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學天則

 荒俣宏『大東亞科學綺譚』筑摩書房(91)を書棚から取り出しました。
大東亞科學綺譚.jpg この本には、「學天則」――日本初のロボット(人造人間)のことが書かれています。写真も載っていて、その個性的な顔立ちは強く印象に残っています。先ほど、久しぶりに見ましたが、やはり強烈ですねえ(笑)。
「學天則」製作者・西村真琴(俳優・西村晃の父親)に関する年表もあり――
>一九二八(昭和三)京都で開かれた昭和天皇御大札記念博覧会
>に、大阪毎日新聞社の出品作として人造人間「学天則」を製作。
 と書かれています。
 思うところありまして、今日はその当時の、リアルタイムの週刊誌記事を紹介します。
表紙.JPG「「人造人間」―ガクテンソクの生れるまで」――「サンデー毎日」昭和3年(1928年)11月4日号に掲載されたものです。
 小見出しを並べますと――
>人造人間の初期
>日本で初めて生れた人造人間
>ガクテンソクの製作動機
>莊嚴な音樂につれて金色の巨人が動く
>敬禮されるガクテンソク
>宇宙の縮圖を象る記録台
 だいたいの内容は推測できるのではないかと思います。昭和3年に書かれたものなんですよね。それを考えると、わくわくしちゃいません?
見開き.JPG
 巨大な雑誌(B4判!)ゆえ、表紙も記事も分割スキャンし、つなぎ合わせました。継ぎ目がありますが、気にしないでください。
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『新世界ルルー』

新世界ルルー.jpg 手塚治虫『新世界ルルー』角川文庫(95)を読みました。この記事のコメントで喜多哲士さんが教えてくれた作品です。
 ほんと、前半は『巌窟王』(マンガのなかでは『岩窟王』)ですね。しかし、ドン・ナ・モンデスが主人公かと思いきや、途中で死んでしまい、あれよあれよと『ふしぎな少年』のように……(笑)。前半と後半が乖離していて、そのあたりは首を傾げてしまいますが、それを差し引いても面白かったです。
 楽しい作品をご紹介いただき、ありがとうございました。>喜多さん

 この本には表題作以外に「タイガー博士」と「月世界紳士」が収録されています。「月世界紳士」は別バージョンを読んだことがありますが、「タイガー博士」は初読です。
 袖の紹介文から抜粋しますと――
>日本からやってきた野球チーム“タイガース”対魔法野球戦を描いた「タイガー博士」
 ははは。もろに(タイガース命の)喜多さん向けですね(笑)。これも面白かったです。
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『わが故郷は●みどり星』

 日本SF黎明期のSFファンの多くは創作にも意欲を燃やしていたような気がします。星新一風のショートショートから創作を始めた人も決して少なくはないでしょう。
 なかには自分のショートショートを収録したファンジンを発行するファンもいます。拙ブログでも何冊か紹介しました(→この記事)。
 ショートショート・コレクターとしては、ファンジンのショートショート集も手元に置いておきたいと思っていますが、どんなファンジンが出ているかを知るだけでも大変ですし、知ったら知ったで、それを入手するのはさらに大変です。多くても数百部しか発行されていませんからね。
 たとえば、田川雅一朗『殺人予報』私家版(71)です。以前から探しているのですが、影も形もなく……。
わが故郷は●みどり星.jpg 何かご存じの方がおられましたら、よろしくお願いいたします。

 情報提供を呼びかけるだけでは申しわけないので、ファンジンのショートショート集を1冊、ご紹介しましょう。
 森北夫『わが故郷は●みどり星』隼鳥書房(72)。限定300部発行。40ページに10編を収録。
 著者とは30年以上前からの知り合いです。もう長いこと会っていませんが、年賀状の付き合いは続いています。もしかしたら、拙ブログを読んでいるかも。
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映画『恐怖奇形人間』

