沖慶介
昨日買った清水義範『小説家になる方法』ビジネス社(07)から、まずは引用させていただきます。(89~91ページ)
大学二年生の時に柴野氏から、私が『スーパー・ノバ』に書いたSFショートショートを『宇宙塵』に転載させてくれないか、という連絡が入った。―中略―
私は『冒険狂時代』という、そのショートショートを少し手直しして送り、やがてそれは『宇宙塵』に掲載された。そのころは沖慶介というペンネームを使っていた。
その転載から一ヶ月後くらいに、ふいに私のところへ、東京の出版社から電話がかかってきた。『推理界』という雑誌の編集長からの電話で、私の『冒険狂時代』を掲載したいという話だった。―中略―
やがて、私の『冒険狂時代』が掲載された『推理界』が発売された。―中略―
さらにその雑誌からは、二、三ヶ月後に、またしてもショートショートを書けと依頼が来た。―中略―私は『殺人狂時代』という作品を書いて、約束の日までに送った。―中略―
私の『殺人狂時代』が載った号は、一応は出た。しかしその号で、その雑誌はおしまいだった。
でまあ、いろいろあって、1977年7月、ソノラマ文庫の書き下ろし長編『エスパー少年抹殺作戦』で単行本デビューするわけです(112ページ)。それまでに商業誌掲載はありますが、この本がイコール作家デビューと考えたほうがいいかもしれません。
自分のデビューと重ね合わせたり、あれこれ思いを巡らせていて――
ソノラマ文庫以前に清水義範(沖慶介)の作品が掲載された雑誌、うちにも何冊かあるなあ。
と思いました。書棚をごそごそ。探してきましたので、紹介します。
まずはファンジンから。
◎「MUTANTS」14号(1968年8月25日発行)――「露出狂時代」沖慶介名義
名古屋の同人誌「スーパー・ノバ」同人諸氏からの招待作品とのこと。なお、「尊敬の念を持って筒井康隆氏に捧げる」との献辞があります。
◎「宇宙塵」№129(1968年12月号)――「冒険狂時代」沖慶介名義
「スーパー・ノバ」№9より転載。
◎「宇宙塵」№155(1971年6月号)――「待っている」沖慶介名義
「飛行船」6号からの改稿転載。
続いて商業誌。
◎「推理界」1969年7月号――「殺人狂時代」沖慶介名義
残念ながら、「冒険狂時代」掲載の「推理界」はありませんでした。実は「推理界」、ほんの少ししか持っていなくて、この号を買ったのはおそらくカミ「處女華受難」が掲載されているから、と思います。
なお、『小説家になる方法』には――
>私の『殺人狂時代』が載った号は、一応は出た。しかしその号で、その雑誌はおしまいだった。
と書かれていますが、間違い。次号(8月号)も出ています。怪奇・恐怖小説特集が組まれていて、平井呈一の長編『真夜中の檻』が一挙掲載。これ目当てに買ったものと思われます。
◎「小説ロマン」1976年10月号――「暗黒能力」清水義範名義
半村良が「著者紹介の辞」を寄せています。この記事のコメント欄に書きましたが、「小説ロマン」は宮崎惇「日本ロスト・ワールド」シリーズを読むために買っていました。この号で終刊。
以上ですが、もう1冊――
◎「てんたくるす」№56(1969年8月1日発行)――「KYUCONに寄せて(二)」沖慶介名義
KYUCONプログラム号。KYUCON(第8回日本SF大会)に寄せた祝辞(無題)なんですが、オチがあり、一種のショートショートと言えないこともありません。
う~む。
清水義範アマチュア時代のファンジン「スーパー・ノバ」や「飛行船」が読みたくなってきましたが、入手はほぼ不可能なんでしょうねえ。
大学二年生の時に柴野氏から、私が『スーパー・ノバ』に書いたSFショートショートを『宇宙塵』に転載させてくれないか、という連絡が入った。―中略―
私は『冒険狂時代』という、そのショートショートを少し手直しして送り、やがてそれは『宇宙塵』に掲載された。そのころは沖慶介というペンネームを使っていた。
その転載から一ヶ月後くらいに、ふいに私のところへ、東京の出版社から電話がかかってきた。『推理界』という雑誌の編集長からの電話で、私の『冒険狂時代』を掲載したいという話だった。―中略―
やがて、私の『冒険狂時代』が掲載された『推理界』が発売された。―中略―
さらにその雑誌からは、二、三ヶ月後に、またしてもショートショートを書けと依頼が来た。―中略―私は『殺人狂時代』という作品を書いて、約束の日までに送った。―中略―
私の『殺人狂時代』が載った号は、一応は出た。しかしその号で、その雑誌はおしまいだった。
