ミステリ専門誌のショートショート特集
かつて、さまざまな雑誌でショートショート特集号が組まれました。それらすべてをチェックするのは私の手に負えませんが、重要と思われる雑誌に関しては調査しています。
今日はそのなかから、3種のミステリ専門誌を紹介しましょう。
◆ヒッチコックマガジン
「ヒッチコックマガジン」は1959年創刊（宝石社）。1959年8月号から1963年7月号まで、全50冊が発行されました（2冊の増刊号を含む）。「ヒッチコックマガジン」が黎明期の日本ショートショート界に果たした役割は非常に大きいと考えています。
ショートショート特集が組まれた号は――
◎1960年8月号（13号）＊日米ショート・ショート特集
◎1960年10月号（15号）＊日米ショート・ショート特集（第2回）
◎1960年12月号（17号）＊日米傑作ショート・ショート集（第3集）
◎1962年1月号（30号）＊特集 これがショート・ショートだ！
1962年1月号（30号）の特集「これがショート・ショートだ！」には何と18編ものショートショートが掲載されています。星新一1編、戸倉正三4編、広瀬正2編（うち1編は「もの」）など……。筒井康隆は筒井名義1編と櫟沢美也名義で「きつね」。間羊太郎（式貴士）も1編。――圧巻です。
また、1960年9月号（14号）から同年12月号（17号）にかけて連載された「ショート・ショート作法」はショートショートに関するまとまった読み物としては、本邦初と言っていいと思います。無署名ですが、執筆したのは小林信彦（中原弓彦）です。
のちに、連載4回分をまとめて「別冊宝石107号 ショート・ショートのすべて あなたもショート・ショートがかける」宝石社（61）に再録（中原弓彦名義）、さらに小林信彦『東京のドン・キホーテ』晶文社（76）に収録されました。
もうひとつ、山川方夫のショートショートを積極的に掲載したことも特筆すべきでしょう。かの名作ショートショート集『親しい友人たち』は「ヒッチコックマガジン」1962年2月号（31号）から1963年1月号（42号）にかけて連載されたものなのです。
◆ミステリマガジン
前身は1956年創刊の「エラリイクイーンズミステリマガジン」です（早川書房）。創刊号は1956年7月号（下の左端の写真）。1966年1月号（116号）から誌名を「ミステリマガジン」と変更し、現在もなお発行は続いています。
「エラリイクイーンズミステリマガジン」1959年1月号（31号）では、都筑道夫がフレドリック・ブラウンのショートショート「模範的殺人法」を訳載し、「舶来小咄由来」なる紹介文を添えています。ここで初めて、日本に“ショート・ショート”という言葉が紹介されたと聞いています（『ショートショートの世界』62～63ページ参照）。そういう意味でも、日本におけるショートショートの歴史上、極めて重要な雑誌と言えます。
さて、「ミステリマガジン」では数多くのショートショート特集が組まれました。そのなかで、ショートショートが10編以上掲載されているショートショート特集号は以下の8冊です。
◎1967年3月号（131号）＊ショート・ショート特集《悪魔が一ダース！》（13編）
◎1968年5月号（145号）＊日米ショート・ショート競作特集（13編）
◎1969年7月号（159号）＊ショート・ショート特集（19編）
◎1971年9月号（185号）＊海外ショート・ショート・フェスティヴァル（20編）
◎1975年5月号（229号）＊ショート・ショート・フェスティバル（15編）
◎1978年2月号（262号）＊ミニ・ミステリ・ボックス（10編）
◎1982年5月号（313号）＊ショートショート傑作選（12編）
◎1985年5月号（349号）＊１ダースの悪魔 ショート・ショート傑作選（13編）
ショートショート特集号ではありませんが、創刊400号記念特大号（1989年8月号）は短編ミステリの極上アンソロジーになっています。586ページに収められた“短篇ミステリベスト40”――壮観です。
ほかにも、“アメリカン・ユーモア”とか“ブラック・ユーモア”とか“異色作家”とか、はたまたヘンリイ・スレッサーなど個人作家の特集号とか、注目すべき特集が組まれている号は多数あります。
◆ＥＱ
「ＥＱ」は1978年創刊（光文社）。1978年1月号から1999年7月号まで、全130冊が発行されました。
ショートショート特集号は5冊あります。
◎1994年9月号（101号）＊ショート・ショート大特集 厳選15編
◎1995年9月号（107号）＊ショート・ショート傑作選12＋1
◎1996年9月号（113号）＊ショート・ショート大選集12＋1
◎1997年9月号（119号）＊英国ショート・ショート大特集12＋1
◎1998年9月号（125号）＊ショート・ショート10＋番外3
当然と言えば当然ですが、「ＥＱ」にはショートショート特集号以外にもショートショートが掲載されています。それらのなかから編まれたのがＥＱ編集部編『英米超短編ミステリー50選』光文社文庫（96）です。
【追記】8月4日
「ミステリマガジン」のショートショート特集号ですが、もう1冊あることが判明しました。
◎1986年9月号（365号）＊テン・リトル・ストレンジャーズ（10編）
まだ漏れがあるかも……。
【追記２】2013年10月16日
まだありました。＞「ミステリマガジン」のショートショート特集号
◎1996年12月号（489号）＊掌のミステリ―人気作家14人による小さな犯罪物語―（14編）
今日はそのなかから、3種のミステリ専門誌を紹介しましょう。
