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親本情報について

 真鍋博『超発明』のちくま文庫版において、サブタイトルが変更されているのになぜかそれが明記されていない件。(この記事参照)
 こういうのって、本当に困るんですよね。
 すぐに思い出すのは、落合恵子のショートショート集『スパイスのミステリー』文春文庫(97)です。姉妹編『スパイスの誘惑』文春文庫(97)とともに、ショートショート集の収集を始めて、かなり初期に買いました。
スパイスのミステリー.jpg スパイスの誘惑(文庫).jpg
 いずれにも「単行本 一九九二年 読売新聞社刊」とのデータが記されています。初刊本も入手しなくては。――と探求開始。
 ハードカバー『スパイスの誘惑』はすぐに見つかったのですが、『スパイスのミステリー』が見つかりません。そんなある日、『スパイスの行方』なるタイトルのハードカバーが目に飛び込んできました。読売新聞社、1992年刊。
 そうか~。『スパイスの~』は3冊あるのか。『~の行方』も文庫化されているのかな。
 ところが……。『スパイスの行方』は『スパイスのミステリー』の親本だったんですね。
 すなわち――
『スパイスの行方』読売新聞社(92)→『スパイスのミステリー』文春文庫(97)
『スパイスの誘惑』読売新聞社(92)→『スパイスの誘惑』文春文庫(97)
 ということです。『スパイスのミステリー』という単行本(ハードカバー)は存在しない!
 再刊の際にタイトルを変えること自体は構わないけれど、再刊本には正確なデータを明記してほしいなあ。
スパイスの行方.jpg スパイスの誘惑.jpg サイン.jpg
 もう一例。
 山口椿『少女残酷物語』ハルキ・ホラー文庫(01)には「本書の〈日本篇〉は書き下ろしです。また、〈西欧篇〉は『アメリカ怪奇幻想館』(同文書院・一九九五年十月)を底本にし、再編集したものです。」とあります。
 正確には『カメリア怪奇幻想館 西欧編』同文書院(95)に収録されている18編から12編をセレクト、さらに書き下ろし8編を加えた、計20編収録の本です。そこまで書かなくてもいいとは思いますが、タイトルが違っているのは困ったものですねえ。
 さらに言うならば、この『カメリア怪奇幻想館』は『西欧残酷物語』同文書院(97)として再刊されているんですよね。こちらにはちゃんと「本書は「カメリア怪奇幻想館」(1995年、小社刊)を改題したものです。」と記されています。
 うむむむむ……。まあ、親本情報なんて、読者の多くは気にもしてないでしょうけれど。
少女残酷物語.jpg カメリア怪奇幻想館.jpg 西欧残酷物語.jpg
【補足】
 カメリア(Camellia)は英語で「椿」のことです。つまり、自分の名前をタイトルに冠しているわけですね。アメリカとは関係ありません(笑)。
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