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『ミステリ編集道』

 新保博久『ミステリ編集道』本の雑誌社(15)を読みました。ミステリ編集者へのインタビュー集です。
ミステリ編集道.jpg 言うまでもなく私はSF畑の人間で、ミステリにはうといのですが、ミステリとSF、さらに言うならば幻想怪奇も極めて近しい関係にあります。ことに昭和30年代はそういったジャンルが混沌としていた時代なんですよね。本書のおもに前半には、そのころから(あるいはそれ以前から)活躍していた編集者へのインタビューが収録。興味深い話がてんこ盛りです。
 桃源社〈大ロマンの復活〉(→この記事参照)や探偵小説専門誌「幻影城」は、高校生のころに夢中になりました。その裏話の数々、楽しいですねえ。
 30ページには『光の塔』(東都ミステリー)や『燃える傾斜』(東都SF)の話。なぜか書影は26ページですが(笑)。
 QTブックスの「QT」って、社長(久保藤吉)のイニシャルだったのかあ(82ページ)。知らなかった~~。
「生涯一東京創元社 戸川安宣」には厚木淳さんの話(233~238ページ)が出てきて、胸に迫るものがありました。厚木さんには若いころ、可愛がってもらったのですよ。(→この記事参照)
 巻末鼎談で、山田裕樹さん(集英社)が国田昌子さん(徳間書店)と初めて会ったときの感想が「私が入社した一九七七年の秋、銀座でSF作家の会合があり、星さん、小松さん、筒井さん、平井(和正さん)とか雲の上のかたがたが居並ぶなかに顔を出したら、そこを極楽鳥の如くヒラヒラと飛び回っていたのが国田さんだった」。
 これを読んだ瞬間、思わず、「おんなじ」と手を打ってしまいました。「極楽鳥の如くヒラヒラ」って見事な表現と思います(笑)。(ちなみに私、国田さんには「SFアドベンチャー」時代、大変お世話になりました。山田さんとも何度かお目にかかったように記憶しています)
 鼎談の最後は「いずれ大森望さん(「どなたか」とルビ)に「SF編集道」をまとめてもらいましょう」と締められています。これは読みたいですねえ。ミステリでこんなに楽しいのですから、SFとなったら……。うー、わくわく。
 福島正実さんは別にしても、菅原善雄さん、厚木淳さんら、すでに鬼籍に入られた方も多いです。一刻も早く!
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