 以前、『盲獣 vs 一寸法師』という映画を観ました。原作は江戸川乱歩で、監督は石井輝男。
盲獣vs一寸法師.jpg ジャケットには――
>カルト映画界の巨匠、石井輝男監督が
>生誕110年目の江戸川乱歩に再び挑戦!
>前作『江戸川乱歩全集 恐怖奇形人間』を凌ぐエログロ世界。
>かなり變態ものである。
 と書かれています。
 確かに、「かなり變態」でしたねえ(笑)。いい意味でも悪い意味でも、もう参った! なのでした。
 となると気になるのが『江戸川乱歩全集 恐怖奇形人間』です。
恐怖奇形人間.jpg 調べてみますと、なんと、かの「パノラマ島奇談」をベースにしているとのこと。この記事にも書きましたように、私は「パノラマ島奇談」が大好物です。当然、こちらも観たくなりまして……。
 本日、観ました!
 発端から序盤は「パノラマ島奇談」ですが、その後は『孤島の鬼』がぐぐぐぐぐーっと出てきます。ほかの作品の要素も取り入れられていて、だから「江戸川乱歩全集」なのですね。納得。で、全体としては、これまた「かなり變態ものである」(笑)。
 いやあ、参りました! 降参です。>石井輝男監督
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『こわい話 気味のわるい話』

 ふと思い出したので……。
 一昨日の新刊書店で、平井呈一編『こわい話気味のわるい話① ミセス・ヴィールの幽霊』沖積舎(11)なる本が目にとまりました。収録作品を逐一チェックしたわけではありませんが、『こわい話 気味のわるい話(全3巻)』牧神社(74~76)の再刊でしょう。――おお! かの名アンソロジー!
『恐怖の愉しみ(全2巻)』創元推理文庫(85)として再刊されていますが、はたと気づけば、創元推理文庫版ですら25年以上前の発行なんですね。愕然! 内容は文句なしですから再刊は大歓迎ですが、ソフトカバーで定価2625円というのは……。
 初刊本(牧神社版)は洒落た造りの函入り本でした。どうせ再刊するなら初刊本を完全復刻するか、あるいは全1巻の合本にするか。はたまた廉価版にするか。そのいずれかであれば、さらに大歓迎だったんですけどねえ。
 ちなみに初刊本は、古本で売っていれば、1500円~3000円といったところでしょうか。創元推理文庫版はよくわかりませんけれど、プレミアはついていないような気がします。
 今回の沖積舎版は「怪奇小説が好き。でも古本は嫌。図書館で借りるのも嫌」という方にお勧めします。
こわい話気味のわるい話1.jpg こわい話気味のわるい話2.jpg こわい話気味のわるい話3.jpg
恐怖の愉しみ(上).jpg 恐怖の愉しみ(下).jpg
 書影は5冊とも同じ縮小率です。
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『秘書綺譚』ほか

 街なかの新刊書店に行ってきました。雑誌やコミックがメインではない書店に行くのは久しぶりです。
秘書綺譚.jpg 書店に足を踏み入れ、まずはブラックウッド『秘書綺譚 ブラックウッド幻想怪奇傑作集』光文社古典新訳文庫(12)を手に取りました。
 昨年7月13日の記事で――
> 新刊書店に行ってきました。最大の目的は光文社古典新訳
>文庫の新刊『ブラックウッド短編集』(7月12日発売予定)だった
>のですが、見当たらず……。
 と書きました。半年遅れで、ようやく発売。待ってたよ~。(ブラックウッドの短編集リストはここ

