SSブログ

「厭な解説(もっと厭な読書案内)」

 京極夏彦『厭な小説 文庫版』祥伝社文庫(12)の解説――北原尚彦「厭な解説(もっと厭な読書案内)」を楽しんでいます。読者に厭な味わいを与える小説の読書案内です。
>「厭」というのはあくまでも感覚の問題なので、あれが入っていないとかこれはそんなに厭じゃないとかいう、厭な文句は受け付けないので、念のため。
 と書かれています。もちろん承知していますとも。
 でまあ、採り上げられている作品ですが、とにかく私はこんなのが大好きですから、「あ、知ってる知ってる」「あ、読んだ読んだ」と、もう楽しくて楽しくて……。これほど楽しい文庫解説なんて、滅多にないです。
 そんななかで、ん? と思ったのがパトリシア・ハイスミスの短編(というか、ショートショートと言ってもいい長さ)「かたつむり観察者」です。
 このブログでも何度か書いています(たとえばここ)ように、私はショーン・ハトスン『スラッグス』――ナメクジうじゃうじゃ(笑)が大好きです。片や「かたつむり観察者」はカタツムリうじゃうじゃ(笑)。
 懐かしくなり、同作品が収録されている短編集『11の物語』ハヤカワ文庫ミステリアス・プレス(90)/ハヤカワ・ミステリ文庫(05)を手に取りました。
厭な小説.jpg 11の物語(MP).jpg 11の物語(HM).jpg
 目次を眺めて、ぱっと目に飛び込んできたのが「クレイヴァリング教授の新発見」です。巨大カタツムリ小説(笑)。と同時に、ここんところマイブームとなっているレオポルド・ショヴォーの短編「大きなカタツムリの話」を思い出しました。『ショヴォー氏とルノー君のお話集2 子どもを食べる大きな木の話』福音館(86)/福音館文庫(03)に収録。同じくカタツムリを扱っていながら、こちらは全く厭な感じはありません。ユーモラスで、ほのぼのと楽しい小説なんですよね。
子どもを食べる大きな木の話.jpg
 この違いは、たとえば――
 ゴキブリ映画といえば『クリープショー』を筆頭に『ザ・ネスト』『ブラッダ』『ブラック・ビートル』『アベレーション2』など、嫌悪感爆発が当たり前ですが、そんなのばかりではなく、『ジョーズアパートメント』みたいなコメディ映画もあります。――同じような関係なのかなあ、なんて思ったりして(笑)、「厭な解説(もっと厭な読書案内)」のせいで、どんどん妄想が広がっていきます。
クリープショー.jpg ザ・ネスト.jpg ブラッダ.jpg
ブラック・ビートル.jpg アベレーション2.jpg ジョーズアパートメント.jpg


 YouTubeついでに、ナメゴン。


女嫌いのための小品集.jpg このままだと収拾がつかなくなりますので、パトリシア・ハイスミスのショートショート集を紹介して、この記事を終わることにしましょう。
『女嫌いのための小品集』河出文庫(93)

【註】この記事の書影は、すべて同じ縮小率にしました。とんでもなく巨大で、収納場所に困っています。>ショヴォー
コメント(0) 

コメント 0

コメントを書く

お名前:[必須]
URL:
コメント:
画像認証:
下の画像に表示されている文字を入力してください。