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『ショートショートの缶詰』

ショートショートの缶詰.jpg 田丸雅智編『ショートショートの缶詰』キノブックス(16)が届きました。田丸くんが選んだショートショートの傑作集で、20作家の24編を収録。
 2作が採られている作家が4人いて、江坂遊、井上雅彦、太田忠司、北野勇作。と思えば、私だったら外さないだろう、たとえば眉村卓、豊田有恒、都筑道夫、阿刀田高、横田順彌、かんべむさし、岬兄悟、中原涼といった名前が見当たらなかったり。
 なるほど~。田丸くんの志向&嗜好が見えて、実に興味深いですね。と同時に、私の嗜好は完全にSF寄りだなあなんて気づかされたり。
 さらに、ふっと気がつきます。私にとって第一世代のSF作家(この本に収録されている作家では星新一、小松左京、筒井康隆、半村良)は永遠の憧れなのですが、田丸くんにとって2作を採録した4人(江坂遊、井上雅彦、太田忠司、北野勇作)はそれと同じような存在なのではないか。年齢差を考えれば不思議はないのですが、ちょっぴり目眩がしちゃいます。
 時代とともにスタンダードも変わっていくということなのでしょう。――これまた興味深いです。

 本書には拙作「シミリ現象」も収録されています。1975年、筒井康隆さんの主宰されていたSF同人誌「NULL」に掲載されたのち、1977年、豊田有恒さん編のショートショート・アンソロジー『日本SFショート&ショート選 ユーモア編』(文化出版局)に収録。懐かしく、忘れられない作品です。
 田丸くんが生まれる12年前に書いたショートショート。それを田丸くんにも楽しんでもらえたというのは、嬉しい話であります。ありがとね。
コメント(5) 

コメント 5

橋本喬木

ショートショートは大好きですが、「万人が好むお話」っていうのは滅多にありませんね。短いだけに、すごく好みが分かれるので。
良いお話は沢山あるのに、なかなかショートショートがブームにならないのは、そんな事が影響しているのでしょうか。奥が深いっていうか、難しいなぁ~。
by 橋本喬木 (2016-05-03 20:41) 

高井 信

 ショートショートに限らず、なんでもそうでしょうね。同じものに対して、好きな人がいれば嫌いな人もいる。
 ただ、年齢的な感覚の違いはあると思います。若い人にとって、星新一はもはや古典。歴史上の人物と感じている人もいるかも。
by 高井 信 (2016-05-03 21:49) 

山本孝一

 落語でもプロレスでもそうなのですが、「うまい」「へた」は客観的に判断できても、「おもしろい」「おもしろくない」は観る客の主観ですからね。
落語で言うと、たとえばS師のうまいのはわかるけど私には面白さがさっぱりわかりません。
プロレスなら、かつて新日にいた安田忠夫選手はうまくはないけれど、なぜか面白くて私は大好きでした。
映画にしても小説にしても、それぞれが自分の好みで楽しめるからいいのでしょうね。
 前にもおなじことを書いたような気がしますが、最近とくにそう感じます。
怪談実話を読んでいても、本筋から少し離れた箇所がものすごく怖かったりすることがあります。面白いものです。

by 山本孝一 (2016-05-04 11:39) 

雫石鉄也

そうですね。小説でも、落語でも、相撲でも、なんでも4種類に分類できますね。
うまくて、おもしろい。うまいけど、おもしろくない。へただけど、おもしろい。へたで、おもしろくない。
V9時代の巨人や大鵬の野球や相撲は、強いからうまいんだろうけど、ちっともおもしろくないですね。江戸落語の立川談志の落語のうまさは認めますが、わたしにはおもしろくありませんでした。
逆に阪神タイガースなんかは、勝つのはへたですが、私にとってはおもしろいです。大藪春彦はたしかに小説は上手とはいえませんが、おもしろいです。
by 雫石鉄也 (2016-05-04 13:14) 

高井 信

 人それぞれ、面白さの基準が違うのは当たり前と思います。で、基準が近い人とは話が合う。
 山本さんとはけっこう面白いと感じる基準が近いですよね。死ぬまで続きそうです。>腐れ縁(笑)
 よろしくお願いいたします。
by 高井 信 (2016-05-04 20:12) 

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