 そういえば買ってなかったな――と、高野史緒編『時間はだれも待ってくれない 21世紀東欧SF・ファンタスチカ傑作集』東京創元社(11)も買いました。発売前から楽しみにしていたんですが、ほかに読む本がたくさんあったりして、買うのを忘れていたんですよね(苦笑)。
 あ、そうそう。昨年7月25日の記事「ロシア・ソビエト・東欧SFのアンソロジー」で思いつくままにアンソロジーを挙げましたが、重要な2冊を失念していました。ここで補足しておきます。
◎ダルコ・スーヴィン編『遥かな世界 果しなき海』早川書房・海外SFノヴェルズ(79)
◎F・ロッテンシュタイナー編『異邦からの眺め』ハヤカワ文庫SF(81)
時間はだれも待ってくれない.jpg 遥かな世界果しなき海.jpg 異邦からの眺め.jpg
サイン.jpg うわあ、懐かしいなあ――と、『鳥はいまどこを飛ぶか 山野浩一傑作選Ⅰ』『殺人者の空 山野浩一傑作選Ⅱ』創元SF文庫(11)も購入。山野浩一の短編、けっこう好きなんですよね。寡作なのが実に残念。
『鳥はいまどこを飛ぶか』の「著者あとがき」に――
>Ⅰ・Ⅱで私の短中篇の大半を読むことができる。
 絶句……。
 2冊とも過去に同タイトルの作品集が出ていますが、収録作品は全く違います。
『鳥はいまどこを飛ぶか』ハヤカワSFシリーズ(71)/ハヤカワ文庫JA(75)*文庫版は4編割愛
『殺人者の空』仮面社(76)*右上のサインは、この本にいただいたもの。私にとって、お宝です。
鳥はいまどこを飛ぶか.jpg 殺人者の空.jpg 鳥はいまどこを飛ぶか(HSFS).jpg 殺人者の空(仮面社).jpg
 面白そうだなあ――と、東野圭吾『歪笑小説』集英社文庫(12)も買いました。
 帯を大きくアップしておきます。こんなの、好きですねえ。
歪笑小説.jpg 帯.JPG
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星新一レア本番付

 大相撲千秋楽です。白鵬以外の力士が13日目に優勝を決めるなんて、いつ以来でしょう。――把瑠都関、おめでとうございます。目指せ、全勝優勝!
 新大関の稀勢の里、体型といい表情といい、見れば見るほど北の湖に似ているなあ。実力はまるっきり及びませんが、雰囲気だけは大横綱のもの。相撲協会が期待するのもわかります。早く雰囲気に実力が追いついてほしい!
 それはともかく、大相撲中継を観るたびに気になるのは勢(いきおい)です。画期的な四股名ですよね。この力士が大活躍すると、強(つよい)とか素早(すばやい)とか上手(うまい)とか大(おおきい)とか重(おもい)とか、いろいろな力士が誕生し……ないですね(笑)。
 どうして勢が気になるかというと……。
 勢が相手力士を土俵下に落としたら――“小太りを落とす勢”。
 このフレーズが頭から離れないのです(苦笑)。

 さて。
 昨年は星新一・初出リストを編纂しました。発表したあとも細かな修正作業を続けていますし、それに加えて現在、あれこれ星新一関係の調査をしています(これらの成果は、またいずれ)。
 頭のなかが星新一に占拠され……それに大相撲が合体して……星新一レア本番付を作ってみました。(特装版は除く)

 東横綱 花とひみつ     西横綱 生命のふしぎ
 東大関 気まぐれロボット  西大関 殺し屋ですのよ
 東関脇 宇宙の声      西関脇 黒い光
花とひみつ.jpg 生命のふしぎ.jpg 気まぐれロボット.jpg
殺し屋ですのよ.jpg 宇宙の声.jpg 黒い光.jpg
 あくまでも私の感触ですが、こんなところでしょうか。『花とひみつ』は私家版(非商業出版)ですから、別扱いにしたほうがいいかも。実際、入手の困難さ(というか古書相場)はこの6冊のなかで桁外れと思います。
 小結以下はダンゴ状態ですね。初版であるか否か、帯の有無などで、入手難易度が大きく変わってきます。
 この6冊をすべて所有している星ファンは、数えるほどしかいないのではないでしょうか。私? 『花とひみつ』を持っていません(この記事の書影は復刻版)し、『気まぐれロボット』は函が欠けています。
 まあ、いずれも作品自体は簡単に読めるので、無理してレア本を入手する必要はありませんが、私の場合、ショートショートの書誌作りのためにも、できれば手元に置いておきたいと思っています。

 あ。そうそう。
 この記事で――
> 再録されている星新一の色紙は「百異千変」でした。これ、見たことがありますね。
>この色紙が表紙の「波」、うちのどこかにあるかも。
百異千変.jpg と書きましたが、久しぶりに『殺し屋ですのよ』を眺めたところ、こんなサインが……。
 私の記憶にあるのは、これなのかもしれません。
 この本には「ショートショートを愛する読者に、著者が、一冊一冊、ウイットにとんだ言葉を書いておくる。だから同じ本は、まったく存在しない。」と書かれていますが、私はだいぶあとで版元の在庫を買ったため、私の本の「ウイットにとんだ言葉」の書かれるべきページは白紙です。で、通常の本と同じく、星さんにサインをいただいたというわけで……。もしかすると、このほうがレアかも。
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「尾張名古屋共和国」独立?

