「恐しきみどり児」
ずいぶん前、2011年2月8日の記事「密室」の続きです。当該記事のコメント欄に、山本孝一さんが「「密室」にブラッドベリの「火星年代記」のエピソードが翻訳されていた、確か訳者は矢野徹さんだったという話が出たのです。で、後日、矢野さんにたずねたら、訳した事がある、アメリカのパルプ雑誌から訳したもので「十七の墓標」とか、そんな題名だった」と書いてくれました。
実はこの件、ブログには書きませんでしたが、解決しております。同年7月、SFファンの友人Dくんが教えてくれたのです。(山本さんにはメールでお知らせしました)
「密室」ではなくて「探偵趣味」で、タイトルも「十七の墓標」ではなくて「十七の棺」とのこと。詳しく書きますと――
「探偵趣味」第15号(第3巻第2号)*奥付では「第十四号」と誤記
「探偵小説趣味の会」発行
昭和29年5月5日印刷 昭和29年5月10日発行
[目次表記]
翻訳(六〇枚)
「十七の棺」レイ・ブラッドブリイ/矢野徹 訳
[本文表記]
S・F
「十七の棺」レイ・ブラッド・ブリイ/矢野徹 訳
ということです。
で、それを承けて、今日の記事です。
朝っぱらから、古~く黄ばんだ紙(笑)を眺めていました。S-Rの会会報「会報S・R」です。その第2号(昭和29年10月25日発行)に、同会の会誌「密室」第15号の詳細な目次が掲載されていて……。ともあれ現物をご覧いただきましょう。(右の画像。クリックで拡大表示されます)
第15号の発行日は定かではありませんが、「会報S・R」第1号(昭和29年8月15日発行)には「密室」第14号の目次が掲載されているところから、昭和29年8月~10月の間と思われます。となると、この「恐しきみどり児」がブラッドベリの邦訳・第2号でしょうか。
山本さんのコメントには「ブラッドベリは「密室」にもう一編訳していてそれは「十月はたそがれの国」に収録されている「小さな殺人者」だ」ともあります。現物を見ているわけではないので確かなことは言えませんけれど、これは「恐しきみどり児」のことだと思います。(言わずもがなと思いますが、坂田治は矢野徹のペンネームです)
「小さな殺人者」(別題「幼い刺客」)は以下の本に収録されています。
『10月はたそがれの国』創元推理文庫(65)※「小さな殺人者」
『万華鏡』サンリオSF文庫(78)※「小さな殺人者」
『悪夢のカーニバル』徳間文庫(85)※「幼い刺客」
『お菓子の髑髏』ちくま文庫(12)※「幼い刺客」
偶然とはいえ、こういうものを見つけると嬉しいです。ただ、よく知られていることなのかもしれないという思いもあります。最近でも、こんな記事を書いて、ちょっと恥ずかしかったです(苦笑)。
【追記】コメント欄参照。
森田裕さんから「密室」第15号の表紙および目次の画像を送っていただきました。以下にアップします。(目次は画像クリックで拡大表示)
【追記2】
ついでに、「探偵趣味」第15号の表紙および目次の画像も掲載しておきましょう。Dくんと喫茶店で会った際に見せてもらい、ケータイのカメラで撮ったものです。こちらも、目次は画像クリックで拡大表示されます。
実はこの件、ブログには書きませんでしたが、解決しております。同年7月、SFファンの友人Dくんが教えてくれたのです。(山本さんにはメールでお知らせしました)
「密室」ではなくて「探偵趣味」で、タイトルも「十七の墓標」ではなくて「十七の棺」とのこと。詳しく書きますと――
「探偵趣味」第15号(第3巻第2号)*奥付では「第十四号」と誤記
「探偵小説趣味の会」発行
昭和29年5月5日印刷 昭和29年5月10日発行
[目次表記]
翻訳(六〇枚)
「十七の棺」レイ・ブラッドブリイ/矢野徹 訳
[本文表記]
S・F
「十七の棺」レイ・ブラッド・ブリイ/矢野徹 訳
ということです。
で、それを承けて、今日の記事です。
