「天気鳥」
いやあ、毎日暑いですね。今日も40度近くなるとのこと。
しか~~~し! 2年前の名古屋はこんなものではありませんでした。以下、2年前、8月上旬の名古屋です。
ね。すさまじいでしょ。
あまりの暑さに、ショートショートを書いてしまいました。こんな作品です。
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天気鳥
「なんて暑さだ」
呆れるばかりの暑さに、私は参っていた。
確かに名古屋の夏は暑い。それはわかっている。しかし今年の暑さは異常だった。連日のように三十八度オーバー、四十度を超える日もある。
いったい何が名古屋に起こっているのか。――テレビの特番で、世界的に有名な気象学者(という肩書きだが、私は知らない)が画期的な説を唱えていた。
地球の天候を司っているのは天気鳥という謎の生命体だというのだ。ものすごい数がいて、それぞれが各地方を担当している。ふだんは温厚な性格で、それが維持されている間は温暖な天候が続くが、とはいえお天気屋さんなので、機嫌を悪くすることもある。そういうときは即、各地の天候に影響する。
その学者によれば、この異常高温を緩和させるには、天気鳥(名古屋担当)の機嫌を取るしかないという。
名古屋担当の天気鳥? そんなものが本当にいるのか? いるとして、いったいどこに棲んでいるのか?
首を傾げていると、その学者は自信たっぷりに言った。
「地下です」
え?
「地下迷宮、ダンジョンです」
はあ?
「天気鳥、Weather鳥、ウェザードリ、ウィザードリィ」
私はテレビを消した。
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「SFハガジン」108号(2018年8月12日発行)に掲載。もちろん『神々のビリヤード』に収録されています。
2020-08-17 07:29
コメント(1)
名古屋にはトータル40年くらい住んでいますが、2018年ほど暑い夏は記憶にないです。7月下旬から8月半ばにかけて、ほんとにすさまじかった。
by 高井 信 (2020-08-17 10:49)