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『殺人予報』

 石原藤夫さんのご厚意で、田川雅一朗『殺人予報』私家版(71)を読むことができました。情報提供(→この記事)を求めたところ、すぐさま石原さんから「持ってますよ」とご連絡をいただき……。
 B5判、64ページのハードカバー。A5判のソフトカバーを想像していましたが、まるっきり違いました。無地の函入り(梱包用?)。
殺人予報.jpg ご覧の通り表紙はフルカラーで、数多く掲載されているイラストは2色カラーです。ファンジンと言うには立派すぎる装丁の本で、これは自費出版と言うべきでしょうね。
 収録されているのは計12編です。すべてショートショートですが、8編は極めて短く、4編は少し長めです。
 短めのショートショート8編の多くは近未来を舞台にしていて、近未来予測ショートショートと言えるでしょうか。いずれもよくできていて、アマチュアとしてはレベルは高いと思います。ほかの4編――長めのショートショートも悪くはありませんが、もっと短く書けば、より面白くなるような気がします。
 ともあれ、読みたくて仕方がなかった本ですから、こうして読むことができて、大満足です。石原さん、ありがとうございました。心より感謝しております。
 とはいえ、本を入手したわけではなく、探求は続きます。読んだことによって、さらに欲求が強くなってしまいました(苦笑)。

【補足と蛇足】
 田川雅一朗は「SFマガジン」の〈ゼネラル・SFショートショート・コンテスト〉に入選しています。
「殺人予報」――「SFマガジン」1968年9月臨時増刊号(112号)に掲載。
「求人合戦」――「SFマガジン」1968年11月号(114号)に掲載。田川雅一郎名義。おそらく誤植と思われますが、定かではありません。
 2編とも『殺人予報』に収録されています。
 あ、そうそう。全く関係ないのですが、この2冊の「SFマガジン」の間の号――1968年10月号(113号)には、星一『三十年後』(星新一によるアブリッジ版)が掲載されています。ついでですから、3冊の書影を並べちゃいます。
112号.jpg 113号.jpg 114号.jpg

【蛇足】
 梱包用の無地の函といえば、野田昌宏『SFパノラマ館』北冬書房(75)が思い出されます。函だけでは何が何だかわからないので、本を少しだけ出してみました。
SFパノラマ館.jpg SFパノラマ館+函.jpg
コメント(3) 

コメント 3

山本孝一

昔のSFマガジンを取り出してきて「殺人予報」と「求人合戦」を読みました。
「求人合戦」はおぼえておりませんでしたが、「殺人予報」はよくおぼえておりました。オチにちょっと合点がいかなくて。
「SFマガジン」1968年9月臨時増刊号(112号)に掲載の〈ゼネラル・SFショートショート・コンテスト・ベスト10〉は楽しく、「古風な路」という作品は奇妙な話で今も忘れがたい。
〈ゼネラル・SFショートショート・コンテスト〉とか、SFマガジンの裏表紙に載っていた〈パイロットSFコーナー〉に掲載のショートショートが、どこかでまとめられたらいいのになぁと思いました。

by 山本孝一 (2012-02-03 08:55) 

北原尚彦

『殺人予報』、たぶんデパート古本市で一回だけ見たことがある気がします。
 なまじサインが入っていたために一万円近い値段で、恐れをなして棚に戻してしまいました。
 未だに、買っておいたほうが良かったのかどうか、思い返して悩みます。
by 北原尚彦 (2012-02-03 09:00) 

高井 信

 山本さん。
 そうなんですよね。〈リーダーズ・ストーリイ〉も含めて、「SFマガジン」のショートショート・コンテストは、雑誌に掲載されたら終わり、なんですよね。
 今さら、商業出版では難しいと思いますが……。

 北原さん。
 1万円ですか~。それは厳しすぎますねえ。まあ、レア度を考えれば、そんなものかもしれませんけれども……。
 まあ、存在する以上は、いつかは手にはいるでしょう。もう読んだし、データもばっちりだし、のんびりと探求します。
by 高井 信 (2012-02-03 09:41) 

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