 今日の「中日新聞」朝刊です。
新聞記事.JPG
 うはははは。こんなのを読むと、当然のことながら拙作『名古屋1997』を思い出してしまいます(書影はこの記事に)。
タイトル画面.JPG さらに今日は、筒井康隆ファンの友人たちが作ったビデオ映画『時をかけるゴロちゃん』のことも思い出しました。世界設定は『名古屋1997』ですが、そこで展開されるストーリーは筒井康隆『時をかける少女』そっくりという、もう何と言えばいいのか……。初めて観たときには、腰が抜けそうになりましたよ、ほんと(笑)。
 筒井さんにもこの映画は気に入っていただいたようで、エッセイ「時をかけるゴロちゃん」(『ダンヌンツィオに夢中』中央公論社(89)/中公文庫(96)に収録)では――
>おれの作品「時をかける少女」を下敷きにした「時をかけるゴロちゃん」という
>抱腹絶倒のパロディ作品である。―中略―
>この連中の自虐趣味と洒落っ気には、ただただ脱帽するのみである。

時をかける少女.jpg ダンヌンツィオに夢中.jpg 時をかけるゴロちゃん.jpg
 右の書影は映画『時をかけるゴロちゃん』のパンフレット(中部皆/1986年8月10日発行)です。25年以上前なんですね。懐かしいっ。
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映画『透明人間』

 昨年12月25日の記事「映画『マタンゴ』」に藤浦正暢さんから、
>東宝の恐怖の変身人間シリーズ「美女と液体人間」「電送人間」「ガス人間第一号」
>プラス「透明人間」(これに「マタンゴ」を加える場合もあるそうです)
 とのコメントをいただき、
>『透明人間』は観てないような気がします。観なきゃ。
 とレスをしました。
 ふだん利用しているレンタルビデオショップ(複数)をチェックしたのですが、どこにも置いていません。
 う~~~ん。このシリーズ、大好きなんだよなあ。観ていない作品があるのは悔しいなあ。
 仕方なく、『東宝特撮映画DVDコレクション55 透明人間』デアゴスティーニ(11)を買いました。(下の写真は函、冊子、DVD)
函.jpg 冊子.jpg DVD.jpg
 冊子を見ると、昭和29年12月29日公開とか。かの『ゴジラ』と同年の公開です。ちなみに、ほかの4本は――
『美女と液体人間』昭和33年6月24日公開
『電送人間』昭和35年4月10日公開
『ガス人間第一号』昭和35年12月11日公開
『マタンゴ』昭和38年8月11日公開
 つまり『透明人間』はこれらの先駆的作品なんですね。
 期待以上、とは言いませんが、期待を裏切らない面白さではありました。透明人間を演出する特撮はまさに知恵と工夫の賜物で、実に素晴らしいです。なんと言っても昭和29年の映画ですからね。満足!
 藤浦さん、ありがとうございました。

 透明人間を題材にした映画は昔から数多く作られていて、私もけっこう観ています。比較的最近の映画では、『インビジブル』『インビジブル2』が面白かったです。
インビジブル.jpg インビジブル2.jpg
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マンガ『ハムレット』

 昨年8月8日の記事「マンガ『巌窟王』」に喜多哲士さんから以下のコメントをいただきました。
>「モンテ・クリスト伯」の漫画化ではみなもと太郎さんのものが私は大好きです。
>とても短くまとめているのに内容に過不足がなく、なおかつギャグがきいていて
>本当に面白い仕上がりです。「ハムレット」という表題の作品集に収録されてい
>るはずです。
 みなもと太郎の『モンテ・クリスト伯』か。面白そうだなあ。どっかで見かけたら、買おうっと。
 と思っていたところ、本日、とある古本屋を覗いたら――
 おお、あった!
 みなもと太郎『ハムレット』潮出版社・希望コミックス(74)
 収録されているのは、「ハムレット」「シラノ・ド・ベルジュラック」「乞食王子」「モンテ・クリスト伯」の4編です。
 うはっ。「乞食王子」=『王子と乞食』も! この記事にも書きましたように、私は『王子と乞食』も大好物です。ええ、もちろん買いましたとも(嬉)。
ハムレット(表).JPG ハムレット(裏).JPG
 帰宅するや読み始め、またたく間に読了。
 いやあ、面白かったですねえ。
 著者はあとがきで――
>すさまじい長編も、ちょっとはすにながめてギャグ化すれば、ぐっと圧縮できるのでは…
 と書いています。まさに、その通りですね。まともにマンガ化しようと思えば、とんでもない枚数が必要になりますが、ギャグというオブラートでくるめば、似て非なるものでありつつ、原作ファンも楽しめる作品が生まれます。
 喜多さん。いい本を教えていただき、ありがとうございました。

