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「蝿」

 早川書房の〈異色作家短篇集〉と言えば、とにかく魅力的な叢書ですが、なぜか文庫化されないのが難点です。文庫化されたのは一点――ジョルジュ・ランジュラン『蝿』だけで、これはデヴィッド・クローネンバーグ監督の映画『ザ・フライ』の公開に合わせて、ハヤカワ文庫NVに収録されたものです。

『蝿』早川書房・異色作家短篇集16(65)/ハヤカワ文庫NV(86)/早川書房・異色作家短篇集5(06)*新装版
蝿.JPG 蝿(文庫).JPG 蝿(新装版).JPG

 さて、今回は小説ではなくて、映画の話です。ランジュランを知らない人は多くても、映画『ザ・フライ』を知らない人はほとんどいないでしょうね。
 私は映画『ザ・フライ』と続編『ザ・フライ2 二世誕生』のどちらも大好きです。一時期テレビでしょっちゅう放映されていて、あれには参りました。いったん観始めると止まらず、つい最後まで観てしまうんです。これまでに何回観たことやら……。
『ザ・フライ』2部作は「蝿」の2度目の映画化です。
 最初の映画化は、『蝿男の恐怖』1958年、『蝿男の逆襲』1959年、『蝿男の呪い』1965年――以上の3部作なんですが、実は私、完結編『蝿男の呪い』の存在を知らず、ずっと2部作と思い込んでいました。先日、『蝿男の呪い』なんてタイトルのDVDを見かけ、「はて?」と手に取りました。ジャケット裏の説明を読み、ようやく3部作であることを知ったのです。もちろん購入し、帰宅しました。
 思い返してみると、『蝿男の恐怖』は大昔、テレビで観たことがありますが、『蝿男の逆襲』は未鑑賞です。無性に3部作を通して観たくなり、ネットで注文。
 つい先ほど、『蝿男の恐怖』『蝿男の逆襲』が届きました。時間があるとき、3部作を続けて鑑賞しようと思っています。
蝿男の恐怖.JPG 蝿男の逆襲.JPG 蝿男の呪い.JPG
 本は読む前、映画は観る前でも構わずに記事を書いてしまうという、とんでもなく掟破りのブログで、申しわけありません。
宇宙塵23.JPG
 最後に、また小説に戻って、ちょっとマニアックな情報をお届けしておきます。
 短編「蝿」は、商業出版としては「SFマガジン」1961年3月号(14号)に掲載されたもの(宇野利泰訳)が本邦初訳のようですが、その2年前、SF同人誌「宇宙塵」1959年7月号(23号)に、すでに訳載されています。訳者は何と野田宏一郎(野田昌宏)!

 この号の「宇宙塵」は星新一編集による翻訳特集で、目次を紹介しますと――
       目次.JPG
「宇宙塵」というと創作の面ばかりが評価されがちですが、特に初期のころは、翻訳、そしてエッセイも充実していたんですね。
 エッセイに関しては、SFファングループ〈星海企業〉が積極的に復刻出版を行なっています。本ブログの趣旨からは完全に離れてしまいますが、紹介しておきましょう。
◎野田宏一郎(昌宏)『宇宙塵版 SFつれづれ草』星海企業(97)
◎野田宏一郎(昌宏)『宇宙塵版 SFつれづれ草 第二版』星海企業(株)記録出版室(98)
 イラスト一新の上、新たに「野田昌宏作品リスト」、野田昌宏による「あとがき」を収録しています。
◎矢野徹『宇宙塵版 SFアトランダム』星海企業(株)記録出版室(98)
SFつれづれ草.JPG SFつれづれ草 第二版.JPG SFアトランダム.JPG
 素晴らしいファン活動と思います。
「宇宙塵」については以前に記事に書きましたので、そちらもご参照ください。
コメント(1) 

コメント 1

高井 信

 ようやく『蝿男の恐怖』3部作を観ました。宣言通り、3部作を一気に。
 記事の日付を見ると、3枚を購入したのは2ヶ月以上前なんですね。私の場合、まあ、こんなものです。

 第1作『蝿男の恐怖』はだいぶ前にも観ています。久しぶりに観て、うん、やはり傑作ですね。『蝿男の逆襲』『蝿男の呪い』は凡作ですが、『蝿男の恐怖』の余韻のお蔭で、それなりに楽しく観られました。3部作を続けて観て、大正解です。
 あ、そうそう。『蝿男の呪い』には蝿男が出てこなくて、唖然としました(笑)。
by 高井 信 (2009-09-15 16:58) 

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