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アーカムハウス叢書

 なんとなく、クトゥルフ神話研究会『恐怖と狂気のクトゥルフ神話』笠倉出版社(09)を眺めています。「CTHULHU」の日本語表記は複数あって、私は「クトゥルー」に馴染みがありますが、ここは「クトゥルフ」としましょう。
 私はクトゥルフ神話の熱心な読者ではなく、「若いころ読んだ。まあまあ面白かったなあ」という程度で、あんまり知識はありません。この本はクトゥルフ神話の入門書的な内容と思うのですが、私にとっては「へえ」の連続です。
恐怖と狂気のクトゥルフ神話.jpg たとえば「本邦初登場」(24ページ)では――
> 昭和三〇年代には『エーリッヒ・ツァンの音楽』を皮切りに、
>同『宝石』誌に完訳作品が幾つか紹介されている。また『文藝』
>三〇年七月号にも『壁の中の鼠群』が掲載された。
 へえ、であります。
「幾つか」というのが気になり、「宝石」に掲載されたラブクラフト作品を調べてみました。
「エーリッヒ・ツァンの音楽」――「宝石」1955年11月号
「異次元の人」――「宝石」1957年8月号
「冷房装置の悪夢」――「別冊宝石108号 世界怪談傑作集」1961年10月

「神話の継承者たち」(20ページ~)として紹介されているのは、オーガスト・ダーレス、C・A・スミス、ロバート・E・ハワード、コリン・ウィルソンの4人。
 オーガスト・ダーレスの紹介では――
> ラブクラフト第一の弟子を自認した人物。出版社『アーカムハウス』を
>設立して、ラブクラフトの作品を世に送り出した最大の尽力者である。
 おお! アーカムハウス!
 われわれにとって、独特の響きを持つ言葉ですね。
 ということで、記事の表題〈アーカムハウス叢書〉です。1986年から1987年にかけて国書刊行会より刊行。全7巻。
 カール・ジャコビ『黒い黙示録』1987/5
 クラーク・アシュトン・スミス『呪われし地(ロキ)』1986/4
 デイヴィット・H・ケラー『アンダーウッドの怪』1986/6
 オーガスト・ダーレス『淋しい場所』1987/7
 マンリー・ウェイド・ウェルマン『悪魔なんかこわくない』1986/5
 ウィリアム・ホープ・ホジスン『海ふかく』1986/8
 ブライアン・ラムレイ『黒の召喚者』1986/7
 極めて短い作品も数多く収録されていて、それがショートショートであるかどうかはともかく、ショートショート研究の資料として重要な叢書であることは確かです。
黒い黙示録.jpg 呪われし地.jpg アンダーウッドの怪.jpg 淋しい場所.jpg
悪魔なんかこわくない.jpg 海ふかく.jpg 黒の召喚者.jpg
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