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相乗りタクシー

 初めて相乗りタクシーに乗った。
 先客が二人。目的地を告げると運転手は「わかりました」と答え、走り出した。
 目的地に到着し、ドアが開く。先客の二人も同じだったらしく、タクシーを降りる。そのまま支払いもせずに立ち去っていく。
 料金メーターには600円と表示されている。
 首を傾げながらも、「えと、支払いは?」と尋ねると、「え? このタクシーはなんちゃらシステム搭載で、自動で支払いは済んでいます。あなた、なんちゃらカードは持っていないのですか」。
「なんちゃらカード? プリペイドカードみたいなものですか?」
「磁気カードで、タクシーに乗ると自動で乗車が記録され、降りるときに自動精算されるんです。ほら、車体に大きく〈30番〉と書かれていたでしょ。なんちゃらシステム専用タクシーです」
「そうなんですか。知りませんでした。すみません。カード持ってないので、現金で払いたいんですが」
「スマホに、なんちゃらアプリを入れてもいいんですが」
「スマホ、持ってないんです」
「ありゃ。困りましたねえ。現金払いもいいですけど、料金は2倍になります」
「えーーーーっ」
 必死に交渉。
「仕方ありません。今回だけですよ」
 運転手は了解してくれたのだが……。
 私がこのタクシーに乗ったという記録は残っていない。600円は運転手の懐にはいるのだろうな、と思ったが、ま、どうでもいいことである。
 ※
 数日前、こんな夢を見ました。
 ふだん、夢なんて起きて数分したら忘れるのですけれど、これは覚えています。うまくまとめればショートショートになりそうな気がしますが、いまはあんまり書く気なし。
 とりあえずメモを晒しておくことにしました。


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