SSブログ

「きょうはマコちゃんとデイトです」

 山本孝一さんにご協力をいただき、星新一書誌の調査をしています。
 その過程で――

・ショートショート「永遠の青春」――『どんぐり民話館』新潮社(83)/新潮文庫(92)に収録。
・ジョーク(無題)――週刊文春編『とっておきのいい話』発行ネスコ・発売文藝春秋(86)に収録。
・ジョーク「きょうはマコちゃんとデイトです」――文藝春秋編『とっておきのいい話 ニッポン・ジョーク集』文春文庫(89)に収録。(この本はネスコ版の再編集文庫化)
どんぐり民話館.jpg どんぐり民話館(文庫).jpg とっておきのいい話.jpg とっておきのいい話 ニッポン・ジョーク集.jpg
 以上3編が同一であると判明しました。
『どんぐり民話館』は発行されたとき、『とっておきのいい話』は10年くらい前に読みましたが、同じ作品とは気がつきませんでした。まあ、要するに「永遠の青春」のことを忘れていたんですが……(苦笑)。
『とっておきのいい話』については、2009年7月1日の記事「ジョークと小咄」にも書きました。各界著名人が自分の好きなジョークを紹介する本です。
 多くの方々が見聞したジョークを紹介するなかで、星新一は自作を披露しています。この本のために新作ジョークを作ったのかと思っていましたが、実は既発表のショートショートだったのですね。
 腑に落ちないのはタイトルです。ネスコ版では無題。しかし文春文庫版では「きょうはマコちゃんとデイトです」なんて、どう見ても星新一の命名センスとは合わないタイトルが付けられているんですね。ショートショートとして、「永遠の青春」というタイトルがあるのに、なぜ? 不思議です。

 ショートショートとジョークの境界線、ますます曖昧になってしまいました。ふう……。
 とはいえ、こういう思いがけない発見があったりして、書誌の調査は楽しいですね。今しばらく、よろしくお願いします。>山本さん
コメント(4) 

コメント 4

山本孝一

>「きょうはマコちゃんとデイトです」
まったく星さんらしくないタイトルです。編集部が勝手につけたのでしょう。
それにしてもセンスがわるい。

>書誌の調査は楽しいですね。
ほんと、面白いです。本を保管してある物置にいると時間がわからなくなるので腕時計をはめて調べものをしてます。
SFマガジンのバックナンバーをしらべていたときに、46号(1963年8月増刊号)に「未来新聞」という冗談ページがあり、そこに『「星新一先生の長編現代小説「危機」、連載第1回』というのがあるのですが、これだけで完結した一つのショートショートになってます。
ショートショート集「宇宙のあいさつ」に収録の「危機」がそれです。
石原藤夫さん編の「S-Fマガジン」インデックスにも載っておらず、SFMには星さんのショートショートがひとつかくれていたというわけです。
いま気になっているのは「ピーターパンの島」がどこに発表されたのかわからないということです。あんなに有名な話なのに。
by 山本孝一 (2011-05-07 16:09) 

高井 信

>『「星新一先生の長編現代小説「危機」、連載第1回』
 目次にも載っていないし、これはなかなか気がつかないですよ。2063年8月15日号。つまりは100年後の新聞という設定ですね。
 ちなみに、星さんの紹介は――
> 地球文壇随一の巨匠星新一先生は当年138歳になられますが、
>なおカクシャクとして執筆活動に活躍されています。
by 高井 信 (2011-05-07 17:35) 

橘まるみ

「ピーターパンの島」は、書き下ろし掌編集「悪魔のいる天国」に収められている作品なので、おそらく、雑誌発表は経ていないと思います。
 書き下ろしといっても、雑誌発表分も含む事は、星先生が後書きで語っている通りです。
 講談社文芸文庫(編)、作品集「戦後短編小説再発見(18) 夢と幻想の世界」(講談社文芸文庫)(http://www.amazon.co.jp/gp/aw/d/4061983563/ref=redir_mdp_mobile/376-6374005-1907767 )にも収められてますので、もし、雑誌発表を経ていれば、その解説で触れられているかもしれません。
by 橘まるみ (2011-06-14 00:54) 

高井 信

「ピーターパンの島」は書き下ろしである確率が高いのですが、その確証はないんですよね。いやはや、悩ましいです。
by 高井 信 (2011-06-14 06:58) 

コメントを書く

お名前:[必須]
URL:
コメント:
画像認証:
下の画像に表示されている文字を入力してください。