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ハヤカワSFシリーズ

『新・幻想と怪奇』の記事にいただいた雫石さんのコメントにグロフ・コンクリン編『宇宙恐怖物語』の書名があり、久しぶりにハヤカワSFシリーズを収めてある棚を眺めました。いやいや、懐かしいですねえ。
 私がSFを本格的に読み始めたのは1970年ごろ、ハヤカワSFシリーズの末期でした。ちょうどハヤカワSF文庫が創刊されたころでもあり、当時の私がおもに読むのは文庫(創元推理文庫も含めて)でしたが、ハヤカワSFシリーズでしか読めないタイトルも数多くあり、徐々にハヤカワSFシリーズにも手を伸ばすようになりました。
 改めて眺めると、「そう言えば、これも再刊されていないなあ。若いファンが簡単に手にできないのは残念だなあ。再刊してくれればいいのに……」と思う本がたくさんあります。
 本ブログの性格上、短編集に絞って、そんな本を紹介したいと思います。

 アンソロジーでは、『宇宙恐怖物語』以外に、コメントにも書いたメリル編『宇宙の妖怪たち』、あるいはヒーリイ&マッコーマス編『時間と空間の冒険№1』『時間と空間の冒険№2』といったあたりが目につきます。『時間と空間の冒険』は3巻目も出版予定だったようですが、結局発行されなかったのですね。残念。
宇宙恐怖物語.JPG 宇宙の妖怪たち.JPG 時間と空間の冒険№1.JPG 時間と空間の冒険№2.JPG
 個人短編集では――
ボロゴーヴはミムジイ.JPG ヘンリイ・カットナー『ボロゴーヴはミムジイ』
 ロバート・シェクリイ『宇宙のかけら』『人類の罠』
 ジョン・W・キャンベル『影が行く』
 マレイ・ラインスター『宇宙震』
 エリック・フランク・ラッセル『宇宙の深淵より』
 シオドア・スタージョン『奇妙な触合い』
 エドモンド・ハミルトン『フェッセンデンの宇宙』
 フレドリック・ブラウン『わが手の宇宙』
宇宙のかけら.JPG 人類の罠.JPG 影が行く.JPG 宇宙震.JPG
宇宙の深淵より.JPG 奇妙な触合い.JPG フェッセンデンの宇宙.JPG わが手の宇宙.JPG
 こういった本ですね。昨今の異色短編ブームで再評価され、新刊の出ているスタージョンやハミルトン、創元SF文庫などで容易に読めるブラウンはともかくとして、ほかの作家の短編集が忘れ去られてしまうのは淋しいです。特に『ボロゴーヴはミムジイ』! 大好きな短編集です。

 ハヤカワSFシリーズではありませんが……。
 早川書房編集部編『現代恐怖小説集1 十三階の女』なんてのもありました。たった1冊しか発行されなかったハヤカワ・サスペンス・シリーズです。
十三階の女.JPG 巻末に付された「サスペンス・シリーズ誕生」には――

 ミステリ、SFの二つの面をもちながら、それ以外のプラス・アルファをもつ小説のシリーズである。このシリーズに「サスペンス」の名称がついたのは、こうした意味をこめてのことで、江戸川乱歩氏のいう「奇妙な味」をもつた作品をもりこんでいくつもりでいる。

 と書かれています。
 このシリーズが続刊されていたら、どれほどの愉しみを私たちに与えてくれたでしょうか……。

 文庫の新装版もいいですが、ここに挙げたような本を文庫化していただきたいものです。私、たぶん文庫も買ってしまいます。
コメント(2) 

コメント 2

高橋

SFシリーズには、文庫化されていない名作がいっぱいありますね。『フェッセンデンの宇宙』はその最たるものだったんですけど、ハミルトンの短編集が近年何冊も出たので、その渇をいやすことができました。
アンソロジーで忘れられないのは『宇宙恐怖物語』『宇宙の妖怪たち』。あとはやっぱり『SFマガジン・ベスト』でしょうか。これの一巻はすごく面白く読んだ覚えがあります。たぶんこの巻の目玉はクラークの『太陽系最後の日』だったんだと思いますが、正直大した感銘は受けなくて、むしろハミルトン「世界のたそがれに」とか、ヴァン・ヴォクト『遙かなるケンタウルス」ウイリアム・テン「生きている家」なんかのインパクトの方が強かったです。
by 高橋 (2009-05-20 19:25) 

高井 信

 ハミルトン、いいですよねえ。私が最初に読んだのは創元推理文庫の『スターキング』で、約40年前です。「ジョン・ゴードン、聞こえるか?」――忘れられません。
 そのあとハヤカワSF文庫の第1弾『さすらいのスターウルフ』に始まる〈スターウルフ〉シリーズ、続いて〈キャプテン・フューチャー〉シリーズ、〈星間パトロール〉シリーズと、貪るように読みました。
 ハミルトン=スペースオペラだったんですが、ハヤカワSFシリーズの『フェッセンデンの宇宙』を読んで、また別のハミルトンを知り、さらに好きになりました。
 スペースオペラとアイデア・ストーリーの短編、この使い分けは見事ですね。
 長編と短編の使い分けという意味では、ジャック・フィニイ、リチャード・マシスンなども見事と思います。
 私、50年代黄金期のSFが大好きなんです。

『SFマガジン・ベスト(全4冊)』も、もちろん好きです。本ブログを読んだ別の方からも、個人的に同じようなご意見をいただきました。
 ほかには、『ヒューゴー賞傑作集(全2冊)』も好きでした。
 記事にも書きましたけれど、こういう本はどんどん文庫化してほしいです。
by 高井 信 (2009-05-20 20:07) 

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