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宮崎惇さんの手紙

 昨夜の記事の続きです。
 2009年7月7日の記事に――
> 私は宮崎さんの大ファンです。高校生のころにファンレターを書き、文通に近い関係ができました。大学に合格して上京してからは、宮崎さん(当時、長野に在住)が東京に来られたときには連絡をいただき、新宿の喫茶店でお話をするようになりました。
 と書きました。
 ファンレターを書こうと思ったきっかけは1975年、高校3年のときに読んだ『魔界住人』双葉新書(73)です。おそらくそのとき、名前も知らない(あるいは意識していない)作家だったと思うのですが、タイトルと装幀に惹かれて購入。一読、驚嘆。――おおお、面白い!
手紙.jpg 興奮のまま、ファンレターを書きました。全く記憶にありませんが、おそらく双葉社宛てに送ったのだと思います。
 宮崎さんから丁寧な返信(1975年9月19日付)が届き、そこから宮崎さんが亡くなる1981年まで、お付き合いが続きました。その間に宮崎さんからいただいた手紙は(うちに残っているものだけで)17通あります。(画像は最初と最後の手紙です)
 最後の手紙(ハガキ)は1981年6月7日付で、「健康を害し、6月2日より入院。8日に手術。月末には退院予定」というようなことが書かれていました。さほど心配はしていなかったのですが、それから半年も経たずに飛びこんできた訃報……。詳細は「宮崎さん、やすらかに」をお読みいただきましょう。

 さて、気を取り直して――
 この機会に、いただいた手紙すべてを読み返しました。
 1976年6月3日付の手紙には、宮崎さんのSF短編リストが書かれています。読んだことのない作品がたくさん。今度の新刊には、こういうのも収録されるのかなあ。
 1979年5月1日付の手紙には、東キャナル市民の会常連で宮崎さんの熱心なファン「香川くん」なんて名前も出てきます。この「香川くん」って、拙ブログに何度かコメントしてくれた香川治成さんのことですよね、きっと。
 1980年3月14日付の手紙には「日本ロスト・ワールド」シリーズの続編タイトルも書かれていて――「妖魔巌窟境」「幻影悪魔城」「石器獣人境」「死峡の蝙蝠族」「髑髏食人境」。うわあ。タイトルを見るだけでもわくわくしますねえ。
 こうして振り返ってみて、宮崎さんとの付き合いはわずか6年に過ぎなかったことに気づきました。短い期間ですけれど、楽しい時間を、そして充分な思い出を残していただきました。
 改めて――宮崎さんに感謝!
魔界住人(合本).jpg 魔界住人(新書).jpg 魔界住人(文庫).jpg 背.jpg
サイン.jpg 上の書影は『魔界住人』3種です。
 左は連載されていた「傑作クラブ」(1972~73年)から当該ページだけを合本、簡易製本したもの。各作品に添えられている秋吉巒のイラストが嬉しい。なお、当時の「傑作クラブ」には秋吉巒のカラー口絵「妖美の世界」も連載されていて、そのページも綴じこんであります。
 真ん中は私が最初に手にした双葉新書版(73)、右は大陸文庫版(90)です。文庫は奥様に送っていただきました。
 今回の新刊(発売日も内容も知らないのですが)を機に宮崎さんの再評価が進むと嬉しいです。

サイン.jpg【追記】10月21日
 ネットで拾った『魔界住人』のサインです(コメント欄参照)。→右の画像

【追記2】
 記事本文に、
> 今回の新刊(発売日も内容も知らないのですが)を機に宮崎さんの再評価が進むと嬉しいです。
 と書きました。
 その後、少しだけ資料を提供したこともあり、編者の日下三蔵さんより収録予定作品を教えてもらいました。
 これはすごいです。乞うご期待!
コメント(3) 

コメント 3

香川治成

宮崎先生の復刊、嬉しい限りです。
宮崎先生からのお手紙の中に私について書いていただいていたとは・・・、本当に光栄の至りです。
生意気にも、宮崎先生とお会いした時にムアコックの
エターナルチャンピオンのように那智鳶ノ介やタケル
や愛洲小七郎が時空次元をを越えて結集して敵と戦う
ストーリーはどうでしょう?などと申しあげ
「うん、そうゆうのもおもしろいね」などと言って
いただいたのも、汗顔の至りであると同時に懐かしい
思い出でもあります・・・
これを機会に宮崎先生の再評価が進むことを願って
やみません。
光瀬先生の「秘伝宮本武蔵」の主要登場人物の一人
甲賀ノ申のモデルはもしや、宮崎先生では?などと
個人的には妄想しております。
by 香川治成 (2015-06-02 19:03) 

高井 信

 香川さん、どうもです。
 お互い、35年前にタイムスリップしてしまいますね。いま思えば、光瀬さんや宮崎さんだけではなく、今日泊亜蘭さん、竹宮恵子さんと一緒にお酒を飲んでいたわけで……うわあ、なんと贅沢な!
 楽しい時代でした。
>これを機会に宮崎先生の再評価が進むことを願って
>やみません。
 今度の本が売れれば、あるいは……。私はSF短編傑作集が読みたいです。
by 高井 信 (2015-06-02 22:37) 

高井 信

 私はヤフオクに会員登録していないため出品も入札もできないのですが、出品物を眺めているだけでも楽しく、たまに覗いています。思いがけない情報を得られることもありますし。
 思うところあって、「宮崎惇」検索をしてみたら、『魔界住人』のサイン本を発見。しかもなんと、宛名は「筒井康隆様」!
 私が持っていても仕方がない本ではあるけれど、こういうのっていいですね。記念に(?)、記事に画像を貼っておきます。
 ちょっぴり欲しい(笑)。
by 高井 信 (2015-10-21 07:48) 

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