「再び輝く星々のかなたへ!」
昨日の記事をアップしたあと、何となく〈キャプテン・フューチャー・シリーズ〉に想いを馳せていて……。ふと思い出しました。
大学1年のとき、〈キャプテン・フューチャー・シリーズ〉の短編を(途中までですが)翻訳したことがあるんです。その翻訳は、東京理科大学SF研究会の会誌「兆」(この記事参照。書影もあります)に連載しました。もっとも、「兆」はたった2冊を発行しただけで休刊。連載も中断となり、それっきりなんですが……。
テキストとして用いたのは、アメリカのSF雑誌「STARTLING STORIES」1951年5月号に掲載された“Birthplace of Creation”です。もちろん、当時は未訳。
これは、すでに翻訳のあった長編『輝く星々のかなたへ!』ハヤカワSF文庫(73)の後日談でして、原題を無視して、私は勝手に「再び輝く星々のかなたへ!」なんてタイトルを付けちゃいました。
私の翻訳は中途半端に終わってしまいましたが、この“Birthplace of Creation”は「SFマガジン」1983年7月臨時増刊号(昨日の記事参照)に、「〈物質生成の場〉の秘密」というタイトルで、ちゃんとした翻訳が掲載されています(山本孝一+野田昌宏訳)。この作品も野田昌宏さんの長編『風前の灯! 冥王星ドーム都市』と同じく、長らく「SFマガジン」に掲載されたきりでしたが、2007年、創元SF文庫『鉄の神経お許しを 他全短編』に収録されました。
ちなみに、私の翻訳は――
・連載第一回「1・フューチャーメンの基地」――「兆」創刊号(1977年6月20日発行)に掲載。「〈物質生成の場〉の秘密」では「1 フューチャーメンの砦」(創元SF文庫版329~337ページ)に当たります。
・連載第二回「2・虚空の秘密」――「兆」休刊号(1978年2月15日発行)に掲載。同「2 大宇宙の神秘」(同337~349ページ)に当たります。
右の画像は連載第二回(事実上の最終回)の最終ページです(クリックすると拡大表示)。キャプテン・フューチャーはぼやき、訳者は尻切れトンボになったことをお詫びしております。
以下、内輪の話です。
「〈物質生成の場〉の秘密」は山本孝一さんと野田昌宏さんの共訳です。翻訳にあたり、山本さんは私の翻訳を参考にしようとされたそうですが……。
「難しい言い回しがあって、高井さんのを参考にしようとしたら、ちょうどそこだけ省いてある」と(笑)。
全く覚えていませんが、よくわからない箇所は飛ばしちゃったんでしょうねえ。
お役に立てず、申しわけありませんでした。>山本さん
大学1年のとき、〈キャプテン・フューチャー・シリーズ〉の短編を(途中までですが)翻訳したことがあるんです。その翻訳は、東京理科大学SF研究会の会誌「兆」(この記事参照。書影もあります)に連載しました。もっとも、「兆」はたった2冊を発行しただけで休刊。連載も中断となり、それっきりなんですが……。
テキストとして用いたのは、アメリカのSF雑誌「STARTLING STORIES」1951年5月号に掲載された“Birthplace of Creation”です。もちろん、当時は未訳。
これは、すでに翻訳のあった長編『輝く星々のかなたへ!』ハヤカワSF文庫(73)の後日談でして、原題を無視して、私は勝手に「再び輝く星々のかなたへ!」なんてタイトルを付けちゃいました。
私の翻訳は中途半端に終わってしまいましたが、この“Birthplace of Creation”は「SFマガジン」1983年7月臨時増刊号(昨日の記事参照)に、「〈物質生成の場〉の秘密」というタイトルで、ちゃんとした翻訳が掲載されています(山本孝一+野田昌宏訳)。この作品も野田昌宏さんの長編『風前の灯! 冥王星ドーム都市』と同じく、長らく「SFマガジン」に掲載されたきりでしたが、2007年、創元SF文庫『鉄の神経お許しを 他全短編』に収録されました。
ちなみに、私の翻訳は――
・連載第一回「1・フューチャーメンの基地」――「兆」創刊号(1977年6月20日発行)に掲載。「〈物質生成の場〉の秘密」では「1 フューチャーメンの砦」(創元SF文庫版329~337ページ)に当たります。
・連載第二回「2・虚空の秘密」――「兆」休刊号(1978年2月15日発行)に掲載。同「2 大宇宙の神秘」(同337~349ページ)に当たります。
右の画像は連載第二回(事実上の最終回)の最終ページです(クリックすると拡大表示)。キャプテン・フューチャーはぼやき、訳者は尻切れトンボになったことをお詫びしております。
以下、内輪の話です。
「〈物質生成の場〉の秘密」は山本孝一さんと野田昌宏さんの共訳です。翻訳にあたり、山本さんは私の翻訳を参考にしようとされたそうですが……。
「難しい言い回しがあって、高井さんのを参考にしようとしたら、ちょうどそこだけ省いてある」と(笑)。
全く覚えていませんが、よくわからない箇所は飛ばしちゃったんでしょうねえ。
お役に立てず、申しわけありませんでした。>山本さん
2010-12-02 09:19
コメント(2)
>山本さんは私の翻訳を参考にしようとされたそうですが……。
あはは、その通りなんです。二人とも訳しづらい箇所は同じだったようです。
話はそんなに難しくないのですが、言い回しに1940~50年代の慣用句や
俗語があり手元の辞書に載っていないことがありました。
文庫本で訳したコラム「キャプテン・フューチャーとその仲間達」は
もっと俗語はでてくる、本編と矛盾する箇所は多い…と大変でした。
どうしても意味のとれない文章があり、苦労してようやく見つけたのが
「ぶん殴ってやる(床にぶったおしてやる)」の俗っぽい言い方でした。
「生きている悩」サイモン・ライトにしても、コラムでは月の秘密研究所で
誰にも知られずに手術をされたはずなのに、次のページでは押し入ってきた
悪漢がライトを見て「こいつは科学者、サイモン・ライトのなれの果てだ」と
言うのです。なんでお前が知っているンや、と訳しながらつっこみました。
よほど「ボス、なんでそんなことを知ってるんですかい?」
「うん、前のページに書いてあった」
の2行をいれようかと思いました。
それはやりすぎだと編集者から止められましたが。
翻訳と言うのは難しい。二度とやりません。
by 山本孝一 (2010-12-03 22:34)
またまた楽しい裏話をありがとうございます。
作者が存命なら疑問点を問い合わせることもできますし、矛盾点を修正してもらうこともできるんですが、そうじゃないと、どうしようもないですね。
>翻訳と言うのは難しい。二度とやりません。
ほんと、大変な作業と思います。お疲れさまでした。
by 高井 信 (2010-12-04 09:06)