『足のうら怪談 全』

　庵堂ちふう『足のうら怪談　全』私家版（15）を著者より送っていただきました。ありがとうございます。著者・庵堂ちふうさんについては2013年10月24日の記事をお読みください。
　前の記事に書いた冊子2冊『足のうら怪談　魚の目』『足のうら怪談　土踏まず』に、未刊行の『足のうら怪談　メラノーマ』、それに短編「ぼくの家族は、いい家族」を加えたものです。刊行済みの冊子2冊はすでに読んでいますので、ほかの作品のみを読みました。
「みちのくストリップティーズ（long ver.）」が圧倒的に私好み。いわゆる怪談より、こういうユーモアタッチのほうが好きですね。
　この本には他作品と比べて群を抜いて長い（といっても文庫本20ページ程度ですが）小説が2編収録されています。どちらも異様なムードを持っていて、特に「迷妄母娘」は読んでいるうちに、いや～な気分になってきます。作者の意図は見事に達成できているのではないでしょうか。
　短いものでは、「pop.0001」「カフェラテ」とか、途中まではとても面白いんですが、結末で肩透かし。いやまあ、怪談とはそういうものなのでしょうけれど、ショートショート好きの目から見ると物足りません。これは好みの問題でしょうね。
　そして30ページ以上もある「収録されているすべての作品より長くなってしまうという、異例の事態が勃発しているあとがき」、楽しかったです。
　ありがとうございました。

【追記】
　読んでみたいと思われた方はこちらをご覧ください。取扱店舗が紹介されています。

コメント 4

拙著をご紹介いただき、誠にありがとうございます！

「みちのくストリップティーズ（long ver.）」を気に入っていただけて嬉しいです。この全長版はいつかきちんと発表したいと思っていました。

「迷妄母娘」ともう一編の、少し長めのシリアスというよりくら~い二本もピックアップしてくださり、光栄です。ユーモアテイストが自分の主軸であるとは考えてますが、一方ではこういうものも書かないと収まりがつかないものがあると言いますか（笑）。

その中間を行くような、と言って自作と比較するのはおこがましいですが、絵本作家のエドワード・ゴーリーのようなダークながら乾いた不気味な笑いがあるテイストにも強く惹かれます。

いわゆるショートショートのスタイルは、逆にぼくには難しくて、何度か小説現代のショートショートコンテストにも応募したことがありますが、「これはイケるんじゃない？」という自信作を投稿してもかすりもしませんでした。カラーというか合う合わないはあるのでしょうね。

「収録されているすべての作品より長くなってしまうという、異例の事態が勃発しているあとがき」にも触れてくださり、ありがとうございます！　なんだかんだで仕上げるのに一番時間がかかった（かかってしまった）パートですが、あとがきもできる限り楽しんで読んでもらうというのが信条ですので、そう言っていただけて嬉しいです。

ありがとうございました！
（こちらでは著者庵堂ちふうとして失礼しました）
by 庵堂ちふう (2015-03-01 00:00) 

　庵堂さん、楽しい本をありがとうございました。
　読者に楽しんでもらおうというサービス精神に満ちていますね。素晴らしいと思います。
「みちのくストリップティーズ（long ver.）」は、前の2冊をあわせてもベスト（というか、最も私好み）です。
　エドワード・ゴーリーですか。いいですね。
　今後の活躍、楽しみにしています。
by 高井　信 (2015-03-01 09:00) 

ありがとうございます。ぼくのブログでもこちらの記事をリンクさせていただきました。

「みちのく~」のような、小咄めいた、ユーモラスな短編をこれからも書いていきたいと思います。がんばります！

by 庵堂ちふう (2015-03-03 00:25) 

　ご丁寧に、ありがとうございます。
　ユーモア短編、いいですねえ。楽しみです。
by 高井　信 (2015-03-03 07:43)