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「MUTANTS」

ミュータンツ№1.jpg 岡田正哉さんを偲んで……。
 ファンジン「MUTANTS」――中部日本SF同好会(ミュータンツ・クラブ)の正会誌を眺めています。創刊号は1963年9月1日発行。押しも押されもせぬ、SFファングループの老舗ですね。
 正確なことは知りませんが、岡田さんのSFファン活動はミュータンツ・クラブでスタートしたと考えて、まず間違いないと思います。
 創刊号には会員の自己紹介のページがあります。入会順とのことで、トップに掲載されているのは吉光伝さん。まあ、吉光さんは創設者ですから当然ですね。で、その次に載っているのが何と岡田さん!
> 元々社の「発狂した宇宙」がSF入門への第一歩だったらしい。―中略―
> 第二次大戦中に産声をあげたばかりのほんのアカンボウですが、やがて
>来る21世紀まで頑張って行こうと思っております。どうぞよろしく。
 ちなみに、この号の表紙絵は岡田さんが担当。それにショートショート「新世界」も掲載されています。私の知っている岡田さんは古典SFの研究家&収集家だったんですが、若いころは創作も手がけられていたんですね。その後も第2号(1963年11月17日発行)に「あの星の下で」、第3号(1964年3月15日発行)に「おかしいな?」と連続して創作が掲載されています。「おかしいな?」は《掌篇特集》――すなわちショートショート特集の1編です。こういうのはショートショート研究家としては嬉しいですね。
 第4号(1964年6月15日発行)にはペンネームでヘンリー・スレッサーのショートショート「神」を翻訳。この号には岡田さんの翻訳ではありませんが、フレドリック・ブラウン「ひな菊は知っていた」の翻訳も掲載されています。
 第5号(1964年7月25日発行)は一周年記念特大号です。岡田さんは表紙絵を担当。創作特集ということで、会員の小説がずらりと並んでいます。岡田さんの名前は見当たりませんが、もしかしたらペンネームで参加されているのかも。
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 以下、端折ります。
 第7号(1965年5月15日発行)――この号からタイプ印刷になります。岡田さんはペンネームで小西岳のエスペラント語SF「ソンジヨラーモ」を翻訳。
 第10号(1966年8月20日発行)――「エスペラント語界のSF」を執筆。タイトルそのまんまの内容です。
 第14号(1968年8月25日発行)――岡田さんと関係ありませんが、沖慶介「露出狂時代」が掲載されています。(沖慶介は清水義範のペンネーム)
 第17号(1970年3月1日発行)――「MUT '70」なるエッセイ(と言えるかな?)でファン活動やファンジン発行に対する問題提起。次号から編集を担当されることになります。
ミュータンツ№7.jpg ミュータンツ№10.jpg ミュータンツ№14.jpg ミュータンツ№17.jpg
 第18号(1970年8月1日発行)から第22号(1971年12月4日発行)まで編集を担当。もちろん執筆もされています。お、第19号(1970年10月20日発行)には梶尾真治の小説も!
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ミュータンツ№27.jpg「MUTANTS」は創刊以来、年に2~3冊のペースで発行されてきましたが、岡田さんが編集を辞任して以降、発行ペースは著しくダウンします。新たな編集人による第23号の発行は1976年。で、うちにある最も新しい「MUTANTS」は第27号(1984年1月15日発行)です。28号以降は出ていないと思うのですが……。
コメント(2) 

コメント 2

山本孝一

私が持っているのは21号だけです。
フィンレイの絵(たぶんメリットの「ムーンプール」の挿絵)を表紙にした号。レベルの高いファンマガジンでした。
岡田さんが大正時代の学習誌に翻訳されたバローズの火星シリーズを当時の挿絵入りで紹介されていたのを覚えてますが、あれは別の号だったか。
あと忘れられないのがE・E・スミスの「スカイラーク」シリーズの研究本。本国のファンも作成していないスカイラークの航宙図まで載ってました。ジャック・ウィリアムスンに1冊送ったら感心して、(すでにスミスは亡くなっていたので)これをスミスの娘さんに送っておこうという返事をもらいました。岡田さんにも手紙でお知らせしましたが、岡田さんも喜んでおられたのじゃないでしょうか。
by 山本孝一 (2011-05-23 10:58) 

高井 信

 バローズやE・E・スミスは「MUTANTS」ではなくて、岡田さんの個人誌「ベム」ですね。
 ここのところ、岡田さんが昔書かれたものを再読しています。インターネットのない時代に、あれだけの資料を集められ、そして研究の成果を発表されていた岡田さん、やっぱりすごいです。
by 高井 信 (2011-05-23 11:41) 

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