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ゼナ・ヘンダースン

 50年前の今日、日本SF作家クラブが産声をあげたそうです。つまり今日は、日本SF作家クラブ50歳の誕生日なのですね。
 おめでとうございます!

 さて。
 このような経緯でデイヴィス・グラッブ『月を盗んだ少年』ソノラマ文庫・海外シリーズ(84)を入手したのは2009年10月です。
 くだんの記事に書きましたように、それまでソノラマ文庫・海外シリーズを特に買い揃えようとは思っていませんでした。発売当時、欲しいものは買っていて、それで満足していたからです。
 ところが、『月を盗んだ少年』を入手したことによって、火がついてしまいました。あのときに所有していたのは全35巻(+別巻1)のうち25冊くらいでした(ほとんどは新刊購入)。持っていない巻を改めて眺めてみると、いまの私にとって、けっこう魅力的なラインナップではありませんか。
 この叢書には冗談みたいなプレミアがついている巻が多く、全巻を揃えるのは困難が予想されますが――まあ、そんなに無理はせずに探してみようかな、と。
 例によって、相場を大きく下回る購入希望価格を設定し(笑)、探求を開始しました。それでも少しずつ入手することができ、現在、あと4冊にまで迫っています。
悪魔はぼくのペット.jpg 果しなき旅路.jpg 血は異ならず.jpg ページをめくれば.jpg
 発売当時に買わなかった本のなかに、ゼナ・ヘンダースンの短編集『悪魔はぼくのペット』もあります。
 ゼナ・ヘンダースンといえば、なんと言っても〈ピープル・シリーズ〉でしょう。もちろん私も大好き! にもかかわらず、なぜ短編集を買わなかったのか。いまとなっては推測しかできませんが、たぶんそのとき、そういう気分ではなかったのだと思います。――って、推測にもなっていませんね(笑)。
〈ピープル・シリーズ〉は2冊が邦訳出版されています。
『果しなき旅路』ハヤカワ文庫SF(78)
『血は異ならず』ハヤカワ文庫SF(82)
 1冊目は新刊発売時に購入したと思います。とにかく1970年代後半、SFの新刊は片端から読んでいましたから、これは間違いないでしょう。それに対して2冊目は、所有している本は2000年発行の第2刷で、しかも古本で購入です。この落差はとんでもないですね。1982年発行の『血は異ならず』を買ってないのですから、1984年発行の『悪魔はぼくのペット』を買わなかったのは、まあ当然かも。
〈ピープル・シリーズ〉以外では、短編「なんでも箱」も強く印象に残っています。世間は現在、「たんぽぽ娘」ばかりに注目していますが、「なんでも箱」も甲乙つけがたい名品と思います。ちょっとした運命のいたずら(つまり、収録された書籍がすべて絶版になっている、とか)があれば、この「なんでも箱」がいまの「たんぽぽ娘」の立場になっていても不思議はありません。そういえば「なんでも箱」は『たんぽぽ娘』集英社文庫コバルトシリーズ(80)にも収録されていますね。
「なんでも箱」は(「スー・リンのふしぎ箱」というタイトルで)『悪魔はぼくのペット』に収録されています。となれば――
 欲しいぞ欲しいぞ、『悪魔はぼくのペット』!
 なんとか入手でき、ふーっと大きく息を吐いたことは言うまでもありません。

 ゼナ・ヘンダースンの邦訳書はほかに、短編集『ページをめくれば』河出書房新社・奇想コレクション(06)があります。これはもちろん入手済みです。
コメント(3) 

コメント 3

山本孝一

「なんでも箱」いいですね。私も大好きです。
SFマガジンで読んだのですが(たしか「月」特集で、斎藤和明さんの衝撃的な表紙絵の号。小松さんの短編も実に良くて、充実した一冊でした)感激しました。
ネタばれになりますが。
結末で、大切な「なんでも箱」をポケットにしまい、先生から「もう、失くしちゃだめよ」と言われ「わかった」とペシャンコのポケットを手でたたくという箇所がありますが、この「ペシャンコのポケット」というところがいいですね。
さすがヘンダースン、わかっておられる!と感心しました。
好きな短篇だけでアンソロジーを編めといわれたら、この「なんでも箱」は絶対に入れます。
筒井さんの「座敷ぼっこ」、梶尾さんの「時尼に関する覚え書」、ハミルトン「フェッセンデンの宇宙」などと並んで大好きな短篇のひとつです。
by 山本孝一 (2013-03-05 17:26) 

雫石鉄也

ゼナ・ヘンダースンの「ピープル・シリーズ」いいですね。
私の大好きなシリーズです。昔、SFマガジンに載れば、イの一番で読みました。
ところで恩田陸さんの「光の帝国 常世物語」
http://blog.goo.ne.jp/totuzen703/e/604b515b0d18d4587a66e0e11bd5229d
は、恩田さんの作品で一番好きなんですが、この作品は、ゼナ・ヘンダースンが本歌なんですね。
by 雫石鉄也 (2013-03-05 19:54) 

高井 信

「なんでも箱」も〈ピープル・シリーズ〉も、嫌いなSFファンは少ないでしょうね。

 山本さん。
 その3短編、私も好きです。「たんぽぽ娘」と同じくらい、あるいはそれ以上に。

 雫石さん。
>この作品は、ゼナ・ヘンダースンが本歌なんですね。
 へえ、知りませんでした。面白そうですね。
by 高井 信 (2013-03-05 22:57) 

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