 あ、そだ。
「シラノ・ド・ベルジュラック」の登場人物クリスチャンが思い切り名古屋弁なのはなぜ?(笑)
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脱獄と脱走

 テレビのニュースを観ていて、ふと――
 脱獄と脱走、どう違うのかな?
 と思いました。つらつらと考えて――
 脱獄囚という言葉はあるが、脱獄者や脱獄兵はない(ような気がする)。
 脱走者や脱走兵という言葉はあるが、脱走囚はない(ような気がする)。
 たとえば、刑務所や牢獄はもちろんのこと、授業中の教室とか軍隊からも脱走はできますね。しかし脱獄となると、もっと限定的で、刑務所や牢獄から逃げ出す場合にのみ使われています。
 なるほど、そういうことか。
 ほとんど間違いないと思いますが、確かなことはわかりません。書棚を眺めて、目についた4冊を取り出しました。
◎博学こだわり倶楽部編『違いがズバリわかる本②』青春BEST文庫(93)
◎武内一平取材班編『言葉の違いがわかる事典』ワニ文庫(94)
◎博学こだわり倶楽部編『この言葉の違いを言えますか?』KAWADE夢文庫(02)
◎言葉の違い研究会『今さら聞けない2つの違い』彩図社(05)
違いがズバリ!わかる本②.jpg 言葉の違いがわかる事典.jpg この言葉の違いを言えますか?.jpg 今さら聞けない2つの違い.jpg
 ざっと目次を眺めてみたところ、脱獄と脱走の違いは採り上げられていないようです。残念ですが、目次を見ているうちに、脱獄と脱走のことなんてどうでもよくなり……(苦笑)。
「国産牛と和牛」「とんかつとポークカツ」「お通しと突き出し」「おかまとホモとゲイとニューハーフ」「言いわけと口実」「ズックとスニーカー」「手品と奇術」「易者と占い師」「次男と二男」「教師と教諭」「咄と噺」「総理と首相」などなど。
 こんなのを読んでいると楽しくなってしまいます(嬉)。
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ラジオ『チャチャ・ヤング』

 大熊宏俊さんからラジオ番組『チャチャ・ヤング』最終回の録音CDを送っていただきました。
 眉村卓さんがDJを務められた、あの伝説のラジオ番組です。ここここにも書きましたように、私はこの番組を聴いたことがありません。大熊さんから「発送した」という連絡を受けてから、わくわくして待っていたのでした。
チャチャ・ヤング ショート・ショート.jpg 本日届き、さっそく拝聴。
 いきなり『ツァラトゥストラはかく語りき』――つまりは映画『2001年宇宙の旅』のテーマが流れ出し、うおおおお!
 戸川昌子さん、藤本義一さんのイタズラ電話で笑わせてもらったあと、和田宜久さんがゲスト出演。ご存じない方が多いと思いますが、和田さんはショートショート・コーナーの常連で、眉村卓編『チャチャ・ヤング ショート・ショート』講談社(72)の「対談による解説」では――
>   常連作家列伝
眉村 このへんで、作者列伝。まず和田宜久。
 と最初に名前を挙げられている方です。〈ネオ・ヌル〉でも活躍され、私はお会いしたことはありませんが、名前はよく知っています。
 アットホームな、いい雰囲気の番組だったのですねえ。ここで縁を持った方々がいまだに付き合いを続けているというのも納得できます。と同時に、同じ空間を共有できなかったのが実に残念です。
 初めての『チャチャ・ヤング』が最終回というのも奇妙な気分ではありますが、ともあれ大熊さん、ありがとうございました。

