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「女やら虎やら」

 風呂から出て、ビールを飲みつつ、今日買った『謎の物語』を読んでいました。
 ストックトン「女か虎か」を読むのは久しぶりです。これまでに10回以上は読んでいますが、何回読んでも楽しいですね。ほんと、傑作と思います。
 読み終わり、「ん?」と引っかかるものがありました。考えること数秒、「うほほ」と奇声。――しょーもないネタを思いついてしまったんですね(笑)。
 さっそく形にしちゃいました。アルコールの勢いでアップしちゃいます。

          *              *              *

     女やら虎やら

 とまあ、いろいろとあって、王女と恋に落ちた若者は闘技場に連れてこられた。真正面に十三個の扉が並んでいる。
 扉の奥の部屋には、一つには若者にふさわしい女性、あとの十二の部屋には十二支の動物――すなわち、子・丑・寅・卯・辰・巳・午・未・申・酉・戌・亥が潜んでいる。
 裁かれる若者はいずれかの扉を自ら選んで、開けなければならない。それが特権であり義務なのである。
 ややこしいので逐一の説明は省くが、扉が開け放たれるや、その部屋の主はそれぞれの能力や特性を最大限に生かした行動に出る。たとえば女性の扉を開ければ、その女性は若者に求婚する。たとえば虎の扉を開ければ、虎は若者を食い殺す。その他もろもろ。――若者はそれから逃れることはできない。
 若者の恋人――今は貴賓席に坐る王女は、どの扉の奥に何が潜んでいるか知っていた。そして若者は、王女がそれを知っているだろうことを確信していた。
 若者が貴賓席に目をやると、王女はこっそりと手を動かし、一つの扉を指差した。しかし、とにかく十三もの扉が近い距離で並んでいるので、若者には王女がどの扉を指し示したのか特定できない。
 逡巡する若者に、「早く決めよ」と王が促す。
 もはや絶体絶命。若者は心を決め、王女が指を差した(ような気がする)三つほどの扉のなかから一つを選び、それを開いた。
 さて。
 扉から姿を現したのは、女か、それとも虎か? あるいは、鼠か牛か兎か龍か蛇か馬か羊か猿か鶏か犬か猪か。
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