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『つぎはぎプラネット』こぼれ話(2)

『つぎはぎプラネット』発行に関して私が果たした役割は、まずは基礎資料作り、そして断片的にもたらされる資料やデータの整理・管理、それらをもとにした調査および(適任者への)調査願い、ということになります。
 もちろんデスクワークだけではなく、私自身も足を使って(古本屋を回って)掲載誌を探していました。というか、今回の関係者で、現役で古本屋を回りまくっているのは私だけだったんですよね。未収録作品の掲載されている雑誌を古本屋で見つけたときの嬉しさは、もうほんと、小躍りしたくなるほどです。――が、嬉しいことばかりではありません。
 今回、がっかりしたケースをご紹介しましょう。
 某資料(かなり信頼できる)に、「漫画読本」1962年10月号に「問題の男」と「落語白書」という作品が掲載されているとのデータが載っていました。「問題の男」は『おせっかいな神々』に収録されているとわかっていますから気にすることはありませんが、ん? 「落語白書」? これは知らないですねえ。
 同じ号に星作品が2編掲載されたのかなあ。エッセイと書かれていないから小説なんだろうなあ。タイトル変更して、何かの本に収録されているのかなあ。ともあれ、現物を確かめなくては。
 ということで、古本屋で「漫画読本」を見かけるたび、1962年10月号があるかチェックする作業を続けます。「漫画読本」自体はレアな雑誌ではなく、5冊とか10冊とか、まとめて売られているケースにはちょくちょく遭遇しますが、ピンポイントで1冊を探すとなると、なかなか難しい。
 そんなある日、とある古本屋(名古屋の鶴舞)に「漫画読本」が1冊だけ売られているのを見かけました。その1冊が、まさか1962年10月号だったとは……。いやあ、驚きましたねえ。
 ビニルに入れられていて、中身を確認することはできません。店主にお願いして開封してもらいました。さっそく目次を見ましたが――
 ありゃ? 「問題の男」だけ? 「落語白書」は?
 星作品が目次に掲載されていないとは考えにくいのですが、編集部のミスということも考えられます。そんなに高価なものでもないので、買うことにしました。
 帰宅して、1ページずつチェック。う~~~ん、「落語白書」は見当たらないですねえ。どうやら調査の起点となった資料は間違っているようです。しかし、となると、「落語白書」とは何か? それが気になります。
 星さんと「落語白書」の関係といえば、和田信裕さんが教えてくれた雑誌――その名もずばり「落語白書」があります。第1号(1962年9月)に星さんのエッセイ「自動制御」が掲載。発行日も近いし、これが何かの手違いで、中途半端な形で資料に掲載されてしまったのではないかと推測するのですが……。
 あ、そうそう。確認したわけではありませんが、「自動制御」は単行本未収録のような気がします。かなり面白く、しかも最後には星さんの創作落語も披露されていて……。実はこのエッセイ、一瞬だけではありますが、『つぎはぎプラネット』に収録してもいいかも、と考えたこともあったのでした(笑)。
 とまあ、このような作業を2年間、ずっとやっていたわけです。
漫画読本.jpg 落語白書.jpg
「落語白書」の書影は和田さんが送ってくれた画像です。
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