 大熊さんが音源を入手された経緯はここ、大熊さんによる内容紹介はここにあります。
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映画『悪魔の凶暴パニック』

悪魔の凶暴パニック.jpg 映画『悪魔の凶暴パニック』を観ました。
 ジャケットには――
惹句.JPG
 どはははは。たまりませんね。こんなのに誘われたら、ふらふらとついていってしまいます。
 で、結果――
 ホラーというよりスリラー映画って感じでしょうか。ギャグ・テイストは期待していたほど高くはなく、その点は残念でしたが、まあまあ楽しく観ることができました。
 ドラッグ服用→ハゲる→凶暴化。別にハゲる必要はないと思うんですけどね……(笑)。

【付記】
 監督のジェフ・リーバーマンは『スクワーム』の監督でもあります。私の好みで言えば、『スクワーム』の圧勝。
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「春秋」

 星マリナさんから情報をいただきました。
「日本経済新聞」1月5日(朝刊)の「春秋」欄に、星新一のショートショート「協力的な男」が採り上げられています。(この記事は「日本経済新聞」のサイトにアップされています。→ここ
春秋.JPG
 ちなみに、「協力的な男」は『エヌ氏の遊園地』に収録されています。
三一新書.jpg ロマンブックス.jpg 講談社文庫.jpg 星新一の作品集.jpg 新潮文庫.jpg

 星マリナさん、ありがとうございました。
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日本語本4冊

 何度も書いていますように、私は日本語が大好きです。
 この正月、日本語に関する本を4冊、並行して読んでいます。いずれも楽しいので、まだ読んでいる途中ではありますが、紹介しておくことにします(発行順)。

◎素朴な疑問探求会編『モノの名前がズバリ!わかる本』KAWADE夢文庫(99)
「お皿などの割れ物を包むプチプチのシートを何と呼ぶ?」「トイレ詰まりにつかうあのバコバコ棒の名前は?」に始まって、「この~木なんの木、気になる木」の名称などなど。知らない日本語がたくさんあると思い知らされました。

◎町田健『まちがいだらけの日本語文法』講談社現代新書(02)
>私たちが学校で勉強する日本語の文法は、これが正しい日本語のしくみなのだ、
>とするにはどうも問題が多すぎるように思います。それもそのはずで、学校で教え
>られる「国文法」の内容というのは、第二次世界大戦のちょっと前から今まで、基
>本的なところはほとんど変わっていないのです。
 同感同感! 拍手拍手!

◎『VOW王国 ニッポンの誤植』宝島社(04)
 そこらじゅうで目にする誤植のなかから、笑えるものを選抜した本です。誤植は、ないに越したことはありませんが、完全になくすのは無理でしょうし、ユーモア溢れる誤植は許せちゃいますね(笑)。
 この本を読んでいるとき、石原藤夫さんが掲示板で――
>▼教祖と教組
> ニュースの題目に「教組死刑が当然」と有ったので、大胆な事書くなあ、
>と思いましたが、「教祖死刑」の間違いでした。
 タイムリー! と笑みを浮かべました。
 誤植とは別に「誤変換のすすめ」なんて章もあって、これがまた楽しかったです。傑作が目白押しですが、なかでも「睾丸伸び少年」――忘れられません(笑)。

◎藤井青銅+日本国語大辞典編集部編『どれだけ知ってる?「メアドな日本語」 略語クイズ』小学館(10)
『略語天国』小学館(06)の続編です。巷に氾濫する略語に関して、言いたいことはたくさんありますが、それは忘れることにして、楽しく読みました。
「秋葉原」のことを「アキバ」と略します。現在は「アキハバラ」ですが、以前は「アキバハラ」と呼んでいたそうで、「へえ~」でありました。
モノの名前がズバリ!わかる本.jpg まちがいだらけの日本語文法.jpg ニッポンの誤植.jpg 略語クイズ.jpg
 いやあ、日本語は楽しいなあ(嬉)。
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ベネット・サーフ

