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ジェイムズ・サーバーの作品集

サーバーおじさんの犬がいっぱい.JPG 先月末、マイケル・J・ローゼン編『サーバーおじさんの犬がいっぱい』筑摩書房(09)を買いました。ジェイムズ・サーバーのエッセイ集です。半年くらい前に発行された本で、もちろんそれは知っていましたが、なぜだか勝手に、『サーバーのイヌ・いぬ・犬』早川書房(82)/ハヤカワ文庫NF(85)の新訳改題版であると思い込んでいました。
 ちゃんと見てみると、重複作品はあるものの、別の本なんですね。いちおうエッセイ集ということになっていますが、『サーバーのイヌ・いぬ・犬』と同様に、小説も収録されています。
サーバーのイヌ・いぬ・犬.JPG これは迂闊でした。怠慢を反省していますが、それはともかく。
『ショートショートの世界』46~47ページにも書きましたように、サーバーはショートショートの歴史上、重要な作家です。ただし、サーバー作品はショートショートなのかエッセイなのか、その中間に属するような作品が多く、きっちりと分類することは困難です。
 そんなわけで、ショートショート集リストを作るのは難しいんですが、以下、ご参考のために――
 ショートショートやエッセイの作品集リストです。

『現代イソップ』万有社(50)
 のちに『福田恆存翻譯全集 第一巻』文藝春秋(92)に収録。万有社版は全24編、全集版は全28編です。
『虹をつかむ男』早川書房・異色作家短篇集(62)/早川書房・異色作家短篇集(76)*新装版/早川書房・異色作家短篇集(06)*新装版
『たくさんのお月さま』学研・新しい世界の童話シリーズ(65)
 童話「たくさんのお月さま」とともに「新イソップものがたり」を収録。
『空中ブランコに乗る中年男』講談社(74)/講談社文庫(87)
『虹をつかむ男』角川文庫(74)/『ジェイムズ・サーバー傑作選Ⅰ』創土社(78)
『マクベス殺人事件の謎』角川文庫(75)/『ジェイムズ・サーバー傑作選Ⅱ』創土社(78)
 この4冊の書影は記事「ショートショートの迷宮(第3回)」に掲載しています。
『サーバーのイヌ・いぬ・犬』早川書房(82)/ハヤカワ文庫NF(85)
サーバーおじさんの犬がいっぱい』筑摩書房(09)
現代イソップ.JPG 虹をつかむ男.JPG たくさんのお月さま.JPG 空中ブランコに乗る中年男.JPG
 以上です。
 他作家との合集は割愛しましたが、『現代アメリカ文学全集 第四巻』荒地出版社(57)だけは特別に付け加えておきたいと思います。リング・ラードナー、マッキンレー・キャンターとの合集で、サーバー作品は「苦しい思い出」「サーバー・アルバム」を収録。サーバー作品だけでも、充分に単行本1冊分の分量があります。リング・ラードナーの「チャンピオン 他短編集」も見逃せません(7編)。
 また、ショートショートではありませんけれど、『SEXは必要か』新潮社・一時間文庫(53)も楽しい本です(E・B・ホワイトとの共著)。もちろんサーバーのことですから、真面目なセックス本であるわけがありません(笑)。
 サーバー&ホワイトには『性の心理』角川新書(54)という本もあり、現物未確認のため定かではないのですが、『SEXは必要か』の別訳版のようです。しかし、初訳の翌年に別訳? とても不自然な気がします。
 気になるので、ネット古書店に注文しました。届いたら報告します。
現代アメリカ文学全集.JPG SEXは必要か.JPG

【追記】
 9月5日、ネット古書店に注文した『性の心理』角川新書(54)が届きました。発注したのが3日で、到着が5日。素早い対応に驚いています。
性の心理.JPG さっそく、『SEXは必要か』との内容比較を行ないました。
 ほぼ同内容なんですが、微妙に違っています。
・『SEXは必要か』には献辞「デイジーとジェニーに捧ぐ」があるが、『性の心理』にはない。
・『SEXは必要か』には巻頭にE・B・ホワイトによる「紹介文」があるが、『性の心理』にはない。
・『SEXは必要か』には巻末に「用語解説」「本書中の絵について」があるが、『性の心理』にはない。
・この本の売りのひとつはサーバーによる挿絵だが、『SEXは必要か』に比べて『性の心理』は挿絵がかなり少ない。
 もしかするとテキストに使用した原書が違うのかも……と、よくよく読んでみると――
 どうやら『性の心理』は初刊本(1929年刊)を、『SEXは必要か』は再刊本(1950年刊)を使用したようです。きっちりとチェックすれば、細かい差異がたくさんあるんでしょうね。
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