朝っぱらから、古~く黄ばんだ紙(笑)を眺めていました。S-Rの会会報「会報S・R」です。その第2号(昭和29年10月25日発行)に、同会の会誌「密室」第15号の詳細な目次が掲載されていて……。ともあれ現物をご覧いただきましょう。(右の画像。クリックで拡大表示されます)
第15号の発行日は定かではありませんが、「会報S・R」第1号(昭和29年8月15日発行)には「密室」第14号の目次が掲載されているところから、昭和29年8月~10月の間と思われます。となると、この「恐しきみどり児」がブラッドベリの邦訳・第2号でしょうか。
山本さんのコメントには「ブラッドベリは「密室」にもう一編訳していてそれは「十月はたそがれの国」に収録されている「小さな殺人者」だ」ともあります。現物を見ているわけではないので確かなことは言えませんけれど、これは「恐しきみどり児」のことだと思います。(言わずもがなと思いますが、坂田治は矢野徹のペンネームです)
「小さな殺人者」(別題「幼い刺客」)は以下の本に収録されています。
『10月はたそがれの国』創元推理文庫(65)※「小さな殺人者」
『万華鏡』サンリオSF文庫(78)※「小さな殺人者」
『悪夢のカーニバル』徳間文庫(85)※「幼い刺客」
『お菓子の髑髏』ちくま文庫(12)※「幼い刺客」
偶然とはいえ、こういうものを見つけると嬉しいです。ただ、よく知られていることなのかもしれないという思いもあります。最近でも、こんな記事を書いて、ちょっと恥ずかしかったです(苦笑)。
【追記】コメント欄参照。
森田裕さんから「密室」第15号の表紙および目次の画像を送っていただきました。以下にアップします。(目次は画像クリックで拡大表示)
【追記2】
ついでに、「探偵趣味」第15号の表紙および目次の画像も掲載しておきましょう。Dくんと喫茶店で会った際に見せてもらい、ケータイのカメラで撮ったものです。こちらも、目次は画像クリックで拡大表示されます。
2014-12-10 10:03
コメント(6)
「密室」第15号は、昭和29年11月26日頒布の様ですね。「恐しきみどり児」が実際に掲載された時のタイトルは「小さき暗殺者」になっています。
by 森田 裕 (2014-12-10 12:02)
わ。「恐しきみどり児」は仮題でしたか。
さすが森田さん! ありがとうございます!
記事を書いて、よかったと思います。
by 高井 信 (2014-12-10 12:07)
高井さんに伝えるのを忘れていたようですが、2年ほど前だったか、東京のブラッドベリ・マニアの方から「密室」15号(昭和29年11月号)の「小さき暗殺者」と、「探偵趣味」15号(昭和29年5月号)の「十七の棺」の冒頭1ページのコピーをいただいておりました。
森田さんも現物をお持ちでしたか。さすがですね。
「探偵趣味」15号の表紙は、赤い表紙に黒色の絵だったのですね。いただいたモノクロコピーでは絵は全部消えて黒色一色になってました。
10年ほど前だったか、この情報を聞いたときに、まだご健在だった矢野さんに電話してたずねたら、何しろ古い話だからなぁ、掲載誌もどこにあるかわからないなぁとおっしゃっていたのを覚えています。
これがブラッドベリの雑誌における本邦初訳の2編なのですね。
by 山本孝一 (2014-12-10 21:17)
おお、そうでしたか。山本さんもさすが!
>これがブラッドベリの雑誌における本邦初訳の2編なのですね。
絶対とは言えないと思いますが、おそらく。
by 高井 信 (2014-12-10 23:00)
何でも持ってるなあ>Dくん(そこに感心)。
by 北原尚彦 (2014-12-11 18:53)
四次元ポケット持ってますからねえ。
パソコンの具合が悪く、復旧に四苦八苦していました。なんとか復旧できたかな。様子見してます。
by 高井 信 (2014-12-11 22:30)