 先日、山本孝一さんとメールの遣り取りをしていて、ベネット・サーフの話題になりました。
 懐かしいなあ。けっこう面白い怪談ショートショートを書いてたよなあ。――と蔵書チェックおよびネット調査。
 ベネット・サーフのショートショートをまとめて読めるのは――

◎「宝石」1960年9月号
「ベネット・サーフ怪談ショート・ショート集」――「死んだ男」「死人のドレス」「呪われた家」「おれは一体誰だ?」「海草」「壁」「名医」の7編を掲載。
◎「SFマガジン」1962年8月臨時増刊号(第33号)
「〈怪談ショート・ショート〉夏の夜ばなし」――「馭者」「記念日」「写真」「知りすぎた男」「首」の5編を掲載。
◎福島正実編著『5分間サスペンス』日本文芸社・5分間シリーズ(65)/日本文芸社・5分間文庫(67)
「SFマガジン」の再録。「知りすぎた男」以外の4編「首」「写真」「馭者」「記念日」を収録。(書影はここ
宝石.jpg SFマガジン.jpg ちょっと笑える話.jpg
 こんなところでしょうか。
 うちにあるサーフの本は『ちょっと笑える話』文春文庫(83)だけです。メインは著名人の笑えるエピソードですが、それだけではなく、創作ジョークも収録されています。そのなかには、上記「宝石」にショートショートとして掲載された「呪われた家」や「海草」も。(ジョークの扱いなので、タイトルはなし)
 サーフのジョーク集は何冊も邦訳出版されていて、それらにもショートショートっぽい作品が収録されていると思われます。
 いつかは調査しなければ! ――と、どんどん宿題が増えていく……(苦笑)。

【追記】2012年6月6日
 関連記事を書きました。→ここ
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アニメ『巌窟王』

 元日に郵便受けを覗きますと、年賀状とともに少し厚めの封筒もありました。なかにはいっていたのは、アニメ『巌窟王』を録画したDVDです。差出人は藤浦正暢さん。
 私がマンガ『巌窟王』のことを書いたのを覚えていてくれたのですねえ。事前連絡もなく、驚きましたが、こういうサプライズは大歓迎です。
 マンガは今ひとつでしたが、アニメは? ――と、ちょっと観始めたら止まらず。2日かけて、全編(10時間弱)を観てしまいました。

 いやあ、面白かったですね。黒岩涙香『巌窟王』の時代設定を変更し、SFをプラス。主要登場人物の設定やストーリー展開に独自の要素が加えられ、主人公もエドモン・ダンテス(モンテクリスト伯)ではなくてアルベール(メルセデスの息子)になっちゃっていますが、原作の印象的なシーンは有効に活かされていて、見事な換骨奪胎と言えるでしょう。
 アニメ三昧の正月というのは記憶にありません。おそらく、生まれて初めてと思います。やっぱり好きなんですよね、『巌窟王』。
 藤浦さん、ありがとうございました!
岩窟王.jpg
【追記】1月4日
『巌窟王』のアニメといえば……。
 だいぶ前にダイソーで買ったDVDを思い出しました。タイトルが『巌窟王』ではなくて『岩窟王』になっていますが、子ども向けでは、よくあることです。
 内容に関しては……え~、ノーコメント。ま、ダイソー商品ですから。
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『アフター0』

 昨日、近所のブックオフで、岡崎二郎『アフター0(全7巻)』小学館文庫(10)を見かけました。
 あら、文庫になっていたのか。知らなかったなあ。
 これまでにも書いてますが、私はマンガやアニメの情報に疎いんですよね。ほんと、悲しくなるくらい(苦笑)。
 あとがき(第7巻)を読むと、各巻に単行本未収録作品が収録されているとのこと。幸いなことに全巻が揃っていて、これは迷わず「買い」です。
文庫版①.jpg 文庫版.JPG
『アフター0』はこれまで2種のバージョンが出ていて、これが3度目。新版が出るたびに再編集&増補されていて、ややこしいです。
 最初、ビッグコミックス版(全6巻/1990~96)が出ました。のちに『アフター0』に組み込まれる『トワイライト・ミュージアム①』ビッグゴールドコミックス(94)も。
初刊①.jpg 初刊.JPG トワイライト・ミュージアム.jpg
 続いてのビッグコミックス オーサーズ・セレクション版(全10巻/2002~03)は、ビッグコミックス版(全6巻)+『トワイライト・ミュージアム①』+単行本未収録作品。
再編集版①.jpg 再編集版.jpg
 で、今回の小学館文庫版(全7巻)です。
 これが最終形態ということでしょうか。このあと、また単行本未収録作品を増補したハードカバーとか、そんなのが出たりしたら、泣きます。
 それと、『アフター0 Neo』ビッグコミックス(現在2巻まで刊行/2004、08)も気になるところです。将来的には『アフター0』と統合されそうな……。
Neo.jpg