でまあ、いろいろあって、1977年7月、ソノラマ文庫の書き下ろし長編『エスパー少年抹殺作戦』で単行本デビューするわけです(112ページ)。それまでに商業誌掲載はありますが、この本がイコール作家デビューと考えたほうがいいかもしれません。
自分のデビューと重ね合わせたり、あれこれ思いを巡らせていて――
ソノラマ文庫以前に清水義範(沖慶介)の作品が掲載された雑誌、うちにも何冊かあるなあ。
と思いました。書棚をごそごそ。探してきましたので、紹介します。
まずはファンジンから。
◎「MUTANTS」14号(1968年8月25日発行)――「露出狂時代」沖慶介名義
名古屋の同人誌「スーパー・ノバ」同人諸氏からの招待作品とのこと。なお、「尊敬の念を持って筒井康隆氏に捧げる」との献辞があります。
◎「宇宙塵」№129(1968年12月号)――「冒険狂時代」沖慶介名義
「スーパー・ノバ」№9より転載。
◎「宇宙塵」№155(1971年6月号)――「待っている」沖慶介名義
「飛行船」6号からの改稿転載。
続いて商業誌。
◎「推理界」1969年7月号――「殺人狂時代」沖慶介名義
残念ながら、「冒険狂時代」掲載の「推理界」はありませんでした。実は「推理界」、ほんの少ししか持っていなくて、この号を買ったのはおそらくカミ「處女華受難」が掲載されているから、と思います。
なお、『小説家になる方法』には――
>私の『殺人狂時代』が載った号は、一応は出た。しかしその号で、その雑誌はおしまいだった。
と書かれていますが、間違い。次号(8月号)も出ています。怪奇・恐怖小説特集が組まれていて、平井呈一の長編『真夜中の檻』が一挙掲載。これ目当てに買ったものと思われます。
◎「小説ロマン」1976年10月号――「暗黒能力」清水義範名義
半村良が「著者紹介の辞」を寄せています。この記事のコメント欄に書きましたが、「小説ロマン」は宮崎惇「日本ロスト・ワールド」シリーズを読むために買っていました。この号で終刊。
以上ですが、もう1冊――
◎「てんたくるす」№56(1969年8月1日発行)――「KYUCONに寄せて(二)」沖慶介名義
KYUCONプログラム号。KYUCON(第8回日本SF大会)に寄せた祝辞(無題)なんですが、オチがあり、一種のショートショートと言えないこともありません。
う~む。
清水義範アマチュア時代のファンジン「スーパー・ノバ」や「飛行船」が読みたくなってきましたが、入手はほぼ不可能なんでしょうねえ。
2012-11-15 11:29
コメント(5)
古い記事を読んでいて(いや、実に面白いですね)これを見ました。
どういう経緯で手に入れたのかさっぱり憶えていないのですが、スーパーノヴァ9号が手元にあって、CDに収めて石原さんの所に送ってあります。1冊だけなのでファンジン集補遺には入らないと思いますので、ご興味があれば石原さんから貰うか、あるいは私から直接お送りしても構いません。私のメールアドレスはこのページにありますので、ご連絡ください。
http://www.neelsebub.com/Ukiryu/ukiryu.html
by 森田 裕 (2013-06-18 11:21)
おお! 思ってもみないお申し出、嬉しいです!
石原さんに頼んで、また何かのついでに送っていただこうと思います。
ありがとうございました。
by 高井 信 (2013-06-18 18:24)
石原藤夫さんからスキャン画像が届きました。
前から読みたくてたまらなかったファンジンですから、本当に嬉しいです。
森田さんと石原さんに感謝!
こういうとき、ブログをやっててよかったなあ~と、つくづく思います。
今後ともよろしくお願いいたします。
by 高井 信 (2013-06-21 17:42)
お役に立てて嬉しいです。
アメリカでは1930年代に数十部しか発行されていないファンジンが、ファンの手で大切に保存されているのに比べ、日本では1960年代、70年代のものがなかなか入手しにくいというのはちょっと考えさせられます。普通の雑誌でも同じかも知れませんが。
by 森田 裕 (2013-06-22 11:28)
本当にありがとうございました。
アメリカのファンジンのことは知りませんけれど、日本の古いファンジン、確かにおっしゃる通りですね。素晴らしく充実した内容のものも多いだけに残念です。
石原さんはそれらをまとめ、後世に残そうとされているわけで、ただただ尊敬!
by 高井 信 (2013-06-23 11:20)