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穂村弘のショートショート集

現実入門.JPG 穂村弘『現実入門 ほんとにみんなこんなことを?』光文社(05)を読みました。歌人・エッセイストである著者がさまざまな初体験に挑戦する模様を描いたエッセイ集です(光文社文庫版(09)もあり)。
「え? こんなこともしたことがなかったの?」と驚くような初体験がずらり。帯の惹句を引用すれば、“「現実」を怖れ、逃げ続けてきた男が、42歳にして初めて挑む。やるぞ、献血、合コン、部屋探し、そして遂にプロポーズ!”。
 独特の感性、軽妙な文体。非常に楽しいエッセイ集でした。
 それにしても穂村弘、かなり変な人ですねえ。私も変な人の部類にはいると自覚していますけれど、脱帽してしまいます。
 穂村弘の名を意識した(というか、知った)のは、最初はショートショートの書き手としてでした。

『いじわるな天使から聞いた不思議な話』大和書房(94)/『いじわるな天使』アスペクト(05)
『車掌』ヒヨコ舎(03)
いじわるな天使から聞いた不思議な話.JPG いじわるな天使.JPG 車掌.JPG
『いじわるな天使から聞いた不思議な話』の改題再刊『いじわるな天使』の帯には“幻のファンタジー童話集、待望の復刊!”とありますけれど、これは童話ではないですね。私、ショートショート集リストに入れています。
『車掌』は絵本に近いような造りの本で、シュールな作品が5編収録されています。なかでも表題作「車掌」! とんでもなく暴力的な車掌が登場する、ただそれだけの話で、原稿用紙1枚程度の長さなんですが、異様な迫力に満ちています。「あとがき」によれば、「間違っちゃった。/知らなかったんだ。/ごめんなさい。/だって、/本物の車掌さんをみたことがないんだもの。」とのこと。うっひゃあ、でありますけれど、『現実入門』を読むと、「さもありなん」と頷けてしまいます。

にょっ記.JPG『にょっ記』文藝春秋(06)/文春文庫(09)も大好き。いちおう日記の体裁で書かれていますが、その内容は虚構と現実が混在した、ウソ日記(あるいは妄想日記)です。ショートショート集とするには無理がありますけれど、私はショートショート集を読んでいるような感覚で読みました。
 その続編『にょにょっ記』文藝春秋(09)も出ていて、これも読むのが楽しみです(まだ買っていませんが)。

 穂村弘とは関係ありませんが――
絶叫大冒険.JPG『現実入門』を読んで、大昔に読んだ横田順彌『絶叫大冒険』講談社(83)を思い出しました。横田順彌がさまざまな初体験に挑戦するという、『現実入門』と似たようなコンセプトのエッセイ集です。
 こちらは『現実入門』とは違って、ハング・グライダーや熱気球など、体験していないのが当たり前のことが多いです。
 横田さんは、7回目の挑戦中に落馬して右手首を骨折。予定半ばで連載は終了しました。『現実入門』第1回には、「骨折体験はしたくない」なんて内容のことも書かれていて、もちろん偶然なんでしょうが、ちょっと不思議な気分がしました。
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