【追記】1月4日
 ついでに、岡崎二郎のその他の著作を。
 たぶん、これですべてと思います。
岡崎二郎.jpg
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星新一作品とエスペラント語

 山本孝一さんのコメント(前の記事参照)を読んで、思い出しました。星新一作品のエスペラント語訳に関してです。
 その昔、岡田正哉さんはSFファンジン「MUTANTS」第10号(1966年8月20日発行)に「エスペラント語界のSF」なる小論を執筆されました。そのなかで、星新一作品についても触れています。
ミュータンツ10号.jpg>四、S・HOSHI の作品
> この名前、どこかで見たような気がしませんか?
>そうです。シンイチ・ホシのことです。
> 「La Vivo Post Tri Jaroj」、原題は「三年目の
>生活」です。御存知のように、これはSFとは一寸
>異っていますが、星新一の作品ということで一応
>紹介しておきます。同人雑誌「KAJERO」(関西エ
>スペラント連盟気付)第二号、一九六三年十二月
>発行、に翻訳されています。

 もう1点、SFファンジン「PLEJADOJ」の第3号(1969年2月14日発行)には「ボッコちゃん」のエスペラント語訳が掲載されています。(「PLEJADOJ」はSFとエスペラント語を標榜するファンジンで、1967年に創刊)
PLEJADOJ3号.jpg ボッコちゃん.jpg
たくさんのタブー.jpg 星新一作品の外国語訳については、『たくさんのタブー』新潮文庫(86)の解説(深見弾)に詳しく紹介されています。前の記事に書いたドイツ語版、山本さんのコメントにあったエスペラント語版も書影付きで掲載。
 最近の情報は星新一公式サイトのホシヅル図書館・表紙ギャラリーに。書影を見ているだけでも楽しいです。
 どうぞ、ご参考に。
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『Ein hinterlistiger Planet』

         あけましておめでとうございます。

 年末に引き続き、北原尚彦さんから送っていただいた本を紹介します。
 SHINICHI HOSHI『Ein hinterlistiger Planet』HEYNE-BUCH(82)――ドイツで出版された星新一のショートショート集です。
 私が収集の対象としているのは日本の出版社から出た本だけなのですが、こういった海外出版物も(極めて消極的に)集めています。まあ実際のところは、持っていると嬉しい、という程度なんですけどね。
 この本の表題作は「いじわるな星」です。「いじわるな星」を表題とする星新一のショートショート集といえば、『THE SPITEFUL PLANET AND OTHER STORIES』ジャパン・タイムズ(78)があります。日本で出版された英訳ショートショート集です(全30編収録)。
いじわるな星(独).jpg いじわるな星(英).jpg
 では、『Ein hinterlistiger Planet』は『THE SPITEFUL PLANET AND OTHER STORIES』を独訳したもの? いえ、違います。
『Ein hinterlistiger Planet』には40編収録されています。その内訳は――
『ボッコちゃん』新潮文庫(71)から9編。
『ようこそ地球さん』新潮文庫(72)から6編。
『おのぞみの結末』新潮文庫(76)から2編。
『妖精配給会社』新潮文庫(76)から7編。
『THE SPITEFUL PLANET AND OTHER STORIES』ジャパン・タイムズ(78)から16編。
ボッコちゃん.jpg ようこそ地球さん.jpg おのぞみの結末.jpg 妖精配給会社.jpg
 つまり、24編は原文からの直訳ですが、16編は英訳からの重訳なんですね。
 直訳と重訳の交じった作品集というのは面白いと思います。どうしてそんなことを? という疑問は残りますが……。
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