◆ヒッチコックマガジン
「ヒッチコックマガジン」は1959年創刊（宝石社）。1959年8月号から1963年7月号まで、全50冊が発行されました（2冊の増刊号を含む）。「ヒッチコックマガジン」が黎明期の日本ショートショート界に果たした役割は非常に大きいと考えています。
ショートショート特集が組まれた号は――
◎1960年8月号（13号）＊日米ショート・ショート特集
◎1960年10月号（15号）＊日米ショート・ショート特集（第2回）
◎1960年12月号（17号）＊日米傑作ショート・ショート集（第3集）
◎1962年1月号（30号）＊特集 これがショート・ショートだ！
1962年1月号（30号）の特集「これがショート・ショートだ！」には何と18編ものショートショートが掲載されています。星新一1編、戸倉正三4編、広瀬正2編（うち1編は「もの」）など……。筒井康隆は筒井名義1編と櫟沢美也名義で「きつね」。間羊太郎（式貴士）も1編。――圧巻です。
また、1960年9月号（14号）から同年12月号（17号）にかけて連載された「ショート・ショート作法」はショートショートに関するまとまった読み物としては、本邦初と言っていいと思います。無署名ですが、執筆したのは小林信彦（中原弓彦）です。
のちに、連載4回分をまとめて「別冊宝石107号 ショート・ショートのすべて あなたもショート・ショートがかける」宝石社（61）に再録（中原弓彦名義）、さらに小林信彦『東京のドン・キホーテ』晶文社（76）に収録されました。
もうひとつ、山川方夫のショートショートを積極的に掲載したことも特筆すべきでしょう。かの名作ショートショート集『親しい友人たち』は「ヒッチコックマガジン」1962年2月号（31号）から1963年1月号（42号）にかけて連載されたものなのです。
◆ミステリマガジン
前身は1956年創刊の「エラリイクイーンズミステリマガジン」です（早川書房）。創刊号は1956年7月号（下の左端の写真）。1966年1月号（116号）から誌名を「ミステリマガジン」と変更し、現在もなお発行は続いています。
「エラリイクイーンズミステリマガジン」1959年1月号（31号）では、都筑道夫がフレドリック・ブラウンのショートショート「模範的殺人法」を訳載し、「舶来小咄由来」なる紹介文を添えています。ここで初めて、日本に“ショート・ショート”という言葉が紹介されたと聞いています（『ショートショートの世界』62～63ページ参照）。そういう意味でも、日本におけるショートショートの歴史上、極めて重要な雑誌と言えます。
さて、「ミステリマガジン」では数多くのショートショート特集が組まれました。そのなかで、ショートショートが10編以上掲載されているショートショート特集号は以下の8冊です。
◎1967年3月号（131号）＊ショート・ショート特集《悪魔が一ダース！》（13編）
◎1968年5月号（145号）＊日米ショート・ショート競作特集（13編）
◎1969年7月号（159号）＊ショート・ショート特集（19編）
◎1971年9月号（185号）＊海外ショート・ショート・フェスティヴァル（20編）
◎1975年5月号（229号）＊ショート・ショート・フェスティバル（15編）
◎1978年2月号（262号）＊ミニ・ミステリ・ボックス（10編）
◎1982年5月号（313号）＊ショートショート傑作選（12編）
◎1985年5月号（349号）＊１ダースの悪魔 ショート・ショート傑作選（13編）
ショートショート特集号ではありませんが、創刊400号記念特大号（1989年8月号）は短編ミステリの極上アンソロジーになっています。586ページに収められた“短篇ミステリベスト40”――壮観です。ほかにも、“アメリカン・ユーモア”とか“ブラック・ユーモア”とか“異色作家”とか、はたまたヘンリイ・スレッサーなど個人作家の特集号とか、注目すべき特集が組まれている号は多数あります。
◆ＥＱ
「ＥＱ」は1978年創刊（光文社）。1978年1月号から1999年7月号まで、全130冊が発行されました。ショートショート特集号は5冊あります。
◎1994年9月号（101号）＊ショート・ショート大特集 厳選15編
◎1995年9月号（107号）＊ショート・ショート傑作選12＋1
◎1996年9月号（113号）＊ショート・ショート大選集12＋1
◎1997年9月号（119号）＊英国ショート・ショート大特集12＋1
◎1998年9月号（125号）＊ショート・ショート10＋番外3
当然と言えば当然ですが、「ＥＱ」にはショートショート特集号以外にもショートショートが掲載されています。それらのなかから編まれたのがＥＱ編集部編『英米超短編ミステリー50選』光文社文庫（96）です。【追記】8月4日「ミステリマガジン」のショートショート特集号ですが、もう1冊あることが判明しました。
◎1986年9月号（365号）＊テン・リトル・ストレンジャーズ（10編）
まだ漏れがあるかも……。
【追記２】2013年10月16日
まだありました。＞「ミステリマガジン」のショートショート特集号
◎1996年12月号（489号）＊掌のミステリ―人気作家14人による小さな犯罪物語―（14編）
2009-03-13 08:42
コメント(1)
ミステリマガジン(Hayakawa's Mystery Magazine)1987/ 7 No.375 -スパイ＆国際謀略小説特集
ショート・ショート傑作選―死神の悪戯
6 short short stories in this issue
by Jason (2022-06-10 15:44)