセントの世界とわかったからです。

 さて。
空飛ぶ円盤のあけぼの.jpg 北村小松『空飛ぶ円盤のあけぼの ―北村小松UFO随想集―』日本初期SF映像顕彰会(11)を読みました。
 新書サイズ、226ページ。非商業出版ですが、商業出版と遜色のない装幀です。最近の同人誌の豪華さには、ほんと、驚かされますね。私が積極的にファンジンを作っていたころ(40年近く前)とは雲泥の差です。あ、いや、私の出していたファンジンは、当時としても安っぽい(要するに、お金がかかっていない)ものでしたが……(苦笑)。
 北村小松は日本SF界の先駆者の1人であり、もちろん名前は知っています。しかしよく考えてみると、はて? 何を読んだっけ? ずいぶん昔に古典SFのアンソロジーか何かで短編を読んだ記憶はありますが、ほかには……。
『空飛ぶ円盤のあけぼの』を読むと、北村小松のSFマインドを感じます。盲目的にUFOの存在を信じているわけではなく、「虚」の部分を楽しんでいるスタンスが伝わってくるのです。SF小説や映画にも触れられていますし……。さすが、日本SFの先駆者! 嬉しくなりました。
 巻末の解説(猫山れーめ)の最後には――
> 北村が空飛ぶ円盤をテーマにして書いた作品のうち、小説のものについては次巻を待って紹介したい。
 とあります。楽しみです。
コメント(4) 

コメント 4

山本孝一

私は数年前までは、空飛ぶ円盤は宇宙人の乗り物だとかたく信じてました。あれだけ目撃談があり多くの写真が撮られているからには間違いがない、アメリカ政府は真実を隠している…そう思っていました。
でも信頼のおける写真って一枚もないのですね。
私が本物だと思っていた1958年のトリンダテ島の土星型UFOの写真や、1950年のオレゴン州のトレント夫妻の写真もかなり怪しいといわれているし、最近私は空飛ぶ円盤というのは人類の壮大な幻想ではないかと思えてしかたありません。
>UFOって、虚実の間(はざま)の存在なんですよね。
なるほどね。プロレスもそんな気がしますね。

『空飛ぶ円盤のあけぼの』は私も楽しく読みました。
昔、円盤を呼ぶのに「ベントラ、ベントラ」と唱えたと言いますが、ベントラって何なのかはじめて知りました。
私が子供の頃は、空飛ぶ円盤は20世紀最後の謎と言われてました。その20世紀が過ぎ去って10年以上たちました。
いつ空飛ぶ円盤の謎が解き明かされるのでしょう。
by 山本孝一 (2012-12-12 21:18) 

高井 信

 山本さんはUFOもお好きでしたね。
>『空飛ぶ円盤のあけぼの』は私も楽しく読みました。
 あ、やっぱり。
>昔、円盤を呼ぶのに「ベントラ、ベントラ」と唱えたと言いますが、ベントラって何なのかはじめて知りました。
 私も。
 ほんと、知らないことがたくさんあり、楽しく読みました。小説集が楽しみ!
by 高井 信 (2012-12-12 23:07) 

山本孝一

北村小松さんのUFO小説集「燃える空飛ぶ円盤」が出版されるようですね。↓
http://homepage3.nifty.com/JESFTV/00.html#09

私もさっそく注文します。
しかし最近の自費出版ってレベルが高いですね。
by 山本孝一 (2012-12-22 17:22) 

高井 信

 おおっ。
 これも読まなければ! ですね。
>しかし最近の自費出版ってレベルが高いですね。
 見た目は商業出版と遜色ないものが多く、感心します。発行部数が気になったりして(笑)。
by 高井 信 (2012-12-22 22:52) 

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