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『二時間目 国語』

 若い方のなかには、星新一初体験が国語の教科書という人も多いようです。
 私の世代でも、その可能性はあったんでしょうか。いつから星作品が教科書あるいは副読本に採用されるようになったのでしょうか。
別冊新評 星新一の世界』新評社(76)には「教科書、副読本への掲載作品」という資料が掲載されています(189ページ)。1976年の時点で8編が採用されていたそうですが、残念ながら発行年は記載されておらず……。明確なことはわかりませんけれど、私の世代の教科書に星作品が掲載されていた確率は限りなく低いようです。
二時間目国語.jpg ということで――
 小川義男・監修『二時間目 国語』宝島社(04)を買いました。国語の教科書に採用された小説や詩――「はじめに」によれば「かつての子供たちに愛された名作」から21編を選んで編まれたアンソロジーです。短い作品がほとんどで、一種のショートショート・アンソロジーと言ってもいいかもしれませんね。
 嬉しいことに星新一「おみやげ」も収録されていて、いえ、だから買ったのですが、私、疑似教科書体験を楽しんでおります。
 何年生の教科書に採用されたのか不明ですけれど、おそらく小学校の3年生か4年生ではないかと推測します。小学生のときから星作品に触れられるなんて羨ましいような、そうでもないような……。教科書に載っている作家というだけで敬遠してしまったかも(苦笑)。
 なお、この本は宝島社文庫版(08)もあります。

 さて。
 私の星新一初体験ですが……。
 私の世代では当然と言ってもいいかもしれませんね。――『ボッコちゃん』新潮文庫(71)です。中学2年のときだったでしょうか。本が発売されて、しばらく経ったころです。
 中学2年で星新一を初めて読むなんて遅いと思われるかもしれませんが、当時、星新一は今ほどポピュラーな存在ではなかったのですよ。この『ボッコちゃん』――初の文庫本によって、一気に名前が広く知れ渡り、中高生にも知られるようになったという印象があります。
 それから数年後、私が高校生のときには、星新一は北杜夫や遠藤周作と並んで、最もポピュラーな作家となっていました。ほんと、星新一を読んでいないクラスメートはほとんどいなかったのではないでしょうか。
 あまり目にする機会はないと思いますので、『ボッコちゃん』初版本の書影をアップしておきましょう。定価130円。写真をご覧いただければおわかりのように、最初、背は白かったんですね。それがいつの間にか黄緑色になり、現在はカバー画も変更されています(右の写真)。
ボッコちゃん.jpg ボッコちゃん(新カバー).jpg

『ボッコちゃん』と言えば――
 TOKON10実行委員会公式ブログに、宮野由梨香「東京SF大全23『ボッコちゃん』」なる論考がアップされています。へえ、こういう読み方もあるのか、と興味深いです。
コメント(6) 

コメント 6

雫石鉄也

私の星新一初体験はどの作品だったか忘れましたが、私が持っている一番古い星さんの本は
新潮社 ショートミステリー「人造美人」
装丁が六浦光雄。昭和44年の6刷目のものです。
by 雫石鉄也 (2010-04-21 21:53) 

高井 信

 星さんの2冊目の本ですね。>『人造美人』
 私が星さんを知ったときには、すでに絶版になっていましたので、のちに古本で買いました。確か高校生のときで、古本屋で見つけたときには嬉しかったですね。
 最初の本『生命のふしぎ』を買ったのは大学時代、神保町の古本屋でした。店頭の均一コーナーに並んでいて……(嬉)。この本は現在、神戸文学館に貸し出し中です。
 あ、神戸文学館のSF企画展は明日スタートですね。私も一度は訪れたいと思っています。
by 高井 信 (2010-04-22 06:26) 

岡田研一

失礼します。一SFファンのものです。いつもブログを拝見しております。
最相葉月さんの『星新一 一〇〇一話』を再読していたところ。文庫本下巻の171ページに、星新一作品が初めて教科書に載った際の記述がありました。

昭和43年(1968年)の小学三年生向けの国語の教科書で、作品は、「鏡の中の犬」だそうです。
by 岡田研一 (2012-07-19 15:28) 

高井 信

 岡田さん、いらっしゃいませ。
 最相さんの本、もちろん読みましたが、ご指摘のくだりは完全に失念していました。
 昭和43年に小学3年の教科書ですか。私は5年生ですね。そうか~。あと2年遅く生まれていれば……。
 有意義な情報をありがとうございました。
by 高井 信 (2012-07-19 17:14) 

yoshi7927

初めまして。
星新一の本私集めています。古本屋などでバーコードのない当時ものをほじくってます。現在新潮文庫ので49冊になりました。また「さまざまな迷路」まで当時ものになりました。
上の写真にもあるぼっこちゃんの古いカバーのや次に出た「ようこそ地球さん」などもそうですが今売られてるのと違いバーコードがないぶん表紙のデザインが裏表紙にまで回ってるのがいいですね。
「できそこない博物館」、「気まぐれフレンドシップpart1」、
「夜明けあと」この3つがあれば番号通り52まで揃います。
by yoshi7927 (2013-03-07 17:50) 

yoshi7927

追記ですが、私の星新一初体験は英語の教科書です。有名?な「おーいでてこーい」が英語で書かれていました。
by yoshi7927 (2013-03-